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[MTB] cboardman Pro 650B


 
GlennGould  2017-2-9 20:38
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[MTB] cboardman Pro 650B
購入価格 ¥122529


ハードテイルMTBを購入して2年が過ぎた。走行距離はようやく2000kmを越えた程度だが、未舗装の林道登坂を何本か走り、雪道、アイスバーンも経験し、ようやくどうにかレビューを書けるところまで到達したと感じているので、この辺りで一度まとめておこうかと思う。

~~BOARDMANといえば昨年の五輪男子トライアスロンでの金銀獲得が記憶に新しいが、市販MTBは比較的コンサバなデザイン~~


□□□ 購入動機 □□□

これまで使っていたMTBは1991年頃のPanasonic製で、ATBとも呼ばれていた時代の製品。クロモリのフルリジッドで今どきのMTBではまずありえないホリゾンタル・トップ。これにサンツアーのパーツが組まれていた。しかし、サイズ的に全く外していたこともあり、手入れを怠り、保管状態は最悪。晩年はNOKIAのスパイクタイヤを装着し、積雪や凍結時の通勤用として、年に数回乗るだけだった。可哀想な話だが、朽ちていた。申し訳ないと思いつつも、自分にぴったりのハードテイルMTBに乗りたい、というのは10年ほど、何となく考え続けていた。ああでもないこうでもないと何となく考えて時が過ぎ、新たに完成車での購入を決意したのが2014年11月だった。サイズが全く自分に合っていない四半世紀前のMTB。格安で入手できたものだったのだが、安ければよいというものではない、という典型的な、下手な買い物、だったというわけだ。

なお、すっかり死語となったATBはall-terrain bicycleの略で、「どこでも走れる自転車」という意味で使われたのだが、結局はMTB。あの頃、ATBという呼び方があったのだ。このPanasonic ATBは、まだ国産だったころの丹下鉄工所(TANGE)のスチールパイプセットによるホリゾンタル・フレームに、デュラのライバルであるシュパーブプロを擁するサンツアーのXCシリーズを搭載していた。あのころは世界的なMTBブームの時期であり、SUNTOURとSHIMANOがMTBコンポーネント・パーツのトップブランドだった。


□□□ 完成車選択に際して考慮する3項目 □□□

以下の三点が考慮する項目である。

(1) ペダル、サドル、ハンドルグリップの3つのインタフェイス・ポジションに妥協しない
(2) 出来ればクロモリ
(3) 分相応

ロードとMTBは全く違う乗り物と言っても良いと思う。ロードは35年間、切れ目なく一年中乗り続けてきており、自分の嗜好は知っているし、技量の程度もわかっているが、一方で、今の自分はMTB乗りとして間違いなく初心者レベルである。MTBの場合、技量のある乗り手ならば、わずかに小さめの車体を選択して自在に操縦しまくる、という乗り方も可能であろうが、自分には無理。今の自分の身体と技量が要求するポジションをしっかりと出すことが出来る自転車を選ぶことが最優先だ。それが出来なければ、わざわざMTBを買う意味はない。この歳になってマンマシン・インタフェイス的に中途半端なポジションとなるようなMTBは不要である。それが上記(1)であり、死守すべき最優先項目である。


太いタイヤに標準ゲージのスチール・パイプ。実に色気のある組み合わせだが、できればそういったMTBを選択したい。これが上記(2)。だが、今の自分にはそれほど強い拘りはない。万が一の話だが、今後もMTBに親しみ続けたとしたら、2025年あたりに、MTBが得意なハンドメイド工房にお世話になり、そこで実現するつもりである。2017年現在ならFTBの細山さんかDobbat’sの斉場さん。それまでじっくり、構想を練ればよろしい。その歳までMTBを楽しんでいたとしたら、それは夢のような、しあわせな話であるが。

なお、購入したハードテイルMTBは、いわゆるXCバイク。サス・ストロークは120mmである。フルリジッドやフルサスといった類のMTBの選択は、具体的なイメージがどうしても湧かず、見送った。

