購入価格:失念、確か¥6,000程度でした(@ wiggle)
トラックポンプ定番中の定番、SKSレンコンプレッサー。
もう40年以上にわたって同じ基本構造のまま作り続けられている超ロングセラーで、圧倒的な丈夫さと高圧域での確実な動作を誇るのが特徴。まさに古き良きドイツ製品の面目躍如というやつで、最新の樹脂やアルミを駆使して大型化した現代のフロアポンプと比べるとレンコンプレッサーの細身なスチール製バレルはエア吐出量が若干心許ないものの、摺動部の精度と剛性感は未だに一線級で、しかも年に1~2回程度溜まった水を抜いてやるだけの簡単ケアで何年でもその素晴らしい性能が維持できるのが素晴らしいポイント。我が家のレンコンプレッサーもすでに7年使い続けていますが、草臥れたような感触がどこにもありません。ホビーユースならば、パッキンの交換をそれこそ10年に1回位の頻度で行う程度で一生モノとして使い続けられるのではないでしょうか。
SKSのコーポレートカラーであるオレンジに塗られたバレルは鉄製、同じく鉄鋳物のベースと組み合わせられ10bar以上でもキッチリ充填できるパワーと無類の高耐久性を両立させています。非常にクラシックな佇まいを持っていますがRennkompressor=レーシングポンプの名に恥じない最大16bar/230psiの高圧充填が可能。常用域となるのは精々8~9bar程度までですが、エア吐出量の少なさから若干ポンピング回数が多くなる(700x22Cチューブラーを8barまで上げるのに25回)ものの、動作感も比較的軽くやや短いストロークを生かしてバレルを目一杯使いきりながら体重を預けることができるので、ストレスフリーで使いこなせます。ハイエンドフロアポンプはエア吐出量を稼ぎ出すためにバレルとインナーシャフトを長く作るのが定石ですがレンコンプレッサーは比較的コンパクトで、インナーシャフトを最大伸展させてもわりと低い位置に収まる(バレル高57.5cm+シャフト長49cm=116.5cm)ため、小柄な私でも胸元あたりから押し込んで腿あたりでストロークしきれるため無理なく体重をかけたポンピングが可能です。
もともとの丈夫さもありますが、割と簡単に分解でき整備性も高いのが嬉しいです。補修部品も割と簡単に手に入れられるので、コレを持っていれば買い替えはまず必要なくなります(実際愛用している方は10年以上使いこむ方が多いようです)。
またアタリハズレはもしかしたらあるかもしれませんが、私の個体はアナログエアゲージの出来が秀逸で、プルドン管を用いたPanaracerの高精度ゲージと比べてもほとんど誤差がなく、7年の使用で狂ってしまうようなこともありませんでした。ゲージはベース部についているのですが文字盤はすっきりしていて読みやすく、オレンジのインジケーターも付いているので視力の低い私でも特に読み取りにくいとは感じません。
とここまでベタ褒めしましたが、さすがに基本設計が古いので最新のハイエンドフロアポンプに比べると見劣りしてしまう部分というのも確かにあります。例えば折りたたみ式のステップ。ここがいまいち安定感にかける上、ベース自体がコンパクトなのもあって体重を預けるポンピングをすると若干身体が前後にぐらつくのが気になります。またエア吐出量がちょっと少ないためMTBやチューブレスには向かないですし、SKS純正のEVAヘッドがちょっとチャチい点も上げられるでしょう。このあたりを解消できれば、もう文句なし。ポンプ全体がほぼ総スチール製なのでそこそこに重量はあり(2.35kg)、動作部分の剛性感がしっかりしているのでベース部分の若干の不安定さは慣れればそれほど意識しなくなりますが、エア吐出量が少ないことだけはカバーのしようがありません。高圧域の性能とトレードオフの関係にあるので仕方のない部分ではありますが…1インチ以上のタイアも頻繁に使う方は他のポンプを使ったほうがいいでしょう。また付属のEVAヘッドの頼りなさは受け入れがたいものがあるので、私は即ヒラメ横カムに差し替えてしまいました。以降不自由・不具合等一切なく使い倒せているので、これはぜひともお勧めしたい組み合わせです。
まとめると、一部弱点はありますが実売価格が1万円を切る手頃さで、ロードやクロスなど700x25C位までのチューブド・チューブラーを中心に使っている人がはじめて購入する本格的なフロアポンプとしては今でも最良の選択肢のひとつである、と言い切ることができます。
価格評価→★★★★★(円高時に購入したのでかなり安かった)
評 価→★★★★☆(TLやMTB用途を無視すればほぼ満点)
<オプション>
年 式→2007
カタログ重量→ -g(実測重量 2.38kg、最大高116.5cm)
最大許容圧 16bar/230psi