購入価格 ¥23,600
な、な、なんたる存在感!!
実際、数ある自転車パーツの中でも、これほどまでに偉そうなものを私は未だ知らない。
まず、その名前からして反則だ。KING、そう、王様なのだ。たしかにヘッドパーツの王様と呼ばれてはいる。しかし、そんじょそこらのKINGと同じにしてもらっては困る、甚だ困る。ここにこそ諸王の王が君臨しているのだ。
見よ、この傍若無人なまでの高さを。圧入部分は1インチ(25.4mm)と、標準品の3倍にも達する。各部品を積み重ねてみると、まさに圧巻。その権威を誇示するかのように、90,000μmに達しようかという想像を絶する高さでそびえ立ち、配下のKINGを含め下々のヘッドパーツを天上から見下ろしている。
さらに、畏れ多くも打ち震える手に乗せてみると、重い。う、嬉しくないほどに(笑)、ずしりと重い。恐れ入ったかと言わんばかりの重厚感だ。
さらにさらに、焼き入れされたスチールは、あたかも今をときめくピカピカのアルマイトどもを浅いわ!と嘲るかのように鈍く怪しげに深い光沢を放ち、威厳と伝統的支配の正統性をも漂わせている・・・・・・。私は、アルマイトのほうが好きですが(ボソリ)。
さてさて、こんなに偉そうなパーツとなると、購入するのもなかなか気が引けるというものです。「お前は、朕に相応しい自転車乗りなのか?」とショウケースという名の玉座から問い詰められているようで、おいそれと手も出せません。
で、このヘッドセットを僭越ながら買うことになった経緯を説明しますと、元々使っていたKING(アルミ)の上ワンが引っこ抜けてしまった(原因は今もって謎)ので、仕方なく購入したというなんとも拍子抜けする事情なのでした。身長を優に超えるドロップオフもこなすエクストリームライダーたる自分には、普通のKINGなんてただのおもちゃにすぎん!というのなら様になるのでしょうが・・・・・・。
高い、重い、デカイで、どう考えても、XCや標準的なトレイルライドにはオーバースペックなのですが、しかし、これくらいの圧入部分がないと同じトラブルも起きかねないので、奮発せざるをえませんでした。
ステムキャップを除いて、上下のワンはもちろん、上玉押しに至るまでスチール製です。ロットによって金色に近いものから銅色に近いものまで幅があるようですが、いずれにしても明るい色味ではなく、やや年月を経た5円玉や10円玉のような少しくすんだ感じの色合いです。それから、ヘッドチューブ内の形状によっては、取り付けられないこともあるようですので注意が必要です。
また、このヘッドパーツは一度圧入すると、取り外すのが難しい(物によっては不可能に近い)らしいので、特にスチールフレームへの取り付けを考えている人は、このヘッドと心中する覚悟が必要だという話も小耳に挟みました。かくも重大な覚悟を迫るとは、やはり偉そうな奴、いや、さすがは王様です。アルミフレームへの取り付けの際にも、お店の方は苦労されている様子でした。どうしても取り外したいときは、是非とも購入した店にお持ち込みください。他の店では嫌な顔をされること請け合いです。
私は上記のような事情で購入したので、このパーツの真価を問うことはできませんが、私の使用環境ではもちろんトラブルはありません。なんだか凄すぎて、レビューらしいレビューとしてはこれくらいしかありません。申し訳ないです。
このヘッドセットは、エクストリームライダーに、「壊せるものなら壊してみろ」と叩きつけられた挑戦状か、はたまた意地の張り合いのヤケクソにも思われ、威厳を通り越してお笑い要素まで漂い始めちゃってるような気もします。私のような軽量級のトレイルライダーには冗談にしか思えないのです。しかしながら、とりわけ海外には切実にこの製品を必要とする、尋常ではないライダーも存在するのでしょう。
価格評価→★☆☆☆☆ バカ高い、背も値段も。
評 価→★★★★★ これで不満が出たら、もうMTBは諦めてください。
年 式→2008
カタログ重量→223g