~~RockShox Reba RLT Air (27.5” 120mm, offset 42mm)~~


「初心者だからこそ、どうせ買うなら良いものを」
これは全くその通りである。
「例えばロードなら、10万円台の入門用では用をなさない。少なくとも30万円、できれば50万円は必要だ~~」
これは本当だろうか?「初心者ならば、どうせ買うなら良いものを」はその通りだが、「良いもの」の基準は人によって様々。「10万円台の入門用では用をなさない。少なくとも30万円、できれば50万円は必要だ」というのは、乗り手の状況次第である。「自分は初心者だからよくわからないので、信頼できる店でとにかく良質なパーツで仕立ててもらったものを買いたい」、という人にはその通りであろうし、それは決して悪いことではない。しかし、「自分は初心者だから、何も知らないうちからすべてを決めるだけの決断力はないし、店が決める良いもので仕立ててもらっても、それで本当に満足できるとは考えていない」、という人にとっては、その通り、ではないだろう。こちらも至極真っ当な考え方である。私は後者の立場である。今の私が分相応のMTBを量産車から選べば、それは恐らくある価格帯以下になるであろう。これが上記(3)である。また、人によっては、最初の一台はとことん出費を抑えていろいろ学んで、それを次に活かしたい、という考え方もあるだろう。これは賢明な発想かも知れない。

例えばロードに乗りたいという人が、そもそも予算上の制約から10万円のロードしか買えない場合、10万円のロードに乗ることになるし、5万円しか予算がない人は、知り合いから中古で譲ってもらって乗ったりするかも知れない。お金が足りず、ビンディング・シューズどころではないという人もいるはずだし、グローブはとりあえず軍手、という人もいると思うが、だからと言って何も臆することはない。そんな環境の中でも自転車が大好きで乗っている、という人は、まぎれもなく、「ほんとうに幸福な自転車乗り」である。(脱線)


□□□ 比較車 □□□

ハードテイルMTBの最終比較車は以下の4台。

Charge COOKER 3 (29er)
Genesis High Latitude 20 (29er)
cboardman Pro 650B
cboardman Pro 29er

2014年当時、ChargeとGenesisはそれぞれクロモリの29er、cboardma PROはアルミ・フレームで650Bと29er仕様が設定されていた。当時、すべて英国系通販で購入可能だった。


□□□ ハンガーダウン □□□

タイヤ外径を俯瞰してみる。次の値はWEBで拾ったものなので、この限りではないだろうし、幅が様々なので正確ではないが、傾向を検討するには十分使える数値である。

26インチ(MAXXIS 26x2.35) → 675mm
650B(KENDA 27.5x2.1) → 695mm
29er([MAXXIS 29x2.1] → 735mm

この数値を肯定すると半径はそれぞれ337.5、347.5、367.5ということになる。29erは何もしなくても車軸の地上高が650Bよりも20mm、26インチよりも30mm高くなる。

さてここで、BBダウン量である。今回購入したcboardman Pro 650Bは40mmのダウン、Charge COOKER3は29erで35mmだから、COOKER3のBB地上高はCB 650Bよりも25mmも高いということになる。ただでさえBBが高いMTBでこの差は甚大。ロードのハンガーダウンが60から75mmであることを考慮すると、今どきのMTBの車高がいかに高いか、というのがわかるが、COOKER3の29erはかなり高い。BBダウンが70mmのロードとCOOKER3の29erを比較すると、BB地上高は実に68mmほども違う。詳細な数値はともかく、冷静に考えると、私のようなヘボい小心者にとってはゾッとする差である。

29erの走破性は魅力的ではある。しかし、フォーク・トラベルが120mm程度あれば、ヘッドチューブを短くしてもハンドル位置が高くなる。仕方が無いのでBB位置も上に上げてバランスをとる~~という順番で、例えば29erであるCOOKER3のBBダウンに至っては、SML全てのサイズで35mmという設定となっている、、、のだろうか? なんとまあ、COOKER3は小さいサイズでも容赦ない車高である。

なお、選択肢に入れていないがSPECIALIZEDの29erはBBダウンがロードに迫る大きさであることは特筆しておきたい。幅広いサイズ展開も含めてSPECIALIZEDは、他との違いが明瞭である。


