林道表男体線は奥日光の未舗装林道です。
2017年9月30日、土曜日。自宅からクルマで1時間ほど、日光宇都宮道路を下りてから「いろは坂」に通じるバイパスの裏道にある神社の隣の駐車場にクルマを止めます。標高694m。
★今回の走行ルート
https://www.wikiloc.com/wikiloc/view.do?id=19984554★地理院地図だとこの辺り
http://maps.gsi.go.jp/#15/36.752777/139.540100/&base=std&ls=std&disp=1&vs=c1j0l0u0t0z0r0f05時45分スタート。
700mほど西進して派出所を右折すると登坂が始まります。古川電工の工場が近くにありますが、その昔、ここは社宅街だったのでしょうか?街の区画らしきものが遺る不思議空間。横に走る道を覗くと、草が道の両側から伸びています。この街?の外郭を通り抜けて「林道表男体線」に入ります。時間も時間ですので薄暗く、クマに出会ってもおかしくない時間帯ですので、ここからは中学時代の部活を思い出して掛け声とともに登坂します。クマ除け鈴はサドルにダブル装着してそれなりににぎやかですが、心許無いので。そーっと登坂するのはマジで怖い。
…ここから林道
丹勢山と裏見の滝を周る散策コースの案内板があります。実は丹勢山、2003年にこの林道経由で登山したことがあります。その時にもこの案内板の前を通っているのですが、案内板の風化具合に14年の時の流れを感じます。
…14年でこんな風に老朽化(左が2003年)
5.5km付近まで舗装路。その後しばらく未舗装路と舗装路が交互に現れ、やがて、未舗装路に。沼野平分岐(標高1069m)を過ぎてさらに行くとゲートがあります。ちょうど軽自動車が下ってきて、慣れた手つきで鍵無しゲートを開けて通過して閉めていきました。お互い挨拶します。一般人でしょう。このゲートには「林道関係者以外の進入(通行)禁ずる」とありますが、この先に散策路の道標があったりします。まあ、お約束のようなフレーズです。
…お約束のゲート
次の分岐(7.5km地点)のところで、「工事中、通行止め」の看板が。昨年崩落したと言われている地点でしょうか。突破できるかどうか確認しよう、と軽く考えて進みます。
…通行止
11.3km地点で男体山が登場。
…男体山出現(いきなり)
さらに行くと中禅寺湖が眼下に。
…中禅寺湖がいつの間にか眼下に
中禅寺湖は標高1269m。あれぇ?いつの間にこんなに登坂したのか!?と驚いてしまいました。非常に不思議な感覚。どうやら未舗装の林道登坂では、舗装路登坂とは別の時間が流れているようです。
それにしても未舗装林道の登坂は実に楽しいですねぇ。下りも面白いですが上りはさらに楽しい。しかも表男体林道はここまでかなり走りやすい。この林道は、いろは坂経由で男体山の裏に回って、裏男体林道(舗装路)を経て標高1785mの通称・志津乗り越え(鞍部点であり定義上は完全に「峠」ですが峠としての名称無し)に至り、そこから表男体林道の長い下りを堪能する、というのが一般的と言われていますが、こんな面白い道を上らないのは、本当に勿体ないと思います。
紅葉も始まりつつあり・・・。
…そろそろ紅葉も
大真名子山。この角度から見たことがありませんでしたが、ぴょこんと飛び出した山頂にちょっと驚きました。
…大真名子山
1500m付近のつづら折れを快調に上っていると、下からクルマが上ってくる音が聞こえます。やがて追いつかれましたが、止まった軽自動車の窓が下りて、
「この先、工事で通れないよ」
と60歳前後の男性。あー、ネットに出ていた昨年の崩落地点は、やはり工事中か、と思いましたが。聞けば、その工事現場で働いておられるそうで、出勤途中とのこと。
「現場で引き返します。ありがとうございます」
1580mの小ピークから緩やかにしばらく下ると、その工事現場に到着。なるほど万事休すの風情。
…やめておきます(笑)
