疾風スプリンター
購入価格 1800円
このド迫力のスピード感と興奮に、胸の震えが止まらない! 業界初!本格プロ・ロードレース・エンターテインメント! (以上、公式サイトより引用)
私は寒いのが嫌いだ。 この日は寒い上に午後から雨予報だったので、走り初めを早々に諦めた。退屈な一日になりそうだったが、「疾風スプリンター」が公開されていることを思い出し、早速鑑賞してきた。
ストーリーは実にシンプルだ。ある程度フィクションに慣れ親しんでいれば展開は容易に予想できるだろう。その分、雑味が交ざることなく純粋に入り込むことが出来た。
なんといっても、レースシーンが非常に素晴らしい。スピード感と臨場感に溢れて、実際のロードレース中継よりも手に汗を握ってしまう。特に武嶺でのダウンヒルはアドレナリン全開でギリギリを攻める感覚が見事に表現されている。風景も美しく撮られているので、思わず台湾サイクリングに行きたくなってしまった。実際に当地を走った経験がある人は追体験できるのではないだろうか。
自然な形で必要な知識が入ってくるようになっているのも、詳しくない観客には嬉しいところだろう。横風に対応するための斜めのトレインや、アシストとエースの関係などなど。ガーミンに表示される心拍数も演出に一役買っている。
俳優陣はかなり厳しいトレーニングを積み、スタントなしで撮影に臨んだようで、身体つきは勿論、乗車姿勢も実に様になっている。スタンディングスティルや三本ローラーもこなしている。間違いなく私より上手くて強くて速いはずだ。
「疾風スプリンター」は、間違いなく傑作だ。スクリーンに広がる華やかなサイクルジャージに目を奪われ、レースシーンでは手に汗を握る。恋愛シーンでくすりと笑って息を抜き、安心して王道展開に浸る。125分が短く感じられる面白さだった。時間があればもう一度観に行きたいし、発売されたらブルーレイも購入したい。
価格評価→★★★☆☆ 評 価→★★★★★
以下、レビューから外れた追記として。
海外の映画のプロモーションについてネガティブな意見を聞くことがある。ポスターがださいとか、邦題がださいとか、だいたいそんなところだ。正直にいって「疾風スプリンター」というタイトルもかっこいいとは思えない。 元々のタイトルは「破風/TO THE FORE 」という。風よけとしてのアシストを表しつつ、向かい風に抗い、打ち勝つ強さも感じさせる。実に良いタイトルだ。「疾風スプリンター」よりも内容とテーマに即している。 だが日本語として口に出して「はふ」と発声してしまうと、本作の力強さもスピード感も、何もかもが消えてしまう。はふ。はふ。何度も言っていると肉まんが食べたくなる。「破風」でなくてよかった。
|