□□□ ホイールサイズ □□□

今ではすっかり浸透した感のあるMTBの650B規格だが、2014年当時はまだ、それほどでもなかった。で、29erと650B。どちらにするか呻吟したのだが、車高の問題があるため、自分の技量ならば650Bを選ぶのが無難だろうと考えた。これを後押ししてくれたのがBSの動向である。国内有数のMTB供給元であるBSは650Bに絞って展開していた。例外としてプロが使用するプロトタイプ車両で29er仕様を製作してはいたが。いずれにしてもBSが市販MTBを650Bに絞って展開しているのだから650B規格は当分、無くなることはないであろう、と考えたというわけだ。あれから2年余り。現在のBSカタログでは650Bに関して、「・・・世界の主流でもあり・・・」との記述が載るまでになった。650Bはある程度強固な市民権を獲得したようだ。


□□□ シート角度 □□□

自分が現在乗っているロードのシート角度は73度と73.5度だが、MTBではなるべく寝かせたい。ロードのシート角度を持つMTBで走る自分を想像することが全くできない。70度でもよい位。ゆったり走りたいのだ。MTBの場合、いくらでも後ろ乗りできてしまうような気がする。ところで、MTBではシートチューブがBB近くで曲げ加工が施されていて、メーカーが公表するジオメトリのうち、シート角度は実態を示していない場合が多々ある。サドルを上げれば上げるほど実質的なシート角度が寝てくるので注意が必要である。長い焦点距離で遠方真横から撮影したであろう販促画像をWEBサイトから入手し、熟考するしかない。

CB 650Bはサドルを自分に適切な位置まで上げると、シート角度の実質値が71度を切る。非常にいい数値であるが、ジオメトリ表の表記は73度。曲がったシートチューブにはくれぐれも要注意である。


□□□ ホリゾンタル・トップ長 □□□

私の基準では、フレームジオメトリで最も重要な数値は、ホリゾンタル・トップである。これはロードでも全く同じ。この数値に妥協は不要である。ロードや700Cフラットバー車では普段、平然と120mmや130mmのステムを使っているのだが、常用操舵角度がロードと比べてはるかに大きいMTBでは、取り回しを考慮し、ステム突き出しを90mm以下に抑えたいと考えた。何と言っても乗り手は他でもない、技量の無い自分自身なのだ。背伸びしたところでいいことなど何もないのは、もう歳なのでよくわかっている。

さて、この25年ほどの間に、とても少ない数だが折に触れて跨ったMTBのことを思い出すと、とにかくハンドルがやたらと近い。そして真面目に購入検討を始めて、改めて設定したホリゾンタル・トップ+ステム突き出し量は、690mmから705mmである。ステムが仮に80mmならば、ホリゾンタル・トップ長は610mmから625mmとなる。


こうなると最早、国内流通量産MTBには選択肢がほぼ存在しないことに気づき、唖然とする。本当に壊滅的である。国内代理店経由で扱われているCharge COOKER 3に至っては、3サイズ展開SMLサイズうち、Lサイズの設定が最初から外されている始末だ。売れ筋サイズだけで勝負!である。がしかし、SPECIALIZEDは違った。このブランドが凄いのは、トップ長が大きいサイズのMTBがカタログ上に存在し、しかも実際に国内店舗で在庫している可能性が高い、ということなのだ。居住県内のリアル店舗での在庫状況を調べてもらったことがあるのだが、意外と近い場所に在庫があることが判明して驚いた。感心した割には購入しなかったが。


□□□ 最終選考 □□□

結局、最終候補4台のうち、最も自分好みのジオメトリであるcboardman Pro 650BのサイズLを選択することにした。Charge COOKER3もWEB画像上では魅力的ではあったが、実車を確認する機会があり、ここで、フレーム工作をじっくり眺めた時点で食指が止まった。もう一つのスチール候補、GENESISはシート角度がどうも立ちすぎていて、間違いなく後悔する、という判断を下した。

参考までに、普段乗っているロードとcboardman Pro 650Bのジオメトリを比較してみる。なお、シートチューブをストレートで近似し、シート角度は、BB中心点と、シートポスト芯-サドル上面の交点の2点を結んだ直線と水平面との交差角度で代表している。大雑把な比較である。

~~車体全長の差に唖然~~

ご覧の通り。
青線は日常的に自分が乗っているロード(FTB QUARK 1983)、ピンク線がcboardman Pro 650Bである。

このジオメトリならば少なくとも後悔はしないであろうと考え、cboardman pro 650Bの購入を決めた。それにしても、大きい。29erを選んだらさらに大きくなるのかと思うと、恐ろしいと思った(→大袈裟)。