よく見ると、上の方に一般歩行者(登山の人)がつけたと思われるごく薄いトラバース路があります。あそこをMTB同伴で行くのは、いい歳したオッサンには若干、危険ではありますが不可能ではなさそう。しかし、土曜日にもかかわらず復旧工事に携わる方が現場におられる以上、危うい行為は慎まざるを得ないでしょう。工事現場では先ほどの方が一人だけ。身支度が整い、タバコをくわえて一休みするその男性に伺うと、工事は年内一杯だそうな。お礼を言ってUターン。
しばらく走るとまたまた軽自動車の作業員の方が上ってきました。すれ違いのために停止して待っていると、窓を下げて止まり、
「おおーっ!どこから来たのぉ??」
と。この林道は大体、いろは坂を上って裏から回り込み、下り専門で走るというのが自転車では一般的なので、まさかあの工事現場をMTB同伴で突破してきたのか??と思ったようで。
「下から上って工事現場で引き返してきたところです」
というと、
「えっ?、そう!おつかれさん!」
と、助手席の人と顔を見合わせて笑っていました。さらに下ると今度は軽トラが上ってきます。土曜日も仕事してるんだなあ。するとそのクルマも止まって、運転手さん曰く、
「あのー、このあと大型ダンプが2台、きますのでよろしくお願いしますねぇー」
「わかりました、ありがとうございます」
この道を大型ダンプって、道幅一杯じゃねえか??と思い、構えながら下っていると、、、き、来たーっ。本物のダンプが、ユルユルと登坂してきます。道路わきの一段上にさっとMTBとともに上がってやり過ごすと、一台目が速度を落とし窓を下げ、ニコニコして手を上げていきます。やがて2台目も来て、今度は止まって、
「現場まであと何キロ位かねぇ?」
「あと5、6キロってところですよ」
「ありゃー、まだそんなにあるんか・・・どうもぉ!」
見れば、茨城県のつくばナンバー。工事資材を積んでいましたが、先導の軽トラに牽かれて初めての現場に資材搬入、ということのようです。
…この林道をダンプが悠然と登坂
マジで道路幅スレスレ。この光景はちょっと見ものでした。カーブはさらにスレスレだろうなあ。どうやって曲がるんだ??ちなみに、超安全運転で上っているので危険な香りはありません。
「警笛鳴らせ」の標識。青地が白く変色し、元々白かったはずの部分がすっかり錆びている「警笛鳴らせ」は、古い林道ではお約束ということでしょうか。よく見る光景です。
…これまた古い林道のお約束
さて、帰路は上ってきた道を右に分けて、裏見の滝経由で行きます。
…ここから滝方面へ
おおっ、こちらのルートは女峰山方面がよく見えてなかなかよろしいじゃないか。次の画像の左側の稜線上の登山道を山から下りきると出くわすのが林道の富士見峠で、標高2036m。あそこまで行ってみたかっんだけどなあ。
…左の帝釈山から主峰の女峰山、さらに右にずーっと行くと赤薙山
…橋の銘板 「昭和35年10月竣工」、、、歴史を感じますねぇ
途中から舗装道路になり、裏見の滝の駐車場に至ります。MTBを裏見の滝に至る遊歩道の入り口に放置して、ここからは徒歩。往復で700m程度。
…施錠せずに放置(施錠無しはお勧めいたしかねますが)
しばらく歩くとそこには数本の滝の群れ。奥に鎮座する清涼感抜群の滝が「裏見の滝」
…滝が数多の日光地域でも清涼感が高い裏見の滝
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駐車場へ帰還。35.5kmで3時間47分。登坂は900m。
いや~、楽しかったなあ。ちょっとクセになりそう。工事が無事終わることを祈ります。ちなみにこのレビューに出てくる山も含めて奥日光の山はほとんど登ったことがあります。志津乗り越えの近くにある山小屋にMTBを停めて男体山に登るなんていうのもいいなあ、と思いますねぇ。トレラン・シューズを背負っていけば何とかなるでしょう。
あっ、もう9時半だ。さて帰るか。
評 価→★★★★★(サイコー)
年 式→2017