・購入価格 ¥ 320,000
・サイズ 460(M)
・使用環境 ロングライド、通勤
・パーツ構成
主要コンポ: Shimano 6800系アルテグラ、ST-RS685
ホイール: Mavic Ksyrium Pro Disc / Fulcrum Racing Quattro Carbon DB
タイヤ: Continental GP 4000sII 23c / Panaracer GravelKing SK 32c
ペダル: Shimano PD-M9000
◆製品概要
GIANTの言わずと知れたエンデュランスロードDEFY ADVANCEDグレードの2016年度油圧ディスクブレーキ搭載モデルです。DEFYシリーズは 2015年に大きな改良が施され、特にADVANCED以上のモデルはすべてディスクブレーキ対応となりました。 このADVANCED PRO 2は、フレームは下位のADVANCEDと共通ですが、主な違いとしては油圧ディスクブレーキ採用とフォークに高グレードのカーボンコラムのものを採用しています。
2017年モデルからは前後ともスルーアクスルが採用されていますが、本レビューは2016年モデルのためクイックリリースです。
購入からちょうど一年乗ったのでまとまったレビューをしてみたいと思います。
◆購入経緯
本格的なロングライドに挑戦したくなり、また仕事で片道20kmの通勤を始めることとなり、いっちょ奮発して最新鋭のロードバイクに乗ってみようと決意しました。
新車購入にあたって重視したポイントは雨天通勤に備えてディスクブレーキであることと、ロングライド重視で乗り心地が良いこと。人と競うような乗り方はしないので、とにかく快適に走れる自転車であること最優先。
比較対象としては、SCOTのSOLACE DISCやTREKのMADONE DISC、もう一つ高グレードのDEFY ADV. PRO1 がありましたが、いずれにせよ試乗ができないのでカタログスペックとネットでのレビューが頼み。各所で評判もよく、フルカーボンのフルアルテ、油圧ディスク搭載で実売32万とコストパフォーマンスが高く、D-FuseやRIDE SENSE等、わかりやすいギミックに魅力を感じて当機の購入を決意しました。
◆外観
・色/デザイン
カラー展開はブルーのみ。
メイン配色の青と黒と差し色で銀というカラーリング。ロゴはあまり目立たちません。
実物はカタログやwebで見るよりもかなり鮮やかな青です。
面白いなと思ったのが黒の塗装部分。
同じ黒でも、トップチューブとダウンチューブのロゴでは光沢にはっきりとした差があり、前者のほうがより光沢があって少しラメっぽいものが入った鮮やかな黒、後者には紫がかったのっぺりとした黒となっています。
パッと見ではわかりませんが、比べると一目瞭然
・外観
BB周り。クロモリしか知らない自分にはこのごっつい塊感がかなり衝撃でした。
左のチェーンステイ裏にはRIDE SENSEセンサーが標準装備
右のチェーンステイにはnumero_nero氏謹製プロテクター。隙間から除く青がクール。
シートポストはジャイアントの独自規格 D-Fuse。 [参考:
https://cbnanashi.net/cycle/modules/newbb/viewtopic.php?topic_id=13956&forum=16&post_id=24215#forumpost24215ケーブル・ホース類は全て内装。できれば整備は店に投げたい...