□□□ 自転車が到着 □□□

発注は2015年2月1日、受取がその約10日後。
wiggleの当該ページを何度か眺めていたのだが、そろそろ発注しようと思ってwiggleを覗いたその日、15%オフ(だったような気がする)が、何といきなり30%オフになっており、そこにさらに顧客割引が加わって本体価格が¥113285、送料が¥9244の合計¥122529で入手してしまった。そして何故か、荷物を受け取ったころには30%オフが終了していた。どうしてこうなるのかよくわからないが、絶妙の発注タイミングだった。しかし冷静に考えると、こんな値段設定で商売が成り立つのかと心配になる。

所謂、8分組の状態で巨大な段ボール箱が到着。本体とホイールが別箱で、中身はしっかり固定され、充填材が詰め込まれ、厳重に梱包されてきた。段ボール箱には目立った打撲痕はない。ここまでは完璧である。なお、組立よりも、梱包材の片付けに時間がかかった。

組み上げて眺めると、アルミのフレームは素朴でなめらかな仕上がり。グラフィックはシンプルである。デザイン自体にギミック感が全くなく、真面目な雰囲気が漂っており、非常に好感が持てる。いい歳して派手目な明るい色が好みなのだが、この渋さは気に入ってしまった。


□□□ 油圧ディスクブレーキ □□□

油圧ディスクブレーキはShimano Deoreでロータ径はフロントが180mm、リアが160mmである。同じ力でブレーキをかければ当然、大径ディスクの方が制動トルクが大きくなるので制動力も高い。強大な限界制動トルクはスプロケを駆動する場合の最大トルクの比ではない。フル制動ともなればほとんどすべての制動力がフロントにのしかかる。したがってMTBの場合、フロントのホイール強度が極めて重要であろうことは容易に想像される。

~~最大制動までリニアに制動力が伸びる…いまさら言うのもアレだが油圧ディスクは強烈~~

Deoreのフロント・ディスクの制動力だが、舗装路では適正圧の650B×2.25タイヤのブロックパターンが急制動でひしゃげるほどである。つまり、舗装路では通常のタイヤ限界である摩擦円限界に到達する以前にタイヤ・パターンが歪んでしまう。(無論、MTBが本来活躍するダートではタイヤの摩擦円が舗装路の場合よりずっと小さいため、ブロックパターンがひしゃげる前にグリップを失う可能性が高い) ロードのキャリパー式ブレーキの場合ならば、フロントのブレーキ制動パワーの限界とタイヤ制動パワーの限界は似たようなレベルになっている。上体を伏せて腰をサドル後方まで目一杯引いてハンドルを投げ出してフルブレーキングしてもフロントは摩擦円限界を超えず、バランスが取れている、というのが私のインプレだが、MTBの油圧ディスクでは事情が異なり、摩擦円限界どころではなくその前にブロックパターンがひしゃげるのだ。MTBで設定される油圧ディスクの強大な制動力には恐れ入る。しかし結局、オフロードの長い下りでその威力を知ることになる。状況が逐次変化する不整路面でしっかりハンドルグリップを握り、このグラウンド・ポイントを起点としてブレーキレバーを指一本で軽く引くだけで正確にしっかり制動できる広いダイナミックレンジが即、ストレス・フリーにつながるのだ。ロードで油圧ディスクという選択も、もちろんありだとは思うが、MTBには油圧ディスクが至極適当であると思う。そもそも要求される制動パワーレンジや使用頻度がロードとMTBでは全く違っており、同じ土俵での比較など意味がなく、MTBの土俵で評価すれば、油圧ディスク・ブレーキはMTBに極めて親和性が高いと感じる。(今更何を言ってるんだ、という感じだが~~)

ちょっと脱線するが、油圧ディスクブレーキ車のリアエンド幅は大きい。MTBではあまり気にならないのだが、ロードではそれを強く感じる。今どきのロードはきついスローピングのおかげでシートステーが短いが、そこに広いエンド幅、というのはワタシ的にはなかなか受け入れがたい造形である。後姿が「カッコ悪い」のだ。もちろん、こんな見方が一般論であるはずもなく、全く逆の見方をする人もいるし、全く気にしていない人もいる。ある種の料理と同様、単に好みの問題でしかなく、好き嫌いの話であり、旨い不味いの話ではない。(完全に脱線)


