購入価格 おおよそ¥50,000(前後セット、自作の為パーツ代のみ合計。)
私の自作手組ホイールである、
[手組み] Shimalin RR500
https://cbnanashi.net/cycle/modules/newbb/viewtopic.php?topic_id=10534&forum=30[手組み] KINLIN XR-300 20H + Tniエボライトハブ +星#15(前輪のみ製作)
https://cbnanashi.net/cycle/modules/newbb/viewtopic.php?topic_id=14120&forum=30※Shimalin RR500 の前輪と同スペックです。
から得られたデータを元に組んだ実験用手組ホイール2号機。
仮組段階からいきなり実験台にされ、素晴らしい働きぶりを見せてくれておりましたが、いい加減走らせたいなーという製作者の欲望により、フツーに振れ取りされフツーに完成となりました。
↓実験詳細はこちらです。
組みかけ又は分解しかけのホイールを使った応力解析シミュレータ
https://cbnanashi.net/cycle/modules/newbb/viewtopic.php?topic_id=15181&forum=48&post_id=26320#forumpost26320本来の製作目的はもちろん応力解析シミュレータ用途ではなく、
・Shimalin RR500 や、他の歴代自作ホイールから得られたデータを元にした進化版ホイールを製造したい。
・動的リムセンタ(※)が得られる手組ホイールを更に探究したい。
・ワイドリムってどんなもんよ?という好奇心。
・オフセットリムってどんなもんよ?という好奇心。
・Shimalin RR500に流用しているShimano R500のリヤハブ(気が付けば9年間酷使)のフリーから嫌な軋み音が出ており、いい加減壊れそう。(笑)
といった理由からです。
特に後輪は、11s時代を生きる自作手組ホイール派自転車乗りが忌み嫌う"オチョコ量"に対し、東のパッ○ス、西ののむ○ボと讃えられる東西の手組ホイールの雄が提唱する11s後輪のオチョコ量対策要素をてんこ盛りにして真向勝負を挑みました。その結果ちょっとやり過ぎてしまい、リヤの『動的リムセンタ(※)』は、わずかに非フリー側寄りとなりました。
両側結線にしとけばよかったかも...。
====================
<※私の造語解説>
・静的リムセンタ
⇒ホイールにセンターゲージを当てて測るアレ。出てるのが当たり前。
・動的リムセンタ
⇒ハブに駆動トルク(又はディスクホイールの制動トルク)が掛かった時に、ハブが駆動側のスポークを巻き込む事でリムが横に移動する現象が起きる場合があります。リムが横に移動するホイールは横方向に力が逃げる、動的リムセンタが出ていないホイールである、と私は考えています。例えスポークがユルユルの仮組み状態でもハブに駆動トルクが掛かった時にリムが動かないホイールが、構造的に『動的リムセンタ』が出たホイールです。
後者は私が目指すホイールの理想形です。
====================
ホイール組み作業の感想をサラっとだけ書くと、
後輪はオフセットリムのお陰で左右のスポークテンション差が少なく、11s仕様のハブでもメチャクチャ組みやすかったです。
前輪はフツーの左右対称構造なので、良い意味でフツーのいつもの組み心地でした。
ホイールのスペックは下記の通り。
【フロント側】
リム:パックスサイクルオリジナル アルミクリンチャーワイド 30mm 700C 前輪用
ハブ:TNIエボリューションライト16H
スポーク:星プレーン#15(φ1.8mm)
スポークパターン:ヨンヨン組みイタリアン(アヤ無し)
【リヤ側】
リム:パックスサイクルオリジナル アルミクリンチャーワイド 30mm 700C オフセット 後輪用
