購入価格 ¥15,000(型落ち新品ネットオークションにて)
使用中のノースウェーブ2本ベルクロのMTBシューズがくたびれてきたのと最近ソール剛性が気になって(経年劣化か?)、新しい靴を探していたところ、オークションで発見。欲しかったSIDIドラゴンはとても1.5万では買えず、同じくらいの売価のSIDI GIAUと秤に掛け
・シマノSPDシューズのフラッグシップ
・カーボンソール
・ラチェットバックル
・熱成型カスタムフィット
のフルスペックと売価に自分を納得させてある意味妥協して購入。
届いた靴の色は『グラファイトブラック』。これしか色は無いんですが、この色は光源によってかなり印象が違います。室内や夜間の照明下では明るめのグレーな感じ。自然光の下ではかなり黒に近いグレーに銀色の細いラインが目立って見えます。室内で見ると外箱の横に書かれてるイメージと全然違うんですが、外で見るとなるほどと納得できます。デザインは一連のシマノデザイン。ロボコップやナガスクジラみたいです。このデザインが採用され始めたとき『絶対買わない』と思っていたものでしたが、見慣れたのかそれとも現行モデルがより無難な無国籍風になってしまったからかはわかりませんが、最近はこれはこれで『シマノ』を強く主張していて良いんではないかと思えるようになってきました。同じぐらいのサイズのSIDI製と比べると外観が一回り大きく見え、『良質な靴は小さく見える』法則からはどうでしょうか・・・。
足を入れたときの第一印象は『幅が広い』。ワイドタイプと謳っているだけにかなり広く感じます。そのほかの印象はうすく、フィット感を含めごく普通のサイクリングシューズ。歩いてみるとソールがまったくしならずに舗装路上では非常に歩きずらいです。これだったらナイロンソールのロードシューズの方がはるかに歩行性が良いと思います。歩行時に舗装路上で滑りやすい印象はありませんが、アウトソールもベースはプラスティック(ナイロン?)の為ロード用クリートで歩行しているように音もカッツカツです。固く踏み固められた土の斜面に雨が降ったような状況では硬いブロック状のアウトソールがスパイクのように食い込んでグリップします。かかと部分内側に浮き上がり防止のためにすべりどめの布が使われていますが、ずり上がりにくいのはいいんですがまるでやすりの様でソックスが痛むんじゃないかと思うくらいです。スパイクピンを外した後のカバーボルトも金属製で歩く度に音を立てるのでコンビニなどではかなり気を使う感じです。自転車に乗車してみると、ことさらにソールが硬くて反力を強く感じる印象はありません。やわらかめのSPDシューズで踏み込んだときに感じていた一点で踏んでいるようなクリートの存在感はなく、足裏全体で踏んでいるような印象です。アウトソールの土踏まず部分はカーボン剥き出しで、登りでの漕ぎ出しなどとりあえずペダルを嵌めずに踏むということができません。ロード用と同じくその部分もしくは嵌めずに踏み込んだ途端に足がすべり、怪我をしかねません。
さて、メーカーは熱成型をしなくとも充分に履けますと言ってますが、せっかくなのでDIYにて熱成型をしてみることにしました。指で触って見た限りでは、このモデルには足の甲部分とヒール、インソールに熱成型プラスティックが使われているようです。まず、インソールをヘアドライヤーで加熱してみましたが埒があかないので、台所のガスレンジで様子を見ながら加熱。「クタッ~」となったのを見計らいシューズに挿入して足を入れつま先加重。「ムニュ」と変形する感触が判り(加熱不良の場合は感触無し)少しそのまま冷ましてから見てみると、見事に足型がついています。同じように踵部分を成型しインソールの処理は終了。次に靴本体ですがシマノ推薦のシステムと同じくバキュームを使うのは準備が面倒なのと全体を一度に加熱する為のオーブンの使用許可がキッチン取締役から下りなかったので、インソールと同じように部分的に加熱し、クロージャーを締めて手で押さえつける方法をとりました。加熱する温度は60℃くらいでしょうか?かなりあちちな感じです。片足を成型後にクロージャーを締めず左右を履き比べると違いがはっきり感じられたので成型は出来ているようです。成型後に乗車してみたところ、僅かに感じていた親指付け根足裏部分の違和感が消滅し、ゆるめの締め付けで充分なフィット感が得られるようです。かえって、歩行時のほうがクロージャーをきつく締め付けるようになりました。
クロモリロードで秩父白石峠の登りを含む200km程度のツーリングに使用したところ、心配していたソールの硬さによる足裏や膝などの痛み・不快感はツーリング後も含めまったく無く、こと走行に関しては快適そのものです。ペダリング効率的にも力がどこかに吸収されてる感じがしないのできっと良いことでしょう。
この靴は純然たるレース用で熱処理作業が必要なこともあり、ほぼ定価に近い価格でリアル店舗でレース用に購入する方が大多数だと思います。設定された用途で最大限機能させるにはリアル店舗で厳密にサイズを選び熱処理するのが最良だと思います。自分はレースに使うわけではないので、型落ちでこの価格で縁がなければ購入しませんでした。単純に処分価格だったこと、カーボンソールとはいかに?フラッグシップモデルとはいかに?という思いから購入しました。歩ける(どのくらいが歩けるに値するかは人それぞれですが)上等なロードシューズが欲しくて探し最終的にこの靴を選びましたが、全体的にはやはりオーバースペックですね。それでも、ロードツーリングに使用できるかと問われれば充分使用できると言えます。ロード用シューズと同じく乗車している限りは快適ですし、歩きにくいとは言えソールは水平なのでペンギン歩きにはなりにくいです。シマノは『用途にあった靴が必要で価格が高いから良いわけではない』といってますが、RTシリーズにはカスタムフィットが用意されていませんし、ロードシューズほどではないにしろ歩行性を少し犠牲にしてもう少し高い剛性を望んでいるユーザーもいるんではないでしょうか?コンセプトとしてはナイキのグランフォンドWRXみたいな感じですが、需要が無いんでしょうかシマノに限らず少ないですね、そういうのは。
カスタムフィットインソールは安いので、それだけを買って試してみるのはアリです。もちろん、ここで書いた方法はシューズ本体に関してもイレギュラーな方法ですので、参考にする場合は自己責任で。くれぐれも火事には気をつけてくださいね。
価格評価→★★★★(購入価格なら)
評 価→★★★★