購入価格 ¥4,600前後
「使い易けりゃそれでいいだろ」と言わんばかりの大型携帯ポンプ(実測全長347mm)。携帯性は清々しいまでに無視して(?)、愚直に使い勝手の良さのみを追求したかのような潔い一品です。実際、空気の入れ易さに主眼を置いた機構が満載なのです。まず、それらをご紹介しましょう。
1.ポンプの底部には、折りたたみ式の踏み板が装備されています。フロアポンプのように地面に立て、足で押さえながら体重をかけてのポンピングができるわけです。
2.ハンドル部分は可動式で、T字型に展開してポンピングできるように工夫されています。
3.ホースもフロアポンプのように付け根が回転する構造なので、無理のない角度で口金をバルブに差し込めるようになっています。ただ、ホースの長さが充分ではないので、バルブに無理な力がかかりやすいのも事実で、私自身バルブコアを曲げてしまった経験があります。それでも、設計上の問題というほどでもなく、ホイールを立ててポンピングするなど、注意を払っていれば防げる類のトラブルであると思われます。なお、口金はねじ込み式ではなく、押し込んでからレバーを起こして固定する方式です。
4.さらに、ご丁寧に折りたたみ式の空気圧ゲージまで具えています。誤差も許容範囲内で、充分目安になります。
などなど、これらの機構のお陰で、特筆に値する空気の入れ易さを実現しています。MTBの常用域(80 psiくらいまで)でなら、ポンピングが苦になることはありません(カタログ値では、160 psi対応)。これはもはやハンドポンプではなく、小さなフロアポンプとでも呼ぶべき代物です。
ただ、耐久性には疑問が残ると言わざるをえません。ハンドルとシャフトをポンプ本体に繋ぎとめておくためのブラケット部分が購入後すぐに破損し、ハンドルが固定できなくなりました。また、購入から3~4年経った先日、案の定というべきかポンピング中に踏み板がバキッという音と共にもげてしまいました。それなりの年月は経ているとはいえ、頻繁に使うものでもないので、改善の余地があると思われます。
もっとも踏み板がなくても、実用に重大な支障をきたすことはなさそうですが、正直なところ、あまりの大きさと重さに多少嫌気がさしていたのも事実で、ここぞとばかりにLEZYNEのものを新しく買ってしまいました。
あえて携帯性をかなぐり捨てるという、携帯ポンプの本分にもとる暴挙(笑)に出た製品ではありますが、使い易さをとことん突き詰めるというTOPEAKの意図と情熱が端々に感じられ、これはこれでありという感じです。携帯性を重視した同社の小型ポンプもきちんとラインナップされているわけですから、棲み分けができているということでしょう。
小さいポンプでは扱いづらいというか細い女性、通勤通学でタイムロスが許されないシビアな環境に身を置く方々、はたまたパンク魔を自認する過激な方々にとっては、この上ない製品なのかもしれません。
価格評価→★★★☆☆ 結構なお値段だが、様々な機構満載なので。
評 価→★★★★☆ 耐久性に難ありだが、本当に入れ易い。2箇所壊れてしまったけど、まだ使える。
カタログ重量→280g(実測重量:275g)