購入価格 ¥178,500 (定価)
2011のシーズンはどうしようかと思っていた。
2010のどうにもならない猛暑の中、ゆらめく陽炎に向かってANCHOR RNC7のペダルを回し続けながら、来年は何に乗ろうかと考えていた。
大体、シーズンも夏ともなれば次年度モデルに心が誘われるようになる。自転車乗りの病気である。
乗りたい(そして現実的になんとかなりそうな)候補はあった。
1 CAAD10-3
2 ANCHOR RFX8 Equipe
の2車だ。いずれも20万円台後半のものだ。
クロモリはとても気に入っているのだが、一度、草レースそれもヒルクライムをやってみてわかった。
「こんな走らせ方をする俺が悪い」のだと。
重い、緩い、と言うよりもまず、適材適所に配意しない自分が馬鹿なのだと悟った。
よって2011は『速く走らせ得る車』がプライオリティの基準となった。
CAAD10の試乗を取り扱っているショップに行って申し込み、昨年11月に乗ってみた。(私がずっと出入りしている店では扱えないので)
①軽い、当然出足が速い。
②思ったより固くないけれど、脚にはくる。
多分、力がかかる部分と体重だけがかかる部分とを、相当形状・厚さともに変化させているのが、こう感じさせた要因だろう。
個人的には好感が持てた。乗り手の努力にはきっちりとスピードで応えてくれるいいヤツのようだ。
ANCHORは出入りの店の取り扱いブランドだが、ママチャリも取り扱う町の自転車屋でもあるそこに、RFX8の試乗車などあるわけもなかった。ただオヤジがいうには、「アンカーのカーボンでは、もう8は一番古いモデルだからねぇ。世間の評価は今でもいいみたいだけど、ぼちぼち見直しの時期だからね。最新のCAAD10の魅力には敵わないかもしれないな・・・」取扱店の薦めがないものは購入できない。
そしてオヤジはぼそっとこう続けた。
「キャノンデールを扱ってるとこで買ってくればいいじゃないの、別にそんなことこっちは気にしないって」
この段階で、CAAD10も選択肢から外れた。
私は速い自転車に滅法弱いが、人情にはもっと弱いのであった。
「ああ、ブランド志向じゃないんだったらBOMAはいいよ。展示用のフレームが届いたから見るかい?」
2011の勝負車が決まらぬまま、年が開けた1月のある日、オヤジは言い出した。
フレームは昨年のサイスポの記事にも載っていたリファールだった。(赤ライン)
ヘッドチューブから一気にシートステイまでつながるトップチューブのラインは十分にセクシーだった。それでいながらメインチューブは無骨なほど堂々として、カーボン地が輝いていた。おそらくそれに負けないほど私の瞳も輝きだしたのだろう。
「1050gなんだってさ、軽いよね。」オヤジの声も私に触発されたかの如く弾む。「これ、ホントにかっこいいと思うな」
その日発作的にオーダーを入れてしまった。
手持ちの部品や、アンカーからの移植も含め、パーツは基本的にはアルテグラで統一することにした。
2月最初に台湾から来たロットの中のフレーム1本を押さえ、後はオヤジと相談しながらパーツを決めていった。
じっくりとくんでもらった結果、先週漸く納車され、以降3回約160㎞ほど走った。その感触は以下のとおりである。
①当たり前だが軽い。アルテで組んで実測7.7㎏である。感覚的にはもっと軽い。
②基本的には昔よく風呂場に貼ってあったタイルを踏んづけているような踏みごたえ。金属ではなくまさにセラミック素材に乗っている結うな感じ。ホイールのwh-6700も比較的固い感触なのでそれもあるかも知れない。
③固い中にも(嫌々)しなるような感じがする。モナカの皮が割れるちょっと手前の、あのうっすらしなるような感じがする。クロモリのように明確にわかるものではないが、踏み続けていても脚にこない。
④ダンシングをかけても、反応よく追随してくれる。しかしひょうきんな挙動はない。安定志向のフレームのようだ。よくわからないが、ヘッドチューブが長めなのかも知れない。
⑤シートポストもボマのカーボンにしたところ、極めて乗り心地がいい。長距離はANCHOR RNC7より得意かも知れない。(サドルはフィジーク アリオネCX)
初期トラブルは、今のところない。いたって快調である。
BOMAはコストパフォーマンス絶品といわれるメーカーだが、実際のものもいいと思える。
少なくとも2010までのカラーリングとは、2011モデル・リファールそしてRS-Iは随分違う。垢抜けたできばえである。
1つだけ不満なのはヘッドパーツが、ちょっと安っぽいかなと感じること位である。
意気揚々とリファールのペダルを踏み込んだ私を見て、オヤジは、満足そうな微笑みを浮かべていた。
価格評価→★★★★★(アルテで組んで総額32万位でした。)
評 価→★★★★★(性能は文句なし。カッコいい上に、ほぼ誰ともかぶらない。)
<オプション>ハンドル&ステムはシマノプロ・バイブ7S
年 式→2011
カタログ重量→?㎏(実測重量7.7㎏)