SHIMANO BR-R517
【非競技・日常使い・うまい蕎麦を食べて景色を楽しむサイクリング、しかし「スポーツバイクらしい基本性能はしっかりしていてほしい」視点でのレビューです】
とっくに廃盤品ですが、機械式キャリパーとして、基本性能が高いと思います。 表面仕上げは艶のある深い黒。 きちんとセッテイングできるし、丁寧に組めば、これ以上いらないというくらい良く効き、制御もしやすい。
以下は、現在も販売されている下位グレードのBR-R317との比較を交えたレビューです。
結論からいえば317は、ある意味確信犯的な517の廉価版。見た目はそっくりですが517は105、317はSORAグレードで、当然のことながら(おそらく意図的に)性能に差をつけてあります。
両方組んだり乗ったりして比べたところ、
1 317の方がリターンスプリングがあからさまに強い。これだけ違えば、517の方が組んだ時に引きが軽く感じられるのは当たり前。さらに、317の方がアームの最大戻り量が多い。逆にいえば517はアーム可動域が最小限で、効かせる位置まで握った時でもバネの抵抗が少ない。
2 ピストンとキャリパー筐体との隙間が、317はかなり遊びがあってブレーキダストなどが入り込んでしまうが、517はシールがあってピッタリ詰まっているのでピストン内部が綺麗に保たれる。
3 アーム上でワイヤーの通る道が、517の方が直線的。317はわざわざワイヤーがアーム上で対角線を通るように設計されている。おそらくこの差は若干なりともブレーキフィーリングに関わる。当然ながらアウター受けから固定ボルトまで直線的に引ける517の方がレスポンスが良いはず。後ろのキャリパーをチェーンステーに固定するフレームの場合、317はケーブルの固定ボルトがシートステーの真下に来るので締め付けにくいが、517は外に逃げているのでその問題がない。
4 ケーブルアジャスターが517には無く、317にはある。517はアウターをキャップ無しで直接差し込む構造。
このような差がありました。
競技志向でないサイクリストにとって機械式には利点が沢山あるのに、シマノからはもう最下位グレードのキャリパーしか出ていないというのは、とても残念なことです。
価格評価→★★★ 評 価→★★★★
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