購入価格 $38+送料$8 @ mopha. Industries
http://www.mophadelivers.com/always/Roll.htmlサドルバッグやツールカンの代替。
ポケットが設けられた一枚布にスパナなどを収め、余った布を内側に折り返してコンビニで売っている海苔巻きよろしくクルクルッと巻き上げて口を紐で締める。ツールロールというのはそんな単純な構造の収納具で昔からあり、軽く場所をとらないことから車やモーターサイクルの車載工具をまとめておく方法として割とポピュラーなものです。個人的には中身をソートしておけることから、広げて一瞬で目当てのものにアクセスできる点こそが最大のメリットだと思っています。
そんなツールロールですが、布を折り返して丸めるだけという手軽さがある反面内容物の保持力が乏しく、場合によっては振動などで口紐が緩んで、知らぬ間に中身が滑り落ちて紛失してしまっていたり、無造作に開けると中身をぶちまけてしまうこともある、といった自転車で使用するにはちょっと致命的なリスクもあります。小型で携帯性を重視したタイプの場合は特にその傾向が強く、防水性も期待できないということもあって、サドルバッグやツールカンと比べるとどうしても劣ってしまう部分があることは否定できません。じゃあもう誰も使っていないのかというとそんなこともなく、探してみるとわずかですが見つかりました。
クラシックなランドナーやミニベロ、シングルスピード、スポルティーフetc クロモリで細身のフレームにプラスチックパーツや反射材多用ででっかくメーカーロゴが入ったサドルバッグはちょっとなぁ…という気持ちはよく分かります。不便を承知で敢えてロールを使う方のほとんどは、サドルバッグやカンによって美観を損なうことがどうしても勘弁できない方たちなのでしょう。まずはレザーサドルが有名なBrooks。レザー製でクローム仕上げのバックルがついたもの、お値段15,000円以上。値段のことはまあともかく、似合うバイクがかなり限定されそうです。ポップなカラーリングのフレームだと100%浮くでしょう。お次は現時点では非売品となってしまうのですが、Lemoloという北米のバッグメーカーにRaphaが依頼して作成したTool Wrap。これはポケット等がない、ロールというよりもコーデュラナイロン製風呂敷といった感じのデザインで、非常にシンプルでクリーンなものでした。タイムレスで大抵のバイクに問題なく馴染む良いデザインだと思いましたが、仮に製品化されたとしてRaphaのロゴが入ると!?な値段になりそうではあります…そしてこのmopha。
本体$38+送料$8(USPS First Class Intl.)。ひとつひとつ手作りであることを考えると、安いと思います。トップに張ったリンク内にあるアドレスへ注文メールを入れると、製作者であるErica Hansonさんが直接コンタクトしてきます。何度かメールをやり取りしたところでは、とても感じの良い女性で好感を持ちました。発送方法は融通してくれますので、こちらの希望を伝えると送料込みのPayPalインボイスが送られてきて、決済を確認次第Tool Rollが発送されるという流れ。梱包にかかる手間と資材を考えると送料はほぼ実費のみで、小さな箱に几帳面に入れられていました。ちなみに現地Seattleの時間で金曜日夕方に決済完了し、直後に局へ持ち込まれて消印されたようです。やはり真面目な人なのでしょう。First Class Intlなので大体10~14日で到着といった感じですが。今回は9日でした。
現物を見るとやはり落ち着いたデザインが目を惹きますが、カッティングも縫製もとても丁寧で値段から想像させるような安っぽさは全くありません。落ち着いたモカブラウンにチョコレートのレザーパイピング、付属するレザートーストラップは黒です。擦れてすぐに落ちてしまいますが、アイボリーで控えめなロゴがプリントされています。布地は帆布で薄く蝋引きがされているようで、雨天使用はしていないのですが防水性についても一応考えてはあるようです。とはいえ、どうひいき目に見ても完全ではないですから、どうしても濡れては困るものはビニールバッグに小分けしていれるなどの対策が必要でしょう・・・泥水や油で汚すのはもったいない気もしますが、ストラップや工具と擦れるとさっそく表面の蝋がかすれて白く痕が残ります。使い込むほどに味が出てきそうですね。Cerveloに付けてもそんなにおかしくはありませんでしたが、クラシックなデザインに大人しい配色なのでやはりクラシックな見た目のフレームがベストマッチでしょう。
中身の保持力についての問題はほぼ克服されています。初めて見た時はなぜか手作りのポケットティッシュカバーを連想しましたが、中央が開口部になっていて上下にシンメトリーにポケットが配されています。長いものは上下ぶち抜きでしまえて、小物や短いものはポケットに完全に隠れる構造です。パッチキットやレバー、ポンプまたはCO2インフレータ、チューブまたはスペアチューブラータイアなど、サイズも重さもかなりバラバラで、整理が難しい携帯ツールたちを
こんな感じでキレイにソートしておけます。意外と容量も大きく、Tacxツールカン1本分くらいの工具はあっさり丸め込んでしまいました。写真に写っているのはマルチツールのLezyne Carbon 4、同パッチキット、Tacxタイアレバーx2本、ナイロンストラップx1本、CO2カートリッジ16gx2本+Barbieriインフレーターヘッド、Grungeアダプター改造済Airbone、Michelin AirComp Latexチューブx1、Park Tool TB-2 タイアブート2枚、仏→英ポンプヘッドアダプター、KMCミッシングリンクx2ケ、諭吉さん1名。まだ余裕があるので、工夫すればチューブ1本位は詰め込めるでしょう。嵩張るラテックスにこだわらず軽量ブチル(Vittoria Evo55等)にすれば3本は収納できるはず。日帰りならばこれ位で十分ではないでしょうか。
ポケットに隠すのはさすがに不可能ながら、丁寧に畳めばスペアチューブラーをくるむことも十分可能です。バルブアダプターなど細かいものはさすがに入れておくだけだと零れる可能性があるので、小さなジップロックとかピルケースなどに入れておく必要がありますが、ほとんどのものはポケットに完全に隠れて、走行中に落とす心配はまずありません。細かい事言うと、小さくてもいいからどこかに一箇所くらいジッパー付きのポケットがあればさらに安心感が高くなっていたでしょうが…
取り付けた際のイメージ。意外とスリムにまとまるので、私のような小サイズフレーム+突き出し短いシートポスト(しかもエアロ)に括りつけても内腿が当たらないようにすることが出来ます。これは形が決まってしまっているサドルバッグにはない利点ですね。Tool Roll自体の重さはストラップ込みで102g、例えばFizi:kのバッグ(82g)やTacxツールカン(79g)と比べて重量的なメリットはありませんが、デッドスペースがほぼないRollは収納効率がとても良いので、重量ペナルティについては目を瞑ってもいいかもしれません。トーストラップをサドルレールに通してしっかり締め上げれば安定しますが、脱落防止用にベルトループのようなものが欲しかったですね。街乗りやサイクリング程度ならRollごとポロッと落としてしまう心配は要らないと思いますが、重いマルチツールなどを詰め込んでトレイルを走るような使い方や、ひっきりなしに揺さぶられる石畳走行は避けるべきでしょう。より安心を求めるならば、サドルではなくボトルケージに括るか、諦めてサドルバッグ使おうよ、ということになってしまいますが。
欠点が無いわけではありませんが、容量も意外とあるし使い勝手もよく、総じてよく出来ていると思います。
価格評価→★★★★★(手作り製品でこの価格はサービスでしょう)
評 価→★★★★☆(ジッパー付ポケットとベルトループが欲しい)
カタログ重量→ --g(実測重量 102g)