□□□ パーツ交換 □□□

今回の購入に際して、デフォルトで装備されているパーツが何か、ということに関してはほとんど無頓着だったのだが、拘る気もなかった。25年前ならともかく、今どきのMTBパーツはよくわからないし、ヘンなものはついていないだろうと高を括っていたというのが正しい。特に、サス・フォークに関しては、メーカー名は知っているけれど、というレベル。ブレーキなどDeoreが付いていたが、かつてのシマノの最高峰、Deore XTがどこかに付いているんだろうと勝手に思い込んでいたりして、自分は何という、おとぼけオヤジなのか。

結果的に、高を括っていたのは失敗ではなかった。唯一、FSAクランクの軸受がBB30である、というところがひっかかるところではあったが、購入後しばらく続いた微妙に怪しげな時期を除けば、結局、タマタマかも知れないが今に至るも問題はない。(ヘンな音が出る自転車に乗るのは精神衛生的につらい!)
http://cbnanashi.net/cycle/modules/newbb/viewtopic.php?topic_id=14244&forum=37&post_id=24697#forumpost24697

~~BB30から当初、やや怪しげな音が聞こえたが、やがてどこかに消えてしまった~~

唯一、交換したのがペダルで、ベーシックなWELGOのクイルペダルから片面SPDのDeore XTに変更した。ペダル軸と直交するSPD回転軸(つまりクリート側)が恐ろしいほどにスムーズに揺動し、踵をほぼノー・フリクションで左右に振ることが可能な驚異のペダルで、リアル・レーシングのXTRも含めた中で最も気持ちの良いSPDペダルである。

~~アームがシルバーだったらワタシ的にはさらに◎~~

あとはハンドル幅を適正値に切り落とした程度で、他には何も手を加えていない。欲を言えば、FSAのクランク、COMET COMPACT 386のQファクタが170mmもあり(現行モデルはもう少し小さい)、何とかしたい、というあたりなのだが、これがダート林道に入ってしまうと気にならなくなるから不思議だ。というか、ダートやトレイルではQファクタなど気にしている余裕がない、というのが正しい。いや、もしかしたら、悪路系では多少広めのほうが良いのか?などと思わなくもない。ロードやツーリング自転車で170mmもあったら即刻、却下だが、MTBはロードとは違う乗り物、というのを感じる一瞬だ。

また、以前購入したcboardmanのフラットバー700C車では、サドルが今一つのフィーリングなのだが、今回のMTBでも、見た目が違うだけで結局は同じ型のサドルが装着されていた。案の定の乗り味だった。Fi’zi:kの何かに形状が多少、似ているが、柔らかい。乗った感触は例えばアリオネとは似ても似つかない。よく言えばコンフォートということになるかも知れない。硬めのサドルとして根強い人気を誇ったサンマルコのCONCOR LITEと比べると、座面を同じ力で指で押し込むと、2~3倍ほど余計に凹む。なぜかこの柔らかサドル、脚の付け根のサドルに当たる辺りが痺れてきたりすることがある。悪いサドルというわけではないと思うが、自分にはこの柔らかさが災いしているようだ。見栄えはなかなか良いのだが。交換要員としてFi’zi:kのロードサドルARIONE VS K:IUM FDJ editionを準備したが、半年経ってもまだ交換していない(ものぐさ!)。

~~コレは一体いつ投入するのか?~~


□□□ 組み付け上の問題点 □□□

特に難しいところはない。ところで組みつけていて気が付いた。シートピラーがカーボンだったのだ。てっきりアルミ系だと思っていたので意表を突かれた(笑)。それにしても、このシートピラーのしかるべきところとフレームのシートパイプの上端部の滑らかな内面にたっぷりとグリスが塗布されていたのには笑った。こんなことをしたらツルツルなカーボン製のシートピラーはズルズルと滑って下がるに決まっている。入念にふき取ったのは言うまでもない。その代りに、シートパイプ内面の奥にグリスをたっぷり塗布してピラー先端を到達させてシールとした。