ハブ:TNIエボリューションライト24H
スポーク:星プレーン#14(φ2.0mm)
スポークパターン:ヨンロク組みイタリアン ※反フリー側のみ PEライン結線
ハブは穴数の選択肢が豊富で比較的入手しやすいという理由でTNIエボリューションライトを選択。スポークは価格の安さと入手のしやすさを理由に我が家の実験ホイールに標準採用している星のプレーンです。
比較対象ホイールとなるのは、今まで履いていた Shimalin RR500。ちなみに、Shimalin RR500 の後輪の動的リムセンタはフリー側寄りとなっています。
ホイールの試乗方法は下記の通り。
前輪・後輪の特性を個別に確認したかったため、後輪のみ交換 ⇒ 続いて前輪も交換 という順番でホイールを入れ替えて特性を確認しました。
また、パックスオリジナルリムは25C推奨のワイドリム規格ですが、タイヤを変えると比較試験にならないので、敢えて Shimalin RR500 に履かせて使用していたGP4000SⅡ23Cをそのまま移植して比較実験を行いました。(しかし後で酷い事に...。)
チューブも変更無し。
リムテープは、幅は違いますが銘柄はシマノのリムテープで統一。
マシンはいつものクロモリ。
ホイール以外のパーツは完全に同じです。
評価内容は
・見た目
・加速性能
・巡航性能
・ハンドリング性能
・乗り心地(快適性)
・ブレーキング性能
です。
自作ホイールの為概要の説明の前置きが長くなりましたが、
本題の走行インプレッションに入ります。
【見た目】
ぶっちゃけ前作と同じです。(笑)
よーく見るとハブが違う。
よーく見ると前輪のスポーク本数とスポークパターンが違う。
更によーく見るとリム幅が太い...?(気がする)
ぐらいの違いしかないので、XR-300で組まれたフツーの手組ホイールにしか見えません。
【加速性能】
Shimalin RR500 << 今回の手組みホイール
以前より明らかに軽い踏み心地でダッシュ力に長ける印象。
特にヒルクライムは秀逸。
後輪のみ交換した時点でかなりの効果が出ていたので後輪の影響力が大きいようです。
この特性の変化について下記の様に考察しました。
Shimalin RR500の後輪と今回の手組みホイールの後輪を比較すると、
========
・リム重量
・スポーク銘柄
・スポーク径
・スポークの組み方
========
以上4点は共通仕様となっています。
ダッシュ力UPの原因は、動的リムセンタがそこそこ出ている効果か、ワイドリム化してタイヤが横に引き伸ばされた結果、見掛け上タイヤの偏平率が下がって変形量が減りダイレクト感が増したかのどちらか、あるいはその両方だと思います。
ネガティブポイントはというと、ちょっと柔らかめに組んだせいかダンシング時に若干シュータッチします。(あかんやんw)
シュータッチするのは常に非フリー側のシューだけなので、動的リムセンタが反フリー側に寄っている影響が出ていると考えて間違い無いと思います。スポークテンションを上げてやればシュータッチが収まるのは分かっていますが、
①ダンシング時に無理にバイクを振らない。
②シュータッチしない様に力を押えて走るのではなく、むしろ積極的にハブにトルクを掛け、タンジェントに編んだスポークを締め上げるイメージで強く踏む。
といった事を実践するとシュータッチが消えます。
非フリー側は結線してあるので、駆動時のスポークの巻き込み現象は起こりにくく、フリー側は結線してないので強く踏み込むとスポークの巻き込みが起こり、結果、リムはわずかにフリー側に引っ張られ、シュータッチが消えたと思われます。
偶然にも効率の良いペダリングを習得する為の練習器具(矯正器具)として機能するホイールが出来上がってしまった。(笑)
ついでにイタリアン組みのホイールは踏み込んだ時に横剛性が上がるという現象を実際に体感出来た。
