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会津喜多方ラーメンや餃子の街・宇都宮など、街の名物の由来を調べると地域振興に関する面白い話が色々と出てきます。
時代は変わり、自転車での地域振興を様々な主体が企て、イベントなども盛んにおこなわれるようになった昨今です。と同時に、地方色が鮮明な自転車パンフレットもいろいろと作られているのではないかと思います。
「天狗の舞うヒルクライムの聖地」 栃木県鹿沼市。
2000年頃には登坂する自転車など、それこそ自分以外には滅多に見かけなかった栃木県鹿沼市の古峯神社への上り坂も、今ではすっかり、ヒルクライマーの聖地のような場所に変貌を遂げています。で、今年の5月連休のある日、この界隈に家人とクルマで出かけたのですが、いつも立ち寄る洋菓子屋さんでこのパンフレットを「発見」しました。鹿沼市の商工会議所の企画によるもので、作成はどうやらこの春の模様です。同商工会議所の公式発表によると、
「栃木県鹿沼市内のスポーツタイプ自転車(ロードバイク)の回遊性向上による、滞在型・体験型観光の環境整備を目的とした事業を進めております」
とのこと。
表表紙と裏表紙
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県境や市境の山々から流れ下る渓流に沿って県道がいくつか存在し、それらがすべからくヒルクライムのコースになり得るという同市の特徴がパンフレットにうまく表現されています。このパンフレットのQRコードからルートラボにアクセスできるのですが、次の4本がラインアップされています。
1.
https://latlonglab.yahoo.co.jp/route/watch?id=a4804d5081e62873d4f52abed8f7d5fb2.
https://latlonglab.yahoo.co.jp/route/watch?id=e35108530ae3da2c8a3c9f076320b3333.
https://latlonglab.yahoo.co.jp/route/watch?id=40c31bef37837ae16f7ebbef160330514.
https://latlonglab.yahoo.co.jp/route/watch?id=7a4b7b8cf211de6ecb261627a9cd9e4dすべて何らかの形で自転車走行したことがありますが、これは!と思ったのが4番目。石裂山(おざくさん)という、鎖場が連続するちょっと危険な低山の登山口まで誘導する意外性のあるルートを設定しています。このコースを敢えて設定するあたりに、味のある低山の宝庫である鹿沼市の商工会議所の本気度が窺えます。底の硬さが奏功してガレ場の踏破性が意外なほど高く、グリップもまあまあのシマノSPDクリッカーシューズでサイクリングと登山のデュアスロン、というのも・・・あり得ます。
3番目のコース。舗装された基幹林道前日光線を通過しますが、この林道は尖った小石(つまり落石)も疎らではありますが転がっているコース。法面崩落で通行止めということも過去にあった林道です。また、この林道から横根山近くの井戸湿原までハイキングするルートもあります。この林道を抜けて石裂山の西側に出て下るという、少々通好みのルート。特に危険というほどではありませんが、敢えて設定して回遊性を狙ったものと思われます。
ちょっと謎なのが1番。終点が古峯(ふるみね)神社(巨大天狗が有名)に設定されていますが、このコースの白眉はその先の古峰ヶ原(こぶがはら)高原までの九十九折れであり、さらに前日光高原を経由して粕尾(かすお)峠に抜けて下ることが出来るのですが、やや難易度が高いということで、現行版での掲載は時期尚早と判断したのか、それとも一部、日光市にまたがるからとりあえず避けたのか??
いずれにしても、鹿沼に住めば結構楽しい山サイクリングが日常的にできるなあ、などと想像してしまいました。
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パンフレットの体裁ですが、4行7列にジャバラ折りされています。これを光沢のある厚紙の表紙で挟み込んでいて、ジャージの背中ポケットに簡単に入るようになっています。表側の表紙には若い男女と中年オヤジの3人組が自転車で走り、釣り人が渓流釣りを、ハイカーが鎖場を登り、蕎麦や、ユネスコ無形文化遺産に登録された祭りの屋台の絵が描かれています。渓流釣り、山歩き、蕎麦、屋台・・・それぞれが鹿沼市をよく表現しています。裏表紙には鹿沼市への交通アクセス、フェイスブックのQRコードが載っています。また、自転車で守ってほしいルールが過不足なく良い塩加減で書かれています。ひとつ挙げると、
「ヘルメットはかぶりましょう」
です。「ヘルメットをかぶりましょう」ではないところがいいですね。
拡げると、おもて面には先ほどの4本のコース地図が詳細に分かりやすく描かれています。しかも、コース1の後半、古峯神社の一の鳥居から古峯神社までの5.3km、標高差321mの参考コース・タイムが、「宇都宮ブリッツェンに挑戦!」と銘打って、初級・中級・上級・スゴイ!の4段階で示されています。実にわかりやすい。ここでスゴイ!(13分)を切ったらプロになれるかも??
裏面には、 「鹿沼は美味いぞ!!!」 と銘打って、そば処、ラーメン店から菓子工房、パン屋などなど、67店舗の情報が載っており、あの付近を知るワタシ的感想としては、かなり使えるものになっています。
拡げるとコース案内が
もう一方の面には店舗情報・・・
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市商工会議所が 「天狗の舞うヒルクライムの聖地」 とのキャッチ・フレーズを掲げて自転車による町興しに打って出た栃木県鹿沼市の自転車パンフレットは、内容が具体的で、かなり完成度が高いと思いました。単独でも仲間と一緒でもちゃんと使える非常に良く出来た「紙製」の情報ソース、です。また、ロードバイクに限定される必要はなく、偶々通りかかった自転車旅行中の方にとっても、使い勝手が良いと思います。
あなたの地方にも面白い自転車パンフレットがあるかも知れませんよ!!
価格評価→★★★★★
評 価→★★★★☆
年 式→2017
(番外編)
ルート1・・・古峰神社の庭園「古峯園(こほうえん)」内の茶屋の「茶屋定食」の素朴かつ滋味な味わいはおすすめ
ルート2・・・基幹林道前日光線から秘密裏ルート経由で高度を稼ぎ終点ゲートから歩けば「井戸湿原」にも楽々行ける
※この画像は2016年5月2日の井戸湿原ですが、今年は10日ほど花暦が遅れています
ルート4・・・終点から登れる石裂山は梯子と鎖場のオンパレードで面白い
※死亡事故も度々起きていますので、もし登る場合は必ず経験者と同行してください