購入価格 ¥ 1410
馬鹿野郎!
ロード用シューズで歩くとクリートがすり減るだの、コンビニのレジ前でM字開脚を披露してしまっただの・・・
そんな瑣末なことはこの際どうでもいいんだよ!
善意で向けられた言葉が時として人の心を深くえぐる、その深淵を皆はわかっているのか?
どうやらこの1000円ちょっとの小物が、俺の心の奥底のトラウマを呼び覚ましてしまったようだな・・・
あれは、俺がショップの走行会に参加してツーリングを楽しんでいた時のことだ。
その日は稲森いずみ似の女子大生が参加しており、
彼女をなんとか完走させ自転車の魅力を知ってもらおうと、
俺ともうひとりの男が前を引くなど全面的なサポート体制をとっていた。
・・・とはいえ、もうひとりの男はほとんど前に出てくることはなくツキイチ状態で、
もっぱら俺一人が前を引く状態になっていた。
どうやら、この中では俺が一番走力があるようだな・・・
そこに、向こうから4人ほどのモヒカン頭のヤンキーたちが、ロードバイクに乗って逆走してきたのである。
ヤンキー「ヒャッハー!姉ちゃん、俺らと走ろうぜ!」
女子大生「いやです、やめてください!」
俺は勇気を振り絞って言った。
俺「やめろ!彼女を放せ!どうしてもというなら俺が相手だ!」
その瞬間、大砲が放たれるような轟音をあげて、ヤンキーの鉄拳が俺の腹筋に深々と突き刺さった。
ウグゥゥゥ・・・
そうだった。俺は野球部を引退して以来、3年間運動らしい運動をしていなかったのだ。
戦意を喪失した俺は、背後に気配を感じた。
気配の主はさっきから俺の後ろをついてきていた男だった。
謎の男「よくやった。しかし君では無理だ。僕が代ろう。」
謎の男「君たちも自転車乗りのはしくれだろう。
ここは自転車乗りらしく、スピードで勝負をつけようじゃないか。
ここから約5kmの地点に唐津バーガー虹の松原店がある。
そこまで速く到着した方が勝ちというのはどうだい。
もちろん、そっちは仲間で列車を組んでもいいぜ。
もし、君たちが勝ったら、何でも君たちの言うことを聞こう。
そのかわり、僕が勝ったら、彼女のことはあきらめて、大人しくお家へ帰るんだ。」
ヤンキー「かっこつけてるんじゃねーーー!」
無理だ、あんなに体力の有り余っている奴らに、勝てるわけがない・・・しかも相手は4人だ。
時速35km/hを平地・単独で維持するのに必要なパワーは約200W。
それに対して、4人で列車を組んだ場合、列車の中心付近の者は110W前後でついていくことができる・・・
デヤァァァー!!!
言うが早いか、謎の男の猛烈な雄叫びが二丈の海に響き渡る。
ヤンキー「なめんじゃねー!」
ヤンキーたちも列車を組んで、謎の男に追いすがる。しかし、謎の男の出足鋭いアタックに、加速が追いつかない。
そればかりか、10m、20・・・徐々に差が開き始めた。
俺「馬鹿な・・・1対4だぞ・・・」
ヤンキーたちは「おぼえていやがれ!」そう捨て台詞を残して、唐津城の方へ去って行った。
唐津バーガー虹の松原店に到着した。
謎の男「お嬢さん、大丈夫ですか?せっかくの楽しいツーリングに水を差してしまいましたね。
おっと、自転車を降りたらこのクリートカバーをつけた方がいい。
砂利で、せっかくの新しいカーボンソールに傷をつけてしまいますよ。」
女子大生「ありがとうございます。なんとお礼を言ったらいいか・・・お名前を教えて頂けますか?」
俺は完全に空気であった。
かっこつけてヤンキーにたんかをきったはいいが、あっさり一撃でKOされてしまったのだから。
謎の男「お礼なんていりません、当然のことをしたまでです。それに、最初に勇気を振り絞ったのはこのつよし君ですよ。」
と言って俺のほうを指差したのである。
俺はとてもいたたまれなくなって、そのまま黙って走り去ったのである。
もちろんそれから稲森いずみには会っていない。
ウワァァァァーーーン!!!
走り去る俺の目には涙が浮かび、いつしか幼少のころのおじいちゃんの教えを思い出していた。
「つよし、正義なき力が無力なのと同時に、力なき正義もまた、無力なのじゃよ」
そうなのだ。勇気だけではどうにもならないことがある。
勇気は力に裏打ちされて、初めて価値があるのだ。
だから今の俺はお礼など言ってもらうことはできない。
だがしかし、いつの日か俺はこの体を鍛え上げ、真の自転車乗りになってみせる。
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要点をまとめます。
シマノのクリートは、よっぽどひどい歩き方をしない限り、そう簡単には削れない。
また、クリートを新しく買ったところで、クリートカバーとあまり変わらない値段である。
しかし、それでも私はこのクリートカバーを愛用している。
その理由は・・・
1.少しでもクリートの摩耗は抑えたい=クリート交換の頻度を下げたい。
クリート交換をすると膝に違和感が出るので嫌なのだ。
2.クリートに砂をつけた状態で乗ると、ペダルの寿命をも縮めているようだ。
3.少し歩きやすくなる。
しかし2週間ぶりくらいに使おうとしたある日、片方が見つからない・・・
考えられる可能性は
1.走行中に片方落とした
2.どこかに置き忘れてきた
3.家のどこかにある
たぶん3。
ちまちま部屋の片づけをしつつ、とりあえず片方だけ使用を継続している。
もう一個買おうかな・・・
価格評価→★★★☆☆(材料費で考えると高くない!?でもまぁそう売れるものでもないし・・・)
評 価→★★★★★(大切。)
実測重量 30g・・・片方で。