完璧に組めていなかったとはいえこれはこれで興味深いし、単純に乗ってて面白いので、シュータッチが極端に悪化しない限り敢えて放置してみたいと思います。(ヲイ)
フロントも程良い剛性でいい感じに加速を支えてくれます...が、加速時は問題無いってだけで、それ以外の面で剛性不足が出ているので後日組み替えます。(ハンドリングの項で詳細を書きます。)
【巡航性能】
後輪のみ交換の時点では、
Shimalin RR500 > 今回の手組みホイール
という結果となりました。
この特性の変化について下記の様に考察しました。
Shimalin RR500 は、ベースとなった Shimano R500 譲りの一定速度巡航が得意なホイールです。今回の手組ホイールは、Shimalin RR500 を単純にワイドリム化したのと殆ど同じです。
とすると、リムとタイヤがツライチになると空力性能がUPするというホイールメーカーの宣伝文句の実証試験をするにはとても都合がいい。(むふふw) 宣伝文句が真実であれば、今回の手組ホイールも巡航性能が向上するはずです。
しかし、結果は逆であった。
この結果からすると、ホイールが発生する走行抵抗のうち、リムとタイヤの形状(断面形状)やタイヤとリムの段差が発生する空気の渦によって決定される空気抵抗係数(Cd値)の影響は大したことなく、単純にリムとタイヤの前面投影面積の影響の方が支配的なのではないだろうか。或いは、比較の為にタイヤを23Cのままとした事によってタイヤ本来の性能が出なかった影響の方が支配的だったのだろうか。
どちらにせよリムとタイヤをツライチにして空力性能を稼いでも、他の要素でスポイルが出るのであれば、リムとタイヤのツライチに意味は無いと思う。
私はホイールメーカーの言い分に大いに不信感を抱いたぞ?w
では、前輪はというと。
今回組んだ前輪は、
[手組み] Shimalin RR500
https://cbnanashi.net/cycle/modules/newbb/viewtopic.php?topic_id=10534&forum=30の2個目のレビューで言う所の、『RR500-X7』の亜種に当たるホイールです。
上記レビューで検証した空力性能の簡易計算データ表を下記に示します。
前輪のスポークだけで比較すると、前スペック比で 20[%] 空気抵抗が小さいのでよく伸びます。
副産物として、横からの突風にも前スペック比で 20[%] 性能が向上しています。
その机上計算通り超気持ち良く伸び横風も全然気にならない、超気持ち良い前輪に仕上がりました。
前後輪交換時の総合性能では
Shimalin RR500 < 今回の手組みホイール
となります。
一気に形勢逆転です。
前後輪のスポイルをスポーク4本取っ払うだけで性能低下を取り返すどころか逆転して、前作の Shimalin RR500 の巡航性能を軽く凌駕してしまうぐらい速くなります。スポーク本数(正確には、ホイール1本当たりのスポークの前面投影面積の総和)は、なかなか侮れない大きな空力性能要素であると言えると思います。
ここで気を付けなければならないのは、
エアロスポークを入れると前面投影面積は減り巡航時の抵抗は減りますが、横面投影面積(今考えた造語w)が増えるので耐横風性能は悪化するという事。
極論、普通の丸スポークを圧延加工しまくって究極のスーパーペラペラエアロスポーク(厚さ○ミクロン!!)を作ったら隣のスポークとくっついて気が付けば前後輪ともディスクホイールになりました。ハイ、重量そのまま、巡航楽々、横風超怖えぇぇ!! なホイールの出来上がり。
と考えればイメージが湧くかとw
こんな感じで空力的には大成功を収めましたが、後輪と同じく他要素による走行抵抗発生の影響で若干スポイルしている感覚あり。しかもハンドリングに難ありです。(詳しくは後述。)
【ハンドリング性能】
Shimalin RR500 > 今回の手組みホイール
まず、前輪についてですが、
