上記レビューの追記。
組み上げから約1年半、5000km弱を乗っての再レビュー。
○フレーム剛性・乗り心地
上記レビューのとおり、剛性はヘナチョコの私からすれば十分。大パワーのスプリントをしたり、高速の下りをこなしたりしたら別かもしれないが、今のところ不審な挙動をして恐ろしい思いをしたことはない。とりあえず、回転バランスがとても良いWH-6700のおかげもあって、60km/hくらいまでは大丈夫である。
ペダルの踏み込みに対して跳ね返してくるような感じ(前のアルミバイクではヘンな急加速をすると感じたものだ)はあまりない。「踏み応えという意味ではどこか軽いような感じ」と上記レビューでは書いているが、これはBB回りが横方向へたわむことによるとわかった。設計上狙ったものなのか弱点なのかは判らない。何か不都合があるかというと、特にない。
加速の感じは普通。軽量高剛性のバイクに乗ってゼロ発進とか急坂のダンシングで比べてみたら違うのだろうけど、比較対象を持っていないので。要は、しなやかさを感じて扱いにくいと思ったことはない、ということだ。素直なバイクである。
エアロフレームは縦方向の剛性が過剰になり乗り心地が悪化する傾向にあると言われるが、コンフォート系に位置づけられるこのフレームでそのようなことは感じたことがない。先日、スピード抑制のために設置されたバンプ(30cmくらいの間隔で複数の凸が連続する)に
高速で突っ込んでみたことがあるが、弾かれるようなこともなく、直後に手がしびれるといったこともなく至って安定していた(まあ、おすすめはしない行為である)。石畳などは走ったことがないので、これ以上のことは判らない(苦笑
若干のマイルドさ故、レースのような走りよりも淡々とロングライドの方が似合っているフレームだと思う。
○ハンドリング
前レビューではあれこれゴタクを並べていたが、あっという間に慣れた。ハンドリング特性の違いは、複数のバイクを同時並行で乗り分ける場合には問題になるのかな。慣れると、むしろクイックじゃなく安定志向なのかと思うようになった。サドルやハンドルのポジションやライディングスキルでいくらでも印象は変わってしまうと思うのだけれど、下りコーナリングで切れ込みすぎたような経験はないから、この印象はまあ正当なものだと思う。
○ジオメトリとポジション
なぜかXSサイズだけ、BB下がりが75mmと若干大きい。数字の上では、サドルが低くコンフォート寄りのポジション、低重心で安定志向、となる。しかし各サイズで同じようになっているわけではなく、これより大きいサイズだと70mmで固定となる。ヘッド角やシート角あたりとの兼ね合いでこうなったのだろうか?ちょっとコンセプトが不明なところ。
だから何か変わる?いや、ぜんぜんわかりません。
○ペイントや仕上げ
カーボンクロスやフレーム形状を十二分に生かしたペイントワークが美点のフレーム。塗装の質も悪くない。あちこちぶつけてクリア層が剥げたり、小傷がついたりしているが、これは使用者が細かいことを気にしない性格なためで、特に塗膜がデリケートだとも思わない。
各部の精度にも問題はなく、フレームをポンと入手して組むのに問題はなかった。BBシェルも平行が出ていたし、ヘッドの動きにムラがあるわけでもない。
精度については、多数生産されているうちの一つをユーザーが手に取って感想を述べてもあまり意味はないと思うけれど。
付属のケーブルアジャスターの品質はあまり良くない。本来はそうしょっちゅういじる場所ではないから、まあいいのかな。
○空力性能
前レビューでは「下りや集団内での空転時、やたら伸びるようになった実感」をしている。確かに空力性能はいいと思うけど、検証できる訳でもないですね。たぶん、フツーのフレーム比で、ホイールとかフォームとかヘルメットとかで簡単に逆転できるくらいの差しかないんじゃないでしょうか。身も蓋もない話ですが、ホビーライダーには「エアロ」っつう言葉とかデザインとかが醸し出す雰囲気が大事なんだと思います(笑
○とりまわし
リアのブレーキケーブルがフルアウター。NOKONとか使ったらピースの数で大変なことになりますよ!
途中で引っかかりが全くないので、ハンドルを切るとアウターケーブルがフレームの中をわずかに前後することになる。ケーブルの前側入り口でアウターが削れてボロっちくなるのが不満。ケーブルの入り口でバンドでもつけて固定する方法はないか、考え中。ワイヤーが遊びにくくなれば、タッチもしっかりするだろうし。
それが原因でルーティングがやりにくいということはない(入り口のプラスチックピースのところで多少つっかえる感じはある)。後ろ側のケーブル出口が上向きなので、キャリパー回りの取り回しはむしろ容易ではないだろうか。
シフトケーブルの取り回しはごくふつう。ダウンチューブにアウター受け兼ケーブルアジャスターがある。クラシックなバイクと全く同じである。
リアセンターが短くて、若干リアホイールの着脱がしづらい。リアセンターの短さゆえ、シートチューブにカットアウトが施されているほどだ。ま、これはチューブ上部が翼状に後方に伸びているだけで、それほど過激でもないのだが。
前レビューでも触れたが、ちょっと微妙な存在が専用品シートポスト。デザイン状の統一がとれ、フレームの中でも空力性能を大きく左右する部分らしいのでいろいろとご利益があるのだけど、これきっと決して軽くない。測ったことはないけど。それに、オフセットが選べないのが人によっては欠点になるだろう。ヤグラは特段調節幅の広いものではないし。
余談だが、Wheel Manufacturingのディレイラーハンガー#96を使うことができた(別途レビューあり)
https://cbnanashi.net/cycle/modules/newbb/viewtopic.php?topic_id=6785&forum=47#forumpost16570なお、いろいろと問題はあるので社外品スペアパーツの流用は自己責任で。
価格評価→★★★★☆
評 価→★★★★☆