サドルはなぜかfizi:kのアリアンテ k:iumが初期装備(カタログ上ではGIANT純正)
ドライブ周りは信頼のアルテグラ。整いすぎてて特に弄る必要が無い。
◆性能/使用感
レーシングバイクとしては使用していないため、あくまで通勤・ロングライド用としての評価です。タイヤは以前のバイクと同様4000SIIの23cを使用しています。
・振動吸収性
真っ先に挙げたいのはやはりここ。購入前からかなり高い期待を寄せており、ハードル爆上げで漕ぎだしましたが悠々と飛び越えてくれました。一口に振動と言っても、手に伝わる微振動からサドルの突き上げや車体全体の細かなブレまでいろいろですが、そのすべてが大きく緩和されています。感覚的には低減というより一定以上をカットといったほうが近いかも。初めて漕ぎだした時は感動以前に「こんなに楽でほんとにいいのか?」という戸惑いが大きかったです。
まず一般的な舗装路では、明らかに手に伝わる微振動が少ないです。感覚的な表現ですが、これまでが「カタタタタ…」と転がっていたのが「ヌーー」っと進む感じ。ハンドルやステムが純正のアルミのままでも全く不満を感じませんでした。
一方で路面状況の感覚はマイルドながらもしっかりと伝わってくるので鈍さは無く、至極快適です。
荒れた舗装やダートなどでは、シートポストやリア周りの恩恵を大きく感じます。これまでならお尻がはねてとてもシッティングでは通れなかった砂利の区間が、舗装路からの続きで特に姿勢を変えずに問題なく通過できるようになりました。砂利やダートに限らず、公園内のタイル道や山奥の荒れたコンクリート道なども同様です。特に荒れた舗装のダウンヒルなどでは、車体の制御に割く意識とエネルギーがほんの僅かで済むようになり、ディスクブレーキの制動力と相まって本当に快適になりました。ロングライドにおいての長い下りは体力的にはありがたいのですが、ライン取りやブレーキのタイミングなどで着実に集中力を削ってきます。このDEFYに乗り換えてそうした下りでの心的負担が大幅に取り除かれたことで、結果的に一度に走れる距離が伸びました。
・操作性 / ポジショニング
走行中のブレの少なさという意味での安定感が素晴らしいです。直進でもカーブでも、一度こう進むと決めた形を維持しやすく、スピードを上げても車体が全く暴れません。これも今までのロードで特に不安定だと感じたことはありませんでしたが、一度このDEFYに乗ってしまうと、どうしても他が少しグラグラというか、危なっかしく思えてしまいます。
大きなBB部が効いているのかペダリングの入力に対して軸がブレず、もがいて多少フォームが崩れてもどっしりと支えてくれる安心感があります。
ただ乗り換えた当初はカーブでのスピード感に少し違和感がありました。うまく言語化しにくいのですが、曲道にさしかかると重心が自然と後方に下がっていくような、体感速度と実際のスピードに僅かなズレがあるような感覚。ライン取りはイメージ通り行えていますし、上述の乗り心地の良さとセットでもたらされているものだと思いますが、しばらく乗っているうちに慣れたのか気にならなくなりました。
トップチューブが長いため身長178cm、股下82cmの私がMサイズに乗るとステムは最低位置、シートポストはリミットラインから30mmの位置がしっくり来ています。ステム角等で多少融通は聞きますが、強めの前傾姿勢をとる方にはハンドル高が下げきれない可能性があります。メーカーの適正身長は480のMサイズで170-185とありましたが、180cm前後で手足の長い方であれば515のMLと比較してみたほうが良いかもしれません。
・加速/巡航
強く踏み込んだときの加速反応の機敏さは少し物足りないようにも感じます。入力に対して出力がワンテンポ遅れるようで、よくインプレなどである「背中を押されるような」感覚は薄いです。どちらかと言うと、前からゴム紐で引っ張られてるような、グイーンとスピードが上がる少し癖のある加速感。
ただ、そのままどんどん伸びます。足を回せば回すだけスーッと加速していくので「30km/hに乗せる」というより「気付けば30km/h出てた」という感じ。頑張らなくても勝手に伸びていくので省エネ走行が本当に得意。特に200kmを越えるようなロングライドでは、走行後の疲労感がなにかズルしてるとしか思えないような楽さです。
通勤では河川敷の平地片道20kmを往復走っていますが、仕事に響かない程度に頑張らず流す、サボり第一のペダリングでも30km/h前後出てしまうのは本当に助かります。
・拡張性
なんと32cのグラベルキングSK(ブロックパターン)が入りました。この拡張性の高さもディスクロードならでは。
こんなガレた林道走ったりもしましたが、安定性が高いのですごく楽しめます。(ただし傷だらけにはなります。。。)
◆総評
長距離走行での快適性を求めて選んだDEFYでしたが、期待に違わずロングライド用バイクとして求められる部分を入念に突き詰めた自転車でした。ディスクロードの黎明期にあって、コンセプト通りで期待以上のものをそつなく作ってくるあたりは流石GIANT。正直ディスクブレーキがどうこうというよりも、フレームそのものの特性を存分に味わえる自転車だと思います。
このDEFYに乗っていて思うのは、「乗り心地の良さ」というのは肉体的な疲労の軽減だけじゃないんだなということ。ずば抜けた安定性や振動吸収性、そしてそこにディスクブレーキの安定した制動力が加わってライド中自転車の操作に割く意識の割合を下げ、長時間走行で蓄積する精神的な負荷をも大きく低減させてくれます。
その結果、道中出会う景色や音やにおいなどを余裕を持って楽しみ感じとることができるので、サイクリングがより充実したものになっていきます。
この自転車であちこち走るのが、今とても楽しいです。
価格評価→★★★★★(高価だがそれだけの価値は十分あり)
評 価→★★★★★(最高のロングライドマシン)