以前のレビューでは『剛性不足』と言い切ったスポーク断面積40[mm2] スペックを、タンジェント組みしとけば或いは...と思って再採用しています。
しかし結果は、ダメでした。
特に下りコーナーでの切返し等、素早いステアリング操作を要求される場面で昔鈴鹿峠の下りで味わった何とも言えないダルさというか気持ち悪さというか、そういう感触が出てしまっています。身の危険を感じる程ではありませんが気持ち悪いものは気持ち悪い。前輪の剛性確保はちゃんとやらんとダメですね。
ある意味、再確認が出来ました。もうこのスペックで前輪を組む事は無いでしょう。
後日、スポーク断面積50[mm2] スペック(それでも空力性能は前作に比べて理論上11[%] 向上)に組み直す予定です。
後輪については、
巡航と同じくホイール自体は軽く感じるのにバイク全体の重心が下がったような心地良い安定感がコーナリング時でも感じられるため、これもハンドリング要素のうちと考えるなら『これ以上ないぐらいに非常にいい』という感想です。限界性能がどうのこうのというよりは精神的に楽出来る印象が強いです。
【乗り心地(快適性)】
ホイール自体から感じられるのは、マシン全体の重心が下がったような心地よい安定感とそこに起因する安心感。前輪のスポーク数減とリム断面形状が横に広がった分縦方向に柔らかくなったのか、Shimalin RR500 より若干柔らかい乗り味。
乗っていてすごく楽です。
それに反し、加速自体は Shimalin RR500 より軽く鋭い。リム重量は同じであるため、単なる重さから来る安定感とは別物。
我ながらかなり完成度が高いホイールが出来たと思います。
ただし、23Cタイヤとの相性の悪さがその良さの全てをブチ壊しております。
巡航性能の項でタイヤに関する不信感をチラッと書いていますが、乗り心地という視点で見るともっと酷い。
路面が奇麗な場所なら何ら問題無いのですが、アスファルトの粒が少々粗い場所に突入しようものならパヴェ(石畳)でも走ってんのかと思う程の激震。GP4000SⅡの美点であるロードインフォメーションの捉えやすさ、少し悪く言うと『路面の凹凸をコツコツ拾う』という特性を悪意満々で一切加減などせずアホみたいに増幅させている感じがある。
しかも、文章では上手く表現できないのですが、ワイドリムのホイールにタイヤを移植した途端、質感が安っぽくなりました。同じタイヤのはずなのに何となく気持ち悪いというか...そんな表現が一番合っていると思います。
クルマに例えると、上質な乗り心地の高級セダンの純正ホイールをドレスアップがてらインチアップしようと試みたら乗り心地の質感が安っぽくなった的な?
...ん?思い当たる節があるぞ。
クルマの改造に"引張りタイヤ"というものがあります。
・幅のある、
・自転車で言う所のワイドリムなホイールに、
・ホイールに適合するサイズより幅が細いタイヤを、
・無理矢理装着する。
という改造です。
クルマだとこんな感じ。
※写真は日本のドレスアップカー業界が誇る迷車中の迷車。(賛辞)
この車両と初遭遇した時の衝撃...いや、笑撃は今も忘れられない。
困った事に現在も進化中。(いいぞもっとやれ)
このホイールを見よ!!って感じでホイールをフェンダーから突き出させデザインを主張。更に、タイヤのサイドウォールが斜めになる事でサイドウォールに書かれたタイヤの銘柄を目立たせる。見ての通り見た目重視の改造だ。
メリットは見た目。
デメリットは、タイヤの編摩耗&異常摩耗、トレッド剥離、サイドウォール剥離、空気が減りやすい、下手するとビートからタイヤが外れる、乗り心地が悪化する、燃費が悪化する、ロードノイズ増加、ハンドリング悪化、コーナリング性能悪化、ホイールのリムに傷が入りやすくなる、フェンダーにタイヤが当たる、タイヤの編発熱、←によるバーストの危険性、などなどなどなどなどなど。