□□□ 乗ってみて気づいた点 □□□

■ 変速 ■

リア変速機はシマノSLXシリーズで10速用のRD-M675-GS、フロントがDeore FD-M616-B-S。正確無比なSIS変速を行ってくれて、違和感ゼロ。これらを駆動するシフターはSHIMANO DEORE SL-M610で、こちらも十分軽い動作を示す。しかし、リアのシフトダウンのサムシフトは、そもそも、その方式自体が起伏を延々繰り返す林道走行などでは度重なるギヤチェンジでジワジワと親指の付け根に疲労をもたらすことが不可避である故、出来れば何とかしてほしいとは思う。十分に軽いのだが。

まあしかし、総体としては非常に満足度の高い変速システムではある。なお、理想はe-Tap的な無線変速だと思う。


■ ギヤレシオ ■

フロント2枚、リヤ10枚で、それぞれ42-27と11-36である。42/11=3.82は自分のロードのトップエンドと同じようなレシオで、自分の技量ではこの数値をさすがにMTBで使う機会はない。一方で27/36=0.75というエクストラ・ロー。こんな軽いギヤを一体、どこで使うのかと思ったが、激坂ダートでは使う機会があるということにすぐに気づいた。ただ、このレシオで激坂登坂していて、悪路に遭遇して地面に一度足をつくと、次に走り出す時にSPDをキヤッチするのが少々難しい。なんとまあオレは下手くそなMTB乗りなのか!と思う瞬間だが、足をつく前にギヤを2枚ほどトップ側にシフトしておくことで走り出しが楽になる。最近はそんな所作が自然にできるようになってきた。

~~MTBの速度レンジの広さに改めて驚く~~


■ 剛性 ■

フレームはアルミ系らしい造形である。見た目に違わず、多少、硬めの乗り味と思われる。がしかし、変なクセもなく楽に走ることができる。本当に、楽。ゆったりしたサイズと適切なシート角度と自然な操舵応答が効いているのがよくわかる。走った距離ほどには疲れない。なんとまあ、快適な乗り物なのか、と感心してしまう。連休中に毎日乗っても意外と飽きが来ない。ロードもいいけどMTBもなかなか面白いということに今頃気づいた。


■ 油圧ブレーキの広大なDレンジ ■

Deoreの油圧ブレーキは指一本でフルパワーを発揮することができる。効き始めの一瞬を除けば制動リニアリティが高く、コントロール性は良い。効き始めの一瞬、とは言っても、フロントが大径ロータであるが故なのか、効き始めのレスポンスもかなり明瞭だ。当てながらの旋回も容易で、操安性の良さにも貢献するレベルである。


■ タイヤ ■

650C×2.25タイヤはSchwalbe Nobby Nickだが、その良し悪しは経験の浅い私にはわからない。空気圧は推奨範囲の中央値で2.5kgf/cm^2程度にしているが、適切な乗り心地と思われる。指定圧ギリギリまで上げると様相が異なり、かなり跳ねる感じとなる。また、どうでもいい話だが、舗装路交差点などで車体を倒して急旋回すると、タイヤ辺縁側のブロックパターン由来の振動が盛大にサドルに伝わってきて尻がムズムズしてくる。旋回グリップ重視でパターンを刻むとこうなるのだろうか?


■ Thru-Axle ■

今どきのMTBは、巨大な制動荷重が襲いかかるフロントのホイール軸が少なくともスルーアクスルスだが、軸をねじ込むだけで勝手にセンターが出るような精度がないとスルーアクスルが成立しないのだから、スルーアクスルは基本的に精度が確保されたフレームやフォークに適用されるはずである。と考えると、これは結構な安心アイテムである。しかも、着脱がクイック式に勝るとも劣らないほど素早くできるのも良いと感じた。前輪を外してクルマの後部に載せて運ぶ際も、前輪着脱にストレスを全然感じない。楽なものである。とは言っても、今どきの真っ当なロード・フレームならクイック式でも一発でセンターが出て同様に楽チンで、何も困らないが。


