竹谷賢二 ロードバイクの作法 やってはいけない64の教え
購入価格800円+税
知識ゼロからのロードバイク完全メソッド (中略)サイクリストに認知度と信頼感の高い著者が、 基礎の基礎からベテランでも目から鱗のノウハウまで、ロードバイクの作法を指南する(公式内容紹介) 初心者以上マニア未満の必修テクニックを指南する。(「BOOK」データベース) もっとラクに速くなる! 常識破りの必修メソッド(帯)
31歳まで会社員を経験した後にオリンピアンとなられた、竹谷氏による新書です。 自転車の技量・実績は勿論、「相手の状況を読み取り」「概念的・専門的なことを平易な表現で伝える」 会話力に優れた方という印象です。
この本では「やってはいけないこと」に着目されています。 (現役時代の話やパーツの話はわずかです。サイクルドクター関連には触れられていません。)
全216ページの中で、 P22~サイクリストが犯す3つの間違い やってはいけない1~6 P38~フィッティングの作法 やってはいけない7~17 P76~ペダリングの作法 やってはいけない18~32 P126~フォームの作法 やってはいけない33~52 P180~トレーニングの作法 やってはいけない53~61 P208~レースの作法 やってはいけない62~64 ※各「やってはいけない」には「59.蓄積疲労を見過ごすな」のようにタイトルが付きます。
「やってはいけない」が本当に64個並ぶ目次は、大変インパクトがありますが 手厳しい批判で構成されているわけではなく テーマ→失敗談/〇〇な乗り方は良くない→なぜなのか→結びの一口「作法」 という流れが基本です。 (選手経験がベースになっていると思われる64個に、脱線は見当たりません。)
「自己分析」と「客観視」がいかに大事か、「力任せ」がいかに非効率かが繰り返し説かれます。 (特に、プロローグに主張が凝縮されているように感じます。)
どこまでが著者の持ち分で、そこにどれだけ編集が加えられているのかは分かりませんが、 内容紹介や目次、構成からは、サイクリストの常識や、よく知られたテクニックをバッサリと斬り捨てる内容をイメージしますし その展開を後押ししているかのようにも思えます。
これに対して本文では、常識的な語り口・切り口で、自己鍛錬話が淡々と続くので… もしかしたらミスマッチを感じる方が居るかも分かりません。
(大ざっぱな分類はされていますが)メソッドが体系化されていない上、広い範囲を扱う中、結論が似たものもあり、 写真ゼロで展開される、段階的な「レッスン方法」「チェックポイント」もいくつもあります。 それらの点から、能動的な読みが求められる、テクニカルな本だと思います。
64個の中には「(欧米トップアスリートのライディングフォームを)型から真似ようとしても無理、無駄(P23)」 自己分析をせずに、本や雑誌からトレーニング法を仕入れてもうまくいかないことが多い(P26)といった、特徴的な教えも含まれています。 今すぐ走りを変えたい方よりは、課題が明確な方、キッカケが欲しい方もしくは 一歩引いて、読み物として楽しみたい方にマッチするのでは。
「知識ゼロからのロードバイク完全メソッド」とはありますが、ある程度の知識がある方向けであるような…。
P28には、フィジカル強化がスキルを完全に補ってくれるわけではない。とあります。 似たような構図は結構多いように思います。「『素材』と『味付け』」など。
価格評価→★☆☆☆☆(カラーの連続写真が用いられた大型本であったなら、値段が倍でもそちらを選ぶと思います) 評 価→★★★☆☆(メッタ斬りを期待する方には別の本をオススメします)
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