見た目以外は全て、特に実用面の性能は全てデメリットに転化されると考えてOK。肝心の見た目も、全ての人がカッコいいと思うかどうか個人的には疑問がある。どこまで引張れるか挑戦するという意味では面白いと思う。
タイヤの性能悪化の主な原因は、基本設計を無視して無理矢理引張られたサイドウォールが本来の仕事をしないためです。
話を自転車に戻します。
23Cタイヤ未対応のワイドリムに23Cタイヤ履かせるという事は、クルマの引張りタイヤと実質同じです。
つまり、デメリットも同じ。
そりゃあ不快にも感じるはずです。
あ、加速のダイレクト感だけはメリットだと思いますが、そんなもんはとっくにスポイルされている。
こちらが比較写真。
左がXR-300
右がパックスのワイドリム(本レビューのホイール)
タイヤはどちらもGP4000SⅡの23C
引っ張りタイヤにされた結果サイドウォールの丸みが無くなっているのが分かる。
空力的利点は感じられない。
ドレスアップ効果は自己満足程度だ。(笑)
ワイドリムが世に出だした頃、
「何じゃこりゃー!!(怒)」
となって不評だったのを思い出しました。
個人的想像ですが、あの不評の嵐の原因はみんな何の疑問もなくワイドリムホイールに23Cタイヤを履かせたからではないでしょうか。
私の感覚では、今回製作したホイールも25Cタイヤの方が合ってると思います。タイヤとホイールのバランスは大事。リムとタイヤのツライチ度に気を取られてタイヤサイズを選択してはいけないと思います。
サイスポ2018年5月号のタイヤテストでも話題に上がりましたが、23C×ナローリムと25C×ワイドリムはキャラクターや使用目的が違うと、私も今回の実験ホイールから感じました。
従って、次期実験用手組ホイールのコンセプトも、
① ナローリム × 23Cタイヤ(何ならもっと細くても良いかと。)によって
全面投影面積を減らすと同時に鋭い加速に特化した直接的速さを目指していくタイプ。
② ワイドリム × 25Cタイヤの総合力によってマシンの安定化と乗り心地の向上を目指し、
乗り手の脚を残しながらより高い平均巡航速度の維持を目指していくタイプ。
の2つの選択肢があります。
手組ホイール作りのテーマとしては、どっちも面白そうですねぇ。
今後、手組ホイールを自分で組むにしても、完組みホイールに浮気するにしても、2つのアプローチを使い分ける必要性があると強く感じました。
後日になりますが今回の手組みホイールに25Cタイヤを履かせた時の本来の性能も試してみないといけませんね。
【ブレーキング】
良い意味でフツーのアルミリム。
しっかり止まります。
リムの継目の感触は最初こそありましたがすぐ消えました。
単に慣らしが終わったのでしょう。
制動時の挙動の安定性も素晴らしいです。
【まとめ】
このホイールから得られた情報量があまりにも多いんで箇条書きにします。
[ホイール概要]
・Shimalin RR500 の後継機。
・見た目は前作とほぼ一緒。
・ヨンロク組み、片側結線、オフセットリムと、後輪のオチョコ量対策要素がてんこ盛り。
・後輪の動的リムセンタはわずかに非フリー側寄り。
・前輪は机上計算上、スポーク数減により前作比20%の空力性能UP。
[得られた事]
・オフセットリムを使うと11sでも組みやすい。
・動的リムセンタが出ていれば、シュータッチするような柔らかいホイールでも鋭い加速が出来る。
・イタリアン組み(アヤあり)の後輪は、ハブに駆動力が掛かると横剛性が増す事を体感出来た。
・リムとタイヤをツライチにして空気抵抗を削減したつもりでも大した効果は無い。
・リム形状によってタイヤの性能を引き出せるかどうかが決まり、タイヤの性能がスポイルされた時の影響は案外大きい。(少なくともリム形状による空力への影響よりは大きい。)
・スポークの前面投影面積の総和は、ホイールの空力性能に大きく影響する。
・スポークの前面投影面積の総和が少ない程、走行抵抗は減る。
