出版:スタジオタッククリエイティブ
購入価格 ¥1890
前回レビューした「技あり!プロショップスタッフ仕様」の続編である。
なぜか版型が大幅に縮小され、21×18cmという変形版となったが価格は¥100アップとなっている。
まず冒頭のP45まではイタリアのピナレロやコルナゴなどのフレームメーカおよびカンパニョーロの工場探訪記が掲載されている。
同様の企画は自転車誌の定番(おそらくはメーカー側のアゴアシ付き招待取材)であり少々食傷気味。砂田弓弦氏の「イタリアの自転車工房物語」(八重洲出版)という優れた仕事があるので、ここに改めて掲載する必要性が感じられない。
本題のホビーレーサーの愛車紹介はP48~149で57台。
P47に撮影協力ショップとして関東の23軒のプロショップが掲示されている。いずれもレース志向の名の知れたショップであるが、関東限定というのがいかにも出張取材費を節約したことを感じさせる。
食べ物や風習に郷土色があるように、自転車にも各地の方言のようなものがあるはずで、そういった意味では江戸料理しか載っていない和食の本のようなものである。
紹介されている自転車がどのような観点でセレクトされたのかはよく分からない。
バリバリのシリアスレーサーからお散歩街乗りバイク、メッセンジャー仕様、公道ピストとよく言えばバラエティに富んでいるが、ハッキリ言ってバラバラである。
例えばBR-1クラスで上位入賞するようなレーサーの愛車を20台、ヒルクライムレース専用車を20台、長距離サイクリングイベント参加車20台などとテーマを持って並べれば見やすく、参考書としての価値も出ると思うのだが。
ページの基本構成は前回と変わらず。ただしパーツの仕様表がスペースの関係かなくなっている。文章の内容については残念ながら改善はみられない。
1994年にアテネ書房より出版された「美しき自転車 魔物たち」(新田眞志)が手元にある。ニューサイクリング誌1985年7月号~1993年7月号に連載されていた企画ページより32台を抜粋し紹介している。巻頭に全車のカラー写真がまとめて掲載され、あとはモノクロ写真と文章で一台6ページずつで紹介していく構成になっている。
各章毎にその自転車に使用されたパーツやフレームの工作などについてエッセイ風の考察が付けられており、非常に参考になる。自動車で言えば旧車レストアの世界のようなもので、最近のロードブームに乗って自転車の世界に踏み込んだ人には全く別世界だろうが、こういう世界があり、またこのように優れた本が出ていたのだということを知ってもらいたい。すでに絶版だが、アマゾンでは中古価格\8300で売りに出されていたので、興味ある方は是非どうぞ。
価格評価→★☆☆☆☆
評 価→★☆☆☆☆