購入価格 フレーム・フォーク・シートポスト他付属品$3,800+送料$200+消費税¥10,000 @ Excel Sports Boulder
組み上がりからおよそ8ヶ月、約5,000kmの走行を踏まえて。
★このフレームでよいと感じる点。
+外観から想像するほど厳しくはない乗り心地、やせ我慢しなくたって乗れる(ただし一定レベルのペダリングスキルを要す)。
+一切の駆動ロスを感じさせないチェーンステイ周りの剛性感。ウィップ? なにそれ??
+3Tのストレートフォーク(オフセット43mm)、短いフロントセンター(558mm @ サイズ51)とホイールベース(957mm @ サイズ51)がもたらす強烈に鋭いステア特性。
+ヘッドチューブが短いので低いポジションが比較的出しやすい。
+小物をすべて取り除けば990g(実測、サイズ51)という軽さ。
+別売オプションの前乗りシートポストを装着すれば、実効シートアングルを76°にできる。
レースバイクとしては、きっと素晴らしいバランスなのだろうと思います。ヘッドやBB周囲は恐ろしく硬いのに、柔らかいシートステイのおかげで一日中乗り回しても大丈夫な位の乗り心地が確保されていて、フルカーボンディープを履かせておけば平地巡航・登坂・ダウンヒル・スプリントと何をやらせてもまんべんなく速い。
Hushovdなんか、余程このフレームが好きなのか世界選を制した後このフレームにぶちゅーしてます。
http://www.facebook.com/photo.php?pid=5904216&l=2589c08e82&id=82190396433ちょっとキモ…いやしかし気持ちはわかるw
ハンドリングはロードにあるまじきクイックさで慣れが必要なくらいですが、感覚が掴めてしまえばまさに意のまま。前後輪のハブが重心に近く、それぞれにかかる荷重の変化を把握しやすいので、下りでは自信をもってコントロールできます。トップチューブ上面からケーブルがフレームの中を通るICS2のお陰で、ハンドルがケーブルやハウジングの影響をほとんど受けず、切れが異様に軽くなっています。ダウンヒルは本当に痛快。
ICS2の入り口。ステムの真後ろにあります。
ダウンチューブ・BBハンガー→チェーンステイ→リアエンドまでのラインはこれまで目にしてきたどんなロードバイクよりもゴツく、ペダリング入力に対する反応は素早くダイレクト。脚に余裕がある時は面白いくらいによく進みます。
強烈な剛性感を誇るドライブトレーン周り。
でも、このシートステイのおかげで乗り心地は野蛮になる手前で留まっています。
私程度の脚力では捩れを感じることなど一切なく、脚にこめた力が一切のフィルターなしでそのままスプロケットに伝わっていく感じがします。MadoneやLook 595のように扱いやすくて優しいのに恐ろしくよく進むようなバイクとは異なり、闘志むき出し。まるでドーベルマン。とにかくあらゆる挙動がダイレクトで素早い。最初のうちはハンドルから手を放すのがちょっと怖いくらいでした。こんな調子なので、超軽量でヒラヒラしたホイールよりも、ある程度外周部に重量がありハンドリングが穏やかになるディープホイールでトーンダウンしたほうが乗りやすく速いと思います。Zipp404との組み合わせは抜群で、下ハン握り本気で巡航(といってもエンジンがしょぼいので40〜45km/h位ですが)しているとえも言われぬバイクとの一体感を感じます。が、当然私のようなへタレは1日中そんなペースで走り回れる訳もなく…楽しいからといって爆発と沈静を繰り返していると、後述するこのフレームのダークサイドに苛まれることになります。
特徴的な翼断面形状のチューブがどの程度エアロダイナミクス向上に貢献しているのかは不明ながら、真向かい強風下でのスピード維持や下り坂での加速が気持ち楽な気がするので、まるきり効果なしではないと思います。Cervéloいわく30mph(≒50km/h)走行時に10wattセーブするとのことですが、さすがにそれは楽観的すぎる気が…。この辺はいずれパワーメーターを導入して検証しようか、と思っています。フレーム単体で1,091g(サイズ51実測、ヘッドパーツやシートポストクランプ他小物類含む)、9.5インチの専用シートポストは160g、専用ペイントしたフォーク3T Funda Teamはコラム長168mmにカットして319gと見た目がゴツいわりに軽く、それほど際どいパーツを使わずとも簡単に6kg台前半で組めます。写真のSRAM Redベース仕様で6.23kg。軽量と言い切っても良いフレームだと思いますが、登坂は遅くはないものの巡航やダウンヒルほどの鮮烈な印象がありません。Zipp404のキャラクターが原因となっている可能性はありますが…303とかLightweightなどリムが軽いホイールを使うとまた違うかも知れません。
正面から見ると、本当に薄っぺらい。
☆このフレームで欠点だと感じる点
-低速だと過敏に感じるステアリングとBB周囲の硬さ。
-風が強い日は絶叫マシン!
