SLICK ROCK編『Bicycle magazine』2010年2月
購入価格 ¥980
この雑誌には、驚くべき進化を遂げている地味な連載が存在する。
その名は「ひとりでできるもん。」
「カンタンメンテナンスで、少しだけ自転車のことを診てあげよう。」という副題を持つこの連載は、Katsura Kanekoという女性が執筆している(そして、恐らく写真のモデルであると思われる)。
女性のための自転車メンテナンス入門を目指しているようだ。やわらかいタッチの、森ガールが撮影しそうな構図の素敵なモノクロ写真が多用されており、「メンテナンス講座」という感じではない。
この「ひとりでできるもん。」だが、2009年10月号(VOL.14)では「その八 ドロップハンドルの自転車に乗るのはかんたんだもん」というタイトルで、ドロハンの種類だの、基本的な乗り方だの、バーテープの巻き方だのが紹介されている。
ここまではわかる。なかなか良い企画じゃないか。ドロドロに汚れたスプロケットやチェーンなどを見せたら多分ひいてしまうが、バーテープ交換なら「コーデ楽しい!」となって、この連載のファンになる女性も多いだろう。たぶん、次回は「クリート調整はかんたんにできるもん」とか、「変速はかんたんにできるもん」とか、そういう内容になるのだろう。そう私は思っていた。
しかし、予想は大きく裏切られた。2010年2月号(VOL.16)の「ひとりでできるもん。」のタイトルは、「その十 振れ取りはかんたんだもん」である。
いきなりハードル上がりすぎだろ!! と思ったのは私だけではあるまい。
「ドロップハンドルの自転車に乗るのはかんたんだもん」からわずか四ヶ月、「振れ取りはかんたんだもん」と言えるようになるまで成長したKatsura Kaneko嬢。広々とした屋外のコンクリートの地面にミノウラのワークマンプロを置き、A-CLASSのALX220を振れ取りしている。
ご存知のように、振れ取りは(やったことがない人には)ハードルが高い作業であり、ミノウラのワークマンプロは安価ではあるものの作業性は良くはない。そもそも、ロードに乗って二年、三年になるが、ホイール組みはしたことがないし、振れ取りもショップでやってもらう、というサイクリストは結構多いはずだ。ちょっと悔しくなった人も多いんじゃないか。しかも彼女、多くのサイクルプロショップでは別料金扱いになっている「縦フレ」取りにまで挑戦しているのである。
「その十」で「振れ取りはかんたんだもん」に到達した「ひとりでできるもん。」。今後の展開が楽しみである。この調子でいけば、その十二では「マヴィックホイールのベアリング交換はタクリーノのツールがあればかんたんだもん」、その十四では「フォークのねじ切り加工はかんたんだもん」、その十六では「サスのエア抜きはかんたんだもん」という内容になっても何ら不思議ではない。
頑張れ森ガール!!
価格評価→★★★★☆ 評 価→★★★★☆
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