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~峠にチャレンジ・・・実践的コースガイド~
小林徹夫氏の連載が、バイシクル21で突然、何の前触れもなく始まりました。
埼玉、千葉、神奈川付近の峠を上りながら紹介する、という、地味な内容です。
第一回目は埼玉県は秩父の定峰峠。荒サイからのアプローチや輪行でのアプローチにも言及し、気が利いています。過不足なく的確な記述とわかりやすい地図などの2ページ連載。気合でがんばる、とか、必死で上りきる、みたいなものではなく、普通の人向けのヒルクライム的なサイクリングコースを紹介してくれる、地味ながらも便利な連載になりそうな予感です。なんのハッタリもない普通感が魅力です。
ところで、小林徹夫氏といえば、1980年代、サイクルスポーツ編集部で活躍していました。サイスポ伝説の日本橋~直江津320kmで、リレーランする藤下氏らサイスポ編集部チームを相手に回し、一人で受けて立ち、堂々と走るも、背中の激痛を訴え、ついに耐えかねて終盤リタイヤ。あれ以来、鉄人というニックネームの小林氏の連載企画 「鉄人と走ろう」 はサイスポの看板企画になりました。
小林氏は当時からレース関連の周辺情報には大変強かったようですが、それは一種、博覧強記なのか、勉強熱心なのか。近年だけではない、近代レース全般に通じており、その蓄積が今でも奏功しているようです。ネット検索時代の 「 固有名詞 → うんちく → うんちくの深耕 」 という一方向性的なオタク度の深化とは基本的に異なる、奥深さと応用力を持っているプロフェッショナルなのだと思います。
そういえば、サイスポ2009年5月号にあった小林氏によるTEXT 「女性レーサー列伝!」。あそこまで濃くて貴重なTEXTを書くことが出来るのは小林氏だからこそ、だと思います。こういうTEXTを書ける人は、小林徹夫氏、千葉洋三氏、佐藤晴男氏や、Mas CiclismoのNaco氏など、かなり限られるのではないかと思います。
その小林氏、最近では、20~30万円の価格帯のロードバイクのインプレをサイスポ4月号で披露し、健在ぶりを見せてくれました。そして6月号のロードバイクインプレ(新連載なのかな?)でも登場しています。
インプレの方は、機材を提供してもらっている手前、無難な表現にシフトしていますが、それでも、ブランドの背景から性格づけ、実際の感触など、ちゃんと参考に出来るわかりやすいインプレになっています。
で、いまさらながら気づいたのですが、サイスポ4月号の小林氏、相変わらず見事な自転車体型。実に切れ味鋭そうな、マルコ・パンターニのようなふくらはぎを開陳しています。(でも、さりげなく腹が出ていたりするかも。。。)。
そこで小林氏に提案だ!
26年ぶりにアワーレコードに挑戦!っていうのはどうでしょうか!!(ジョウダン…)
解説があまりにも…だったフジテレビの地上波ツール放映が終わり、今ではトライアスロン出身の白戸太朗氏やブリツェン監督の栗村修氏ら、すばらしいタレントを持つ人が解説をしている欧州レースの電波が大気圏外から飛んできますが、全く、いい時代になったものです。
で、今を遡ること20年前の1990年。宇都宮の世界選手権で小林徹夫氏はNHKでTV解説をしましたが、そりゃまあ、目から鱗の的確さでした。戦況分析から、戦術、個々の選手の脚質にまで落ち着いた語り口でさり気なく言及し、へぇ~、ロードレースの解説ってのは、こういうのを言うんだな、と。
小林氏本来の、落ち着いたわかりやすいレース解説ならば、今日、初めてレース中継を見る年配のご夫人でもレース放送を楽しめるかも知れません。若い人には少し物足りないかも知れませんが、私は好きです。
その辺りから(?)フリーになって今に至っている小林氏。地味だけど好青年、アニキという感じの鉄人。すべてのローディがポディウム目指す、などということはあり得ませんが、とにかく楽しく、末永く無事に自転車に関わって行きたい、と心から願う人々は少なからずいると思います。そんな人の拠り所になり得るベテラン。それが鉄人、小林徹夫氏だ、と私は勝手に思っています。
そういう意味で小林氏は、持てる力を十分に発揮していないのではないか?そんな鉄人の新展開を見せてくれるような連載を、ひそかに待ち望んでいますが、BICYCLE21 2010年6月号の峠にチャレンジ・・・が、その端緒だったらいいなあ。
いくつになっても現役サイクリストとして走り続けて、オレたちに色々教えてくれよ、鉄人!
・・・あっ、そうそう。バイシクル21の6月号ですよ、この投稿は。
で、ふと目次を見ると、な、何とあの三浦恭資氏のウィグライ・プロの広告を兼ねた面白すぎる「特別寄稿」がちゃんと「連載・読み物」の欄に載っています。あれ~、いつの間にか、広告ではなく普通の連載扱いになっているではありませんか!?
と思って本文を見たら、ウィグライ・プロの広告スペースが無くなっていました。でも、三浦氏はウィグライ・プロをさり気なくプッシュ!
これはもう、まぎれもなく伝説の連載だ!
価格評価→★★★★☆
評 価→★★★★☆