[ROAD] BRIDGESTONE RADAC RF5-49
購入価格 本体のみなら昼飯と地酒1本(その後の部品や工具は合わせて10万を越える)
一時期ヤフオクにたくさん出ていた廉価車。RADACはAnchorに変わる前のブリヂストンのスポーツ車のブランド名。80年代半ばから約10年間に渡って存在した。 同じRADACブランドでも、上位にはフルアルミやフルカーボン、下位にはフラットバーや前サス付き、トライアスロンモデルなども存在した。 わたしが乗っていたのは廉価なハイブリットである。 前三角がアルミ。フォークとチェーンステー・シートステーがクロモリ。 この異質な両者をラグと特殊な接着剤で接合してある。RADACとは、この接着剤にちなんだ名前らしい。
元々は友人から通勤用として譲り受けた。 発売された年代により微妙に仕様が変わるが、こいつは2×6速のWレバー、ホイールはナット止めという今ならなんちゃってロードの範疇に入る物だった。さらに530が適正のわたしに490はサイズが合わなかった。 そこでまずステムを替え、シートポストを替え、サドルを替えとやっている内に改造魂に火が点き、遂には自力でフレーム以外すべてを交換してしまった。 エンドは126mmだったがステーがクロモリのため、130mmも問題なく入る。高級機でもないので少々傷ついても構わない。ドンドン積極的にいじる事が出来、乗り回すことができる。 正直、昨今の7万前後の廉価ロードを買った方が早いし安いし軽いだろう。 だが、こいつで覚えた整備・組み立てのノウハウはなによりも価値があると思っている。
安物とはいえ、走行性能はそう悪くない。 けして速いフレームではないが、意外と丈夫で楽なフレームだ。 現にわたしはこれでブルベを600kmまで完走している。他にもRADACのブルベ屋が居る事を考えると、わたしだけの勘違いではない。 楽な理由は、RADAC愛好者いわく「フレームのしなやかさ」 適度に柔らかいため、脚にダメージが少ないのだ。 坂道でダンシングするとフレームがグワンと盛大にしなり、リアタイヤがアスファルトを「ザッ」とこすりつける音がしたものだがこれが楽しく、効率が悪いのについついダンシングしてしまうのには困った。 だがその後に乗り換えたクロモリレーサーは、RADACほど楽ではなかった。 ダンシングでのしなりも少なくなり、坂でのスピードは上がったが、乗り換え直後に同じ距離を走った時の脚の疲労が大きくなっていた覚えがある。 つまり、それだけRADACがやさしいフレームだったと言える。
アルミ前三角はクロモリかと思うほどに細く、ブレーキケーブルをトップチューブに内蔵しているのでシルエットが美しい。 泥除け用のダボ穴があるので、25C辺りのタイヤを履いてスポルティフ風に使うのも良い。 レースに使うフレームではないが、通勤や長距離に向いた名機だろう。 床の間に飾ってニマニマする対象が名機だと思う方には安物に過ぎないだろうけれど、自分の手でいじって工夫して乗り倒せる車種こそが名機とする方には、面白いと思う。
3年で20000kmほど走った後、中古で540サイズのクロモリフレーム(90年前後のブリヂストン製。グランベロか、RADACトライアスロンモデル。あるいはRADACテーラーメイド)を手に入れ、ほぼすべてのパーツをそちらに移してしまった。 古いRADACはほぼ元の仕様に戻し、義弟に譲った。 しかしその義弟が事故に見舞われる。 幸い義弟は無傷だったが、自転車はホイールとフォークが駄目になった。フレームにもダメージがあるだろう。身を挺して、彼を守ったとも言える。
残ったフレームは引き取って屋根裏に保管している。 もうブルベなど無理はさせられないが、そのうちフォークを新調し、ギアもシングル化してプロムナードバーと大き目の籠をつけて、パパチャリとして復活させたいと思う。
価格評価→★★★☆☆(結構手はかかる) 評 価→★★★★★(お金よりも思い出)
年 式→1990年前後
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