■ 長大なホイールベース ■

ホイールベースが1096mmもある。普段乗っているロードよりも何と119mmも大きく、特にフロントセンターが90mmも大きい。おまけにタイヤも少々デカいので、昔のMTBと比較するととにかく巨大に見える。ここまで大きいと慣れるまでは旋回時に違和感がありそうなものだが、意外にも、どんなステアリング操作をしても特に違和感を感じなかった。舗装路で速度を上げて旋回するときなどは自然なアンダーステアであり、自然すぎて何も学習する必要がない。自分のロードと比較するとトレイル量がかなり大きく、したがって操安はかなり安定方向になっており、その大きな差は、最初のうちは違和感として感じるだろうと思っていたが、完全に外れた。太いタイヤでは旋回時のコーナリングフォースの着力点がタイヤセンターから旋回側にかなりシフトするが、そういった3次元的な影響も含めると当然のように、こういう自然な操安性になる、ということなのだろうか。これは貴重な数値情報であり、自分にとって新しい気づきである。フロント部ジオメトリと得られる操安性の一例がここにある。となれば、次にスチールのMTBフレームをオーダーする際に、大いに役立つであろう。なお、なぜ違和感を感じないのか、については、仮説をじっくりと机上検証してみたい。(いつやるんだか?)

~~ロードとのフロントセンターの差に唖然~~


□□□ その他 □□□

■ 重量 ■

何分このクラスのハードテイルである。軽くはない。がしかし、ダート林道登坂を延々続けても、感じるのは重さではなく、MTBの楽しさである。ますます軽量化に興味がなくなった。


□□□ まとめ □□□

MTBの要諦であるサス・フォークやホイールは普及品で、したがってMTBとしては性能的な制約があるはずで、そういう意味では商品の絶対値としてベストには遠いであろうが、今の自分には分相応であり、ベストの選択だった。非常によい経験をすることが出来ていると感じている。未舗装路を駆け巡り、上って、下る。この単純な行為の楽しさを十分に体感させてくれるMTBである。本当に楽しい。

それにしても落葉樹林帯を縫う未舗装路というのはなぜこんなにも人を癒してくれるのか。いい歳してダート林道・山サイクリングに嵌りつつあるが、居住県内の山は隅々まで歩いているので、どの辺に良さそうな林道があるのか結構知っているということが災いとならないようにしたいものだ。MTBで走ったら楽しそうな登山道も多く知っているが、調子に乗って登山道に分け入るような下品な行動は自重したい。いずれにしても、命を落とさない程度に嗜もうかと思う。

2025年には、もしかしたらMTBのスチールフレームをオーダーするかもしれない。そうなれば多分、人生最後の自転車になるだろう。いい歳したオヤジがMTBで山を徘徊、というのはいささか危険すぎるかも知れないが、そんなことを10年後にやっていたとしたら、それはそれで幸せというものである。


~~地道に癒される…~~



~~~仕様概況~~~
モデルイヤー:2015
フレーム:アルミ系トリプルバテッド
フォーク:RockShox Reba RLT Air, 120mm, offset 42mm
ホイールサイズ:650B (27.5)
ホイール:Mavic XM319+Formula hubs
シフタ:Shimano Deore
FD:Shimano Deore
RD:Shimano SLX
ブレーキ:Shimano Deore, 180/160mm
クランクセット:FSA Comet 368 42x27
チェーン:KMC X10
ボトムブラケット: FSA B3155 (BB30)
カセット:Deore 10speed/11-36
ハンドルバー/グリップ/ステム70mm/サドル:Boardman E4P Group set
シートポスト:Boardman E4P 31.6mm x 350mm
タイヤ:Schwalbe Nobby Nick 27.5 x 2.25


※ 説明の必要も無いと思うが、”cboardman”という名称は、トラック競技やツールなどで数々の伝説を創り上げた1990年代を代表する英国の英雄、Chris Boardmanに由来する。

※ なお、どうでもいいことだが今レビューでは、毅然とした表現を心がけた(笑)。



価格評価→★★★★★
評  価→★★★★☆

年  式→2014(製造年)


”cboardman”は現在、ブランド名が”BOARDMAN”となっており、フレームにプリントされる車名も”BOARDMAN”となっています。また、wiggleでの取り扱いは終了した模様です。2015年10月には、BOARDMANを扱う法人” Integrated riding Japan K.K”が北海道に置かれており、” Boardman Bikes Japan”を運営しています。


[MTB] cboardman Pro 650B を















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