購入価格: ¥1,944(税込)
標準価格: ¥1,944(税込)
『ベアリングに使っても大きな変化は感じられないが、フリーボディーのラチェット部には最適』
■ COMPETITION CAMPA GREASEとは
MORGAN BLUEは、自転車を国技とするベルギーのケミカルメーカーだ。COMPETITION CAMPA GREASEは、ローフリクション性能にこだわったグリスであり、ハブやBBなどの高速回転への使用を目的としているが、パッケージにはケーブルにも使えるとある。1,944円と高価なグリスだが、内容量は200mlと多めだ。他にも防水性を重視したAQUAPROOF PASTE、多用途に使えるCALCIUM GREASEもラインアップされている。
MORGAN BLUE COMPETITION CAMPA GREASE
■ FULCRUMのホイールのために購入
私はCOMPETITION CAMPA GREASEを、FULCRUM RACING 5 LG DBのベアリングやフリーボディーのラチェット部に使うために購入した。Campagnolo LB-100 GREASE TUBEがFULCRUM純正のグリスに相当するようだが、既に販売は終了になっている。いくつかのプロショップのブログでは、代替品としてCOMPETITION CAMPA GREASEを使っていることを知り、私も使うことにした。
このグリスを選んだ最大の理由は、低粘度でフリーボディーのラチェット部に適していると考えたからだ。FULCRUM RACING 5 LG DBは防水性が低いため、洗車でかんたんに浸水する。だから、防水性を高めるためにシマノ プレミアムグリスに入れ替えたのだが、粘度が高いのでラチェット部には向いておらず、グリスの量によってはホイールの空転とともにクランクも回ることがあった。現在はホイールを外して洗車する上に、雨天走行もほぼ行わないということもあり、いっそのこと防水性よりも回転性能を重視してグリスを選んでみた。
以前はシマノ プレミアムグリスを使っていた
■ 色・ニオイ・粘度・耐水性
容器のフタを開けると、まるでピーナツバターのような色。ネットで画像を見るかぎりでは、かなり昔に販売されていたというCampagnolo Special Greaseの色に似ており、このことが商品名の由来になっているのかもしれない。
このグリスを指に取ってみると、サラリとした感触で伸びが良く、自転車用のグリスの中ではだいぶ粘度が低い。例えるなら、ハンドクリームのような柔らかさ。ただ、シマノ ケーブルグリスほど粘度は低くはなく、ヌルヌルと滑るような感触ではないが、ケーブルのグリスには使えそうな柔らかさだ。プレミアムグリスなどに比べると耐水性(防水性)は低く、手についたグリスは水でかんたんに流れてしまう。
ピーナツバターのような色が特徴
■ FULCRUM RACING 5 LG DBのグリスアップ
前後のホイールのシールドベアリングのシールを外し、パーツクリーナーで古いグリスを洗浄後、グリスガンでCOMPETITION CAMPA GREASEを詰めた。リアホイールは、フリーボディーのラチェット部に薄くグリスを塗布した。
クランクを手で持って回してみると、ホイールは軽く回転し、ラチェット音も小さくなった。もう一度リアホイールを分解し、ラチェット部にもう少しグリスを足してみたところ、ラチェット音はさらに小さくなった。回転は変わらず軽く、グリスが詰まってホイールが空転することもない。やはり、プレミアムグリスのように粘度の高いグリスよりも、ラチェット部には向いている。
実走では、グリスアップ前後で大きな違いは感じられないが、グリスアップ直後からペダリングが軽い。プレミアムグリスはグリスアップの直後はわずかにペダリングが重く、同じ軽さになるまでしばらくかかる場合がある。ラチェット音は徐々に大きくなるが、走行中に気にならない音量に収まる。ラチェット部の動きを妨げずに、大きなラチェット音を抑えるには効果的だと思う。
FULCRUM RACING 5 LG DBのハブをグリスアップ
■ White Industriesのフリーギアのグリスアップ
グリスアップしたFULCRUMのホイールの調子が良いので、White Industriesのフリーギアもグリスアップすることにした。このフリーギアは、ラチェット部に低粘度のオイルを差すようにメーカーは指示している。ただ、このフリーギアには両側非接触シール型のシールドベアリングが使われており、シールの内輪からオイルがベアリング内に入り込んでグリスと混ざることがあった。また、シールドベアリングに粘度の高いプレミアムグリスを使うと、ホイールの空転とともにクランクが回ることも多かった。
ラチェット部には薄くグリスを塗布。シールドベアリングにもやや少なめにグリスを詰めてみた。すると、ホイールの空転でクランクが回らなくなった。後にラチェット部にグリスを足してみたが、同様に問題はなかった。また、グリスアップの直後はラチェット音が小さくなったが、その後はこのフリーギアの特徴である爆音に戻っている。FULCRUMのホイールと同様に、ラチェット部に塗るグリスには適しているようだ。なお、実走では、グリスアップ前後で大きな違いは感じられない。
White Industries ENO フリーホイール。分解してメンテナンス可能
■ ディレイラーのプーリーのグリスアップ
SHIMANO RD-T780は、テンションプーリーがシールドベアリング、ガイドプーリーがセラミックブッシュという仕様だ。これらのプーリーにCOMPETITION CAMPA GREASEを使ってみたところ、軽くて滑らかな回転を実感できた。プレミアムグリスでも同様の軽い回転になるが、グリスアップ直後にはペダリングがやや重たく感じることがあった。
プーリーのグリスとしても使いやすい
■ ブレーキケーブルのグリスアップ
試しに軽快車のブレーキケーブルの交換の際に使ってみた。インナーケーブルにたっぷりとグリスを塗布したが、グリスの粘度が低いおかげで、グリスの量の多さがレバーの引きの重さにはあまり影響しないと感じた。これならスポーツバイクのケーブルにも使えそう。薄く塗布すれば、少なくとも引きが重くなることはないだろう。ただ、個人的には、より低粘度のシマノ ケーブルグリスの方が好みだ。
軽快車の修理で実験。ブレーキケーブルのグリスにも使えそうだ
■ 総評
MORGAN BLUE COMPETITION CAMPA GREASEは低粘度のグリスであり、高速回転する部分に向いていることは間違いない。実走では大きな変化を実感できないが、少なくともグリスの抵抗でペダリングが重くならない。レースのために回転抵抗を減らしたいなら、このグリスを使う価値があると思う。
フリーボディーのラチェット部には最適。やや多めに塗布してもグリスが詰まりにくく、ホイールを空転させてもクランクが一緒に回らない。ケーブルのグリスにも使える可能性も感じる。ただ、耐水性は低いので、高速回転部分以外には他のグリスを使った方が良さそう。多用途にも使えないことはなさそうだが、他のグリスと使い分けた方がトラブルは少なくなると思う。構造的に防水しきれないFULCRUMのようなホイールなら、思い切って回転性能を重視するといった使い方もアリだろう。
価格評価→★★★☆☆ (高価だが量は多い。ハーフサイズが欲しいところ)
評 価→★★★★☆ (ラチェット部に最適。耐水性は低め)
<オプション>
年 式→ ー
容 量→200ml