ここのレビュワーさん方の自転車写真は、実に素晴らしい写真が目白押しで、私ごときがどうこう言える立場にないが、自転車関連のBLOG、BBSなどを見て回っていると、あとちょっとの”惜しい”写真をよく見かける。かく言う本人の写真だって、撮った本人だからわかるダメ写真は山ほどあるんだが、まあそれは棚に上げずに悪い見本として俎上に上げて、かっこいい自転車写真について考えてみたい。
自転車写真のセッティング自転車の側面写真は、チェンリングのある側から撮るのが普通。つまり画面右が自転車の前になる。
クランクの位置は、日本ではチェンリング側クランクがシートチューブの延長線に、イタリアではチェンリング側クランクが水平またはシートチューブと直角の位置になるセッティングが主流のようだ。少数ながらチェーンステーの延長線というのもある。この辺は好みで選んでいいだろう。
ギアはあくまでアウタートップ。めんどくさいけど。
ホイールは、バルブを真下にする。多くのホイールはこの状態でロゴがちゃんと読める状態になる。
ハンドルは直進状態。
設置場所は水平が基本。どうしても傾く場合、前下がりよりは前上がりの方がかっこいい。乗り物写真は大概、進行方向が上がっていた方がパワフルな雰囲気が出ると思う。
こまけぇこたぁいいんだよ!って人も、最低でも、写真に写る範囲の清掃美化に努めよう。ガードレールに繋いだ地球ロックは外して撮ろう。ゴミだらけの場所に繋がれて写真を撮られる自転車は却って哀れだ。
背景できればシンプルな背景の方が、主役の自転車が引き立つ。
原色系のフレームの場合、背景は白、黒、灰色など無彩色にすると自転車が引き立つ。
チェレステなどの場合はどうしたらいいだろう。パソコンをお持ちなら、お絵描きソフトを立ち上げて、カラーピッカーで探すことができる。カラーピッカーでフレーム色を選択、ここから中心の白を通って、同じ距離にある色、中心の白から直角方向の同じ距離にある色が、マッチングのいい色とされている。
この図で行くと、チェレステに合う色は黄色、ピンク、紫とわかる。なるほどパンターニだ、初号機だ。この考え方はパーツやウエアの色を選ぶときにも役立つ。
もう「ロード乗りは色彩感覚が壊滅的」とか言わせないぞ!w
トップチューブが水平な自転車の場合、背景に水平なラインが入るシャッターやガードレール、手すりなどは避けた方がいいと思う。特に線の細いクロモリフレームは、できれば自然な風景がいい。ブロック塀より石垣、フェンスより竹垣、ガードレールより植え込みがいい。自然界には直線や直角といった、自転車のフレームに絡んで画面を煩雑にする要素が少ないから。
古いものとのなじみが意外にいいのが自転車。ペンキを塗り重ねてリベットゴツゴツのトラス鉄橋、赤れんがの橋脚や石積みのトンネルポータルなどを見かけたら、一枚撮っておくといい。自転車を立てかけて貴重な文化遺産に傷をつけるとかいう心配も、とりあえずこうしたものでは無用だ。ヘタに立てかけると傷がつくのは自転車の方だからだ。
意外なのは銀色のカンパで組んだ鉄のイタリアンバイクが、日本的な風景に恐ろしく合うということ。これは是非お試し戴きたい。ウーゴに内緒(誰?)どころかむしろ教えてやりたいぐらいだ。日本各地を行脚して自転車店店主とツーショットに収まっているエルネスト黄門様(だから誰?)はきっと知っている。
自転車に傷がつくのも困った問題だが、自転車が鉄だったら、文具店で売っているマグネットシートをチューブの直径よりやや細く切ってこれを携行していれば、自転車を立てかけたとき当たりどころに挟めばキズ防止になる。
光線状態晴天順光で撮ると、チューブのロゴが照り返しでまっ二つということもある。これはがっかりなので、カメラの位置を調整してみたり、敢えて薄曇りの日を狙うとか、逆光での撮影も試してみるとか、木陰などを利用して光線をカットしてしまうといった方法を試してみるといい。時間があるなら少し待ってみると、太陽光線の方向も変わってくる。
太陽より厄介なのは街灯の明かり。太陽と違っていくら待っても動いてくれないから。しかも水銀灯の明かりは写真に撮ると緑色に映り、あまりきれいではない。
逆光の場合露出をオーバー気味に補正してやると、遠景が白く飛び気味になってフレームが引き立つ。露出補正は補正値を変えて、何枚か撮っておくといい。
なお、乗り物写真にストロボは禁物である。走行中なら運転者の目を幻惑させるし、停止状態でもストロボの照り返しが写真を台無しにする。
構図棒立ちで撮ると地面が背景になってしまうし、見下ろす感じになり自転車が小さく見えてしまう。カメラの位置はトップチューブより下に。シートチューブのボトルケージが正面に来るぐらいでちょうどいいように思う。しゃがんで低く構えることで手ぶれも防げる。尻を地面に着いて立ち膝で座り、肘を膝に置いて両手でカメラを構えると、夜景でもぶれにくい。
背後の遠景を多少なりとも暈して、歪みなく撮るために広角よりもやや望遠で撮った方がいい。ピントはとりあえずフレームのロゴで合わせるのがいいだろう。一眼レフに数十万円とかの高級レンズでもない限り、これで自転車がピントの合う範囲を外れることはない筈だ。高級な機材はそういう扱いの難しさもある。
クローズアップここは拘ったという部分をクローズアップするのも面白いのではないかと思う。カメラのファインダー越しに覗いてみると、見慣れた自転車に新たな発見があるかもしれない。見る角度を変えると光の当たる角度によってパーツの表情が変わる。
フレームに装着され、自然光の下で撮ったあなたのこだわりのパーツを、是非あなパーに投稿してほしい。
価格評価→★★★★★(高級機はいらない、むしろ安いカメラでいい)
評 価→★★★☆☆(みんなで目指そう三ツ星写真)