エースとアシスト
購入価格 ¥やっぱりプライスレス 上京に伴う深刻な金欠でまともにパーツレビューは書けないのでその他のものを。 これもやっぱり競技をやっていて、かつ仲間がいる人しかなかなか味わえませんがエースとアシストという関係は切っても切り離せません。私自身、エースをしたこともあるしアシストをしたこともあります。よく小説なんかではエースは残酷にアシストを使い、捨てるような描写が目立ちますが実際はそうとは限りません。あくまで私のチームだけかもしれませんがレビューを。当時私のチームにはエースクラスの人間が4人もいました、一人はヒルクライマーである私、そしてライバルであるヒルクライマー寄りのオールラウンダー、高いルーラー能力を持つオールラウンダー、そしてスプリンターでした。スプリンターだけは後輩でした。皆、非常に高い能力で草レースなんかで入賞している人もいます。今回はそのうち3人の話です。
まずはアシストの話私がアシストしたのはスプリンターである後輩でした。参加したレースは全長300kmの耐久型レース。ただし区間賞が設定されています。そのレースは第1区間はほぼ平地で、第2区間から山越え、その後はアップ段が続き、最後はまた山越えという厳しいレースでした。私はヒルクライムに向けて体脂肪減らしを非常に絞っていたので後半必ずバテます。精々第2区間賞が取れれば良いという考えでした。しかし後輩は、まだ勝利を掴んだことが無くこのレースでは第1区間賞を本気で狙っていました。しかしスタートしてから30km地点でトラブルが起きました。軽い丘に差し掛かったところで後輩のチェーンが脱落してしまったのです。あっという間に先頭集団から置いていかれました。その時、私は先頭集団ではなく少し後ろのメイン集団にいました。そしてメイン集団から彼の姿が見えました。私はそこで止まりました。 「どうしたんだ?」 「チェーンが外れてしまったんです・・・」 彼はがっくりしたと同時に困惑していました。彼はまだ自転車を始めてあまり長くなかったのでチェーンを戻すのに苦労していました。私はすぐに自転車を降り、彼のチェーンを直しました。そしてディレイラーの動き幅を確認しワイヤーのテンションを調整しました。そして二人で走り始めましたが先頭集団はおろか、メイン集団にもかなり離されました。残り20kmくらいの地点です。彼はもうあきらめた様子でしたが、せっかく本気になっていたのにメカトラブルで勝利を逃すなんて悔しすぎると思い言いました。 「先頭に戻るぞ、俺が引く!」 後輩に勝たせてあげたいという思いから私は彼の前で必死に引きました。私は今回はあまり気が乗らなかったので第2区間賞もすっぱりあきらめました。何とかゴール手前5km地点くらいでメイン集団に合流そして、そこにはルーラーの能力を持つ仲間がいました。私一人ではもう引くのはキツかったので彼に訳を話し強力を依頼、承諾してくれてそこから更にアタックを仕掛けました。ルーラーである彼が残り1km地点まで引いてくれ先頭集団に追いつきました、そこからはスプリントに備えトレインを組み、ルーラーである仲間と私でスピードを上げ後輩を撃ち出しました。結果後輩は初勝利を手にすることができました。今でも朝日が上がる中、彼が決めたガッツポーズは思い出に残っています。仲間と後ろでハイタッチしたのもいい思い出です。決して犠牲になるために走るのではなく本当の勝利を渇望している人のために走る、そしてその人が勝利してくれるというのは自分が勝つのとはまた違った良い勝利の美酒を味わえます。 次はエースの話 実は先日書いたライバルに関するレビューで裏で働いてくれていたアシストがいます。それは私がアシストした後輩でした。私がライバルと戦ったヒルクライムで後輩は私が本当に勝利を狙っていることを知っていました。そして何より、それよりも前に私が彼をアシストしたことを覚えていてくれました。なので私にその恩を返すために彼にとっては苦痛なはずのヒルクライムで必死にアシストしてくれました。歯を食いしばり、苦手な坂でも前を引いてくれ非常に助かりました。そして彼が力尽きた後 「勝ってください!」 そう叫びました。私はそこから自分を奮い立たせ、かつ冷静にライバルの様子を見ながら戦い、ラストスパートに向け体力を温存し、最適なタイミングでアタックを仕掛けて勝つことができました。後輩はぼろぼろになりながら上ってきましたが、頂上では私の勝利を祝福し、また自分の勝利のように喜んでくれました。
この様にアシストとエースというのは決して残酷で厳しいだけのものではありません。エースとアシストであってもお互いに仲間なのです。相手を思い会い、信頼する事でその関係は成り立ちます。そして勝利の喜びを共有できる重要な関係です。なかなか仲間同士でレースに出るようなことは無いと思いますが、参加されるなら是非、仲間を誘って、そしてアシストになろうがエースになろうが勝利を目指し頑張る事は本当に楽しいことです。もし機会があればどちらでも良いので経験することをお勧めします。 価格評価→ 評価不能 評 価→★★★★★(一人では出来なくても力を合わせれば出来る事がある。エースとアシストというのはとてもハートフルな関係です)
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