購入価格:¥42,000
唐突ですが、念願のカーボンチューブラーホイールを購入しました。
TNiの38mm高カーボンリムを、
TNiのエボリューションハブと SAPIM Race2.0-1.8という丸断面バテッドスポークで組んだホイールです。
いきなり話は変わりますが、僕が生まれて初めて乗ったロードバイクはチューブラータイヤでした。
チューブドのクリンチャータイヤ(以下WOタイヤ)が普及した現代では、
この手のカーボンホイールを導入する為に やむを得ずチューブラータイヤに変更した人の方が大多数だと思います(若い人なら当然でしょう)が、
僕の場合は しばらく使っていなかったチューブラータイヤに「戻す」という意味合いが強いです。
ここ2年ほどWOタイヤを使ってきたのは、単にホイール側の事情です。
シマノR501、レーシング7、レーシング3、ゾンダ、エウラスといったホイールを使ってきましたが、
これらと同等グレードのアルミチューブラーリムの完組ホイールは殆ど存在しません。
シャマルウルトラ(またはレーシングZERO)チューブラーくらいでしょうか。
しかし、ホイールの事を あれやこれやと勉強するうちに「手組ホイール」の可能性に気づきました。
そう、欲しいホイールが無いなら 自分で組めばいいのです。
思えば 初めて使ったチューブラーホイールも手組みでした。原点回帰という訳ですね。
今回レビューに挙げるカーボンチューブラーホイールは、ただの通過点に過ぎません。
近々アルミリムの手組みチューブラーホイールのレビューを書くつもりです。
このままだと、WOリムのエウラスがお役御免になる可能性があるけどどうしよう。
話が逸れました。
このホイール、メーカーサイトでは「完組ホイール」と銘打ってはいるものの
その実態は「吊るしの手組ホイール」です。FFWDの様なものですね。
首折れスポークと普通のハブで前輪はラジアル組み、後輪はイタリアン組みされています。
詳述は避けますが、TNiの代理店であるトライスポーツは リム単体を製造元から仕入れ、国内のとある問屋さんでホイールに仕立てています。
トライスポーツとの取引がある某ショップの店員さんに聞いた話ですが、
そのへんのホイールビルダーよりも遥かにたくさんのホイール組みを請け負っている問屋さんらしいです。
《インプレ》
○重量 ★★★★★
とにかく軽いです。
このリムのメーカー公称重量は340gくらいで、今まで使ってきたホイールの中では断トツの軽さを誇ります。
推定ですが ざっと書くと、
R501→500g前後
レーシング7→530gくらい
レーシング3→490gくらい
ゾンダ→498g(実測)
エウラス→450g
Road38→340g
となります。
実際は、メカニコなどに同じ高さの より軽いリムがあったりしますが、破損事例があまりに多いのが気に入りません。
○加速 ★★★★★
無風または追い風の平地で強くペダリングすると、自転車が前に吹っ飛びます。
「加速」などという優しいものではありません。
信号待ちからのゼロスタートで、30km/hに到達するまで1秒ちょっとくらいです。
ただ軽いだけではなく、剛性までキッチリ追求されたホイールは
手組だろうと完組だろうと こうも違うものなんですね。
○空力 ★★★☆☆
流石に、リム高50mmオーバーのディープリムホイールには負けます。
以前 試用した事のあるコスミックカーボンSL、強烈な重さが特徴ですが40km/h以上での回しやすさが違いました。
スポークが丸断面バテッドである事は恐らく関係なく、ただ単にリムの整流効果が薄いだけの事でしょう。
あるいは、乗り手の脚力が高速巡航に耐えられていないだけかもしれません。
○登り ★★★★★
本来なら、江文峠や京見峠に繰り出してタイム計測といきたいところですが、生憎そんな時間はありませんでした。
自宅から さほど遠くなく、尚且つホイールの登坂性能を存分に試せる坂といえば
やはり ここ以外にありません。
全長たったの300mにして最大傾斜25%、「京都のユイの壁」こと府道40号線です。
なんとアウターロー(53×25T)で登りきれました。(だからどうした)
しかし、エウラスやゾンダ含め 過去に使っていたホイールではインナーギアなくして登頂できなかったので、
改めて外周部の軽さは大事だなぁと実感できます。
○剛性 ★★★★☆
少なくとも、自分の脚力では 剛性が低いとは思いません。
特に後輪は、もし仮にスポークがCX-Rayだったなら もっとヌルく感じたかもしれません。
が、左側のスポークを交換すれば より剛性を上げられる事が分かっているので★-1。
○制動 ★★★★★
ブレーキシューは、スイスストップのブラックプリンスにしました。とてもよく効きます。
じつはこのリム、巷では「最もブレーキの効きが良いカーボンリム」と言われているのです。
なので当然といえば当然なのですが、20万円も40万円もする完組ホイールより
税別定価3万円未満のリムの方が高性能って よくよく考えれば凄いことですよね。
このホイール、とあるショップで一度メンテナンスを受けているのですが
そこの店員さんに「イエローキングはやめた方がいい」と言われました。
なんでも、ヒルクライムレースの下りなどで ブレーキングの熱でリムに修復不可能な変形を生じるんだとか。
世界一ブレーキの効きが良いリム相手でもダメにするとは・・・恐ろしや。
ブラックプリンスはどうなの?と訊くと「ブラックプリンスのせいでリムが逝く事は多分ありえない」との事。
これに関しては、ブレーキシューのレビューで掘り下げたいと思います。
○その他 気になった点
内蔵ニップル仕様です。
修理はやや面倒ですが、ニップル外出し式よりもスポークテンションは上げやすいです。
狭いリム幅が特徴的です。
24C以上のタイヤが受け入れられがちな現代において、僕は未だに23C未満のタイヤを使うことが多いので これは有り難いです。
(写真のコルサエリート、公称23Cにして実測22Cでした)
ただ、幅が狭いうえ リムセメントを塗る面のアールがきついので、それこそ 太いタイヤには不向きです。僕には関係ありませんが。
○まとめ
「38mm高のリムとしては」平凡な軽さですが、ワイド化と重量化が進む現代カーボンリムの中では
この軽さと狭いままのリム幅は非常に魅力的です。
こういうホイールを「登りから平地まで使えるオールラウンダー」と呼ぶのでしょう。多分。
5月頃に、関西某所で開催されるヒルクライムレースに初出走しようと思っているので、このレビューの続きは その時に書きます。
価格評価→★★★★★(定価が既に安い)
評 価→★★★★★