-リアホイール適合に制約がある。
-クランクもクリアランスが際どい場合がある。
-ワイアーハウジング交換が超絶に面倒くさいICS2。
-落車が怖いシートポスト・チェーンステイ。
-慣れてしまうが、盛大に生じるトーオーバーラップ。
-お粗末な塗装品質。
ショートホイールベースと73°ヘッドアングルで目眩く官能的なダウンヒル性能を手に入れた一方、その代償として30km/hより低い速度域での使い勝手は大きく犠牲になっています。端的に言って、気合入れて走りたくないときにはひたすら乗りにくいバイクです。ペダリングが雑だとあっちにフラフラ、こっちへヨロヨロ、おまけにステアリングは意地悪く僅かな荷重変動でもすべて拾って即座に向きを変えようとするので、慣れないうちは風を感じてのんびりペダルを回すような走らせ方をしようとしてもうまくいかないでしょう(慣れと共にそれなりに折り合いをつけられるようになりますが)。脚に余裕があるうちに、面白いくらいにスピードが伸びるからといって無駄なロケットダッシュを繰り返していると、帰路で文字通りフラフラ。先に乗り心地は悪くない、と書きましたが、それにはスムーズなペダリングができるならば、という条件がつきます。乗り始めた頃、鋭い挙動に慣れないのもあって綺麗にペダルを回すことが出来ず、3時間もしたらそれまでのバイクでは感じなかった腰の疲れがやってきて、しまいにはケイデンスがほとんど上げられなくなるのがお決まりでした。前のフレームはペダリングが少々乱れてもBBハンガーが捩れて力を逃がしてくれていたのでしょうが、このフレームに私の脚力では撓りは一切ない。現在は貧弱なスプリントで悦に浸るよりも、ムラ・ムダなく綺麗に回すことを意識して走らせることに楽しみを見出すようになり、腰の疲労からは解放されました。
それと・・・
塗装品質が本当に酷い、あちこちにウレタンクリアが垂れた痕があります。定価$4,200のフレームにしてこれはあんまりだ。2010モデルからは大分改善された模様ですが。デザインについての評価は主観に左右されるものですが、客観的に見れば面白みや新鮮さは無いでしょう。個人的にはシンプルで好きなのですが、一昔前のGiantからパクったデザインスキームだと言われてしまえば、まさしくその通りだと思います。オリンピックの五輪をモチーフにした限定ペイントもありましたが、ブラック/シルバーと比べると80g程重くなるそうです。格好良いと思ったのですが、私は軽い方を取りました。幸い酷かったのは塗装だけで、BBやヘッドに使われているアルミシェルの精度は良好、エンドやステイのセンターもちゃんと出ていて、フェーシングやタッピングなどの加工は一切不要でした。
最大のデメリットとして、スポークがチェーンステイと干渉して使えないホイールが多く存在する、というのがあるのですが、そのリストを挙げておきます。この問題は2009モデルのみに関わるものですが、Cervéloは2010モデルでチェーンステイに対策を施しさっさとリストを闇に葬ってしまいました。
(Campagnolo)
Zonda
Eurus
Shamal Ultra
Bora Ultra
Hyperon Ultra
Neutron Ultra
(Fulcrum)
Racing Zero
Racing 1
Racing 3
Racing 5
Racing 7
Racing Light XLR
Racing Speed XLR
(Mavic)
R-Sys
(Shimano)
WH-6600
WH-7801 SC
WH-RS10
WH-RS20
(Zipp)
Sub 9 disc
カンパ・フルクラム全滅(涙)。これで全部ではないと思いますが、基本的にワイド/ラージフランジのハブはXってことですね。
・総評
横風怖いとか使えないリアホイール多すぎるとかカンパ11速クランクはチェーンステイとのクリアランスが狭すぎてやばいとかICS2をいじったことがない人はケーブル通すのに数時間格闘することうけあいとか、細かい面倒や不都合は山のようにあります。で、それらも含めてこのフレームに満足しているかと問われれば、私はYESと即答します。そのくらい、走りっぷりが強烈で痛快。でも、これから買おうという人には、カンパやフルクラムのホイールが使えるしICSの面倒も軽減されている2010以降のモデルにすることをお勧めします。
最後に。これ1台だけで365日レース・トレーニング・ロングライドとすべてまかなうのは正直厳しいものがあります。2台以上の体制で運用することを前提として検討することを強くお勧めします。
価格評価→★★★★☆(国内価格は酷すぎる。一体何時の為替レートだというのか?)
評 価→★★★★☆(性能だけ見るならば、文句は一切無い)
年 式→2009年
カタログ重量→ --g (フォーク+フレーム+小物類+ヘッドパーツ+シートポスト=319g+990g+50g+51g+160g=1,570g)