・スポークの横面投影面積の総和が少ない程、耐横風性能が良くなる。)
・スポーク断面積の総和は、ホイールの剛性と比例関係にある。
・タンジェント組みとラジアル組みに剛性の違いは感じらない。(※前輪のアヤ無しの場合。)
・後輪の動的リムセンタが出ていると、直進安定性やコーナリングの安定性が増す。
・ワイドリムに23Cタイヤを履かせ引張りタイヤ状態にすると、走行抵抗は増え乗り心地や質感は悪化する。ロクな事がない。
・ワイドリムがこの世に出だした頃不評だったのは引張タイヤのせいと考えられる。
・23C×ナローリムと25C×ワイドリムは速さの方向性(種類)が違うので、使い分けるべき。
・アルミリムなのでブレーキングは良い意味で普通。
[完組みホイール購入等で生かせそうな発見]
・直接的速さが欲しいならナローリム、安定性や持続性を求めるならワイドリムのホイールを選択するのが良い。
・片側ラジアル組の後輪(構造上動的リムセンタが出ない)は硬い程速い。言い換えると硬くないと走れない。
・↑の理由により、片側ラジアル組みは両側ラジアル組みより振れ取りやスポークテンション調整の頻度を増やす方が良い。
・両側ラジアル組みのホイールは多少柔らかくても良く走る。スポークテンションが下がってきても性能低下が比較的少ない。
・オフセットリムは、完組みでも安定性や加速性や耐久性の面で大きなメリットがあると考えられる。(デメリットは今のところ発見出来ていない。)
・エアロスポークは走行抵抗低減に大変有効な要素。しかし、極端に幅の広いエアロスポークは横風に弱くなる。
・ディープリムの形状やリムハイトは、リムのCd値がどうのこうのよりスポーク長が減る分エアロ性能が増すと考えるべき。
・リムハイトやリム形状の変更は走行抵抗改善に対しては微々たる効果しかない。
・これは個人的予想ですが、ホイールの耐横風性能は、リム+タイヤ+スポークの横面投影面積の総和でほぼ決まる。(気がする)
・完組みホイールを買ったら、リムの規格に合ったサイズのタイヤを装着しよう。(超重要)
以上です。
今回の手組ホイールは新造のため費用が結構高く付いていますが、それに見合うデータは得られたと思います。ホイール自体から得られたデータだけでなくタイヤに関するデータも得られましたし、タイヤ交換後に別のデータも得られます。
パーツ価格が高かったと言っても完組みより安いし、むしろ今までの魔改造系ホイールが安過ぎたのだw
費用対効果はすでに十二分です。
ここまでくるともうアルミリムの完組ホイールは多分買わないと思います。
加速性能や重量の軽さと引き換えに乗り心地を我慢する必要はもうありませんし、リム、ハブ、スポークといったパーツ毎にホイールに対する理解を深められる手組の方が趣味として面白いです。
現状、私の手組ホイールは巡航性能のみが市販の完組みホイールに劣っていると感じていますが、今の状態でエアロスポークを入れれば、動的リムセンタ理論に基づいた加速性能と柔らかい乗り心地を確保したまま空気抵抗を前後輪同時に 25~50[%] 程度減というスーパーレベルアップが既に確約されています。前輪だけ 20[%] 減でもかなりの効果を感じるので、エアロスポーク化すれば市販の完組みなど敵ではないでしょう。
しかも、ニップルをアルミ化したり、リムテープをヴェロプラグ化したりといった性能的に詰められる所もまだ残っています。
今後はそういったところをこの2号機で詰めて行きたいと思います。
また色々分かってきたら追記レビューします。
価格評価→★★★☆☆(ミドルグレード級の完組みと大して変わらん。)
費用対効果→★★★★★…∞(自作の手組ホイールは、ホイール1セットから得られる情報量がとてつもなく多い。)
ホイール自体の評価→★★★★☆(既に凄いホイールなのだが、まだ進化可能。)
引張りタイヤの評価→☆☆☆☆☆…∞(自転車に於いてはドレスアップにすらならない最悪のデチューン。)
<オプション>
年 式→2017