購入価格: ¥15,536(税込)
標準価格: ¥25,976(税込)
『12-28Tは平地巡航と登坂を両立する歯数構成。ワイドレシオなのに軽いのは驚きだが、変速性能の向上は実感しにくい』
■ SHIMANO CS-9000とは
SHIMANO DURA-ACE CS-9000は、リア11速に対応するHG-EVスプロケットだ。ロー側の5枚のギアにはチタンとカーボン製スパイダーアームを採用し、軽量化を達成しつつ11速化している。残りの6枚のギアはスチール製で、表面仕上げもニッケルメッキである点は他のグレードと同様だ。スペーサーも樹脂製ではなく、おそらくアルミ製。アルミ製のロックリングにはアルマイト加工が施され、DURA-ACEのロゴが控えめだが存在感を放つ。
CS-9000の歯数構成のラインアップは、11-23T、11-25T、11-28T、12-25T、12-28Tの5つ。このうち12-28Tは他のグレードにはない歯数構成だ。ただ、DURA-ACE 9000シリーズのリアディレイラーにはロングケージがないため、他のグレードにはある11-32Tが存在しない。
CS-9000 12-28T (12-13-14-15-16-17-19-21-23-25-28T)
■ 購入のきっかけ
私が所有するGIANT DEFY1 DISCはリア11速のディスクロードで、カセットスプロケットにはCS-5800 11-32Tが採用されている。ローギアを大きくしつつ、隣り合うギアの歯数差を小さく抑えているのはさすが11速といったところ。平地から坂道までこなすことができ、ビギナーにはうってつけのスプロケだと感じた。ただ、30km/h以上のスピードを出す際には、シフトチェンジでケイデンスの変化が大きくなって脚が疲れやすい。また、私はローギアの32Tをほとんど使わない。
自分にはローギアが28Tでも十分であり、トップギアの11Tも使わないので12-28Tが理想的。ただ、この歯数構成はDURA-ACEにしかなく、11-28Tにしようか迷っているうちに1年以上たってしまった。そんなときにDURA-ACE R9100シリーズが発表され、CS-9000は海外通販でセール価格になった。それでも高価なパーツだが、いい機会なのでCS-9000の12-28Tを導入してみた。
セール品のためか豪華な外箱は付属しなかった
■ 重量
CS-9000 12-28Tを手で持つと、ローギアが28Tとは思えないほどの軽さに驚かされる。計量してみるとCS-9000の12-28Tは207g。CS-5800の11-32Tは308gなので、101gも軽くなったことになる。ちなみに、私のクロスバイクに付けている10速のCS-4600 12-28Tは307gもある。ワイドレシオのスプロケにもかかわらず軽く仕上がっているのは、さすがDURA-ACEといったところだ。
ロー側の5枚はチタン製ギアとカーボン製スパイダーアームを採用。残りのギアはスチール製
CS-9000 12-28Tは、CS-5800 11-32Tのロー側5枚+スペーサー1枚と同じ重量
■ 互換性・チェーンの長さ・変速調整
CS-9000 12-28Tは、リア11速のコンポーネントに互換性があり、私のDEFY1 DISCに付いているRD-5800-GSでも動作可能だ。RD-5800-GSはロングケージだが、ローギアが28TなのでショートケージのRD-5800-SSでも使える。ただ、私は28Tよりローギアを小さくするつもりはなく、エンデュランス系のDEFY1 DISCにはロングケージが似合ってると考えているので、RD-5800-SSは使わないと思う。
ローギアが28T以上の場合は、ローギアとアウターギアにチェーンをかけた状態で、つなぐことができる最小のリンク数に2リンク(1コマ)を加えたものが最適なチェーンの長さになる。DEFY1 DISCのチェーンステー長は420mmで、ローギアが32Tの場合は110リンク。28Tにすると108リンクになり、32Tから2リンク少なくなっただけだった。
スプロケの交換に伴って変速調整が必要になるが、リアディレイラーの左右の動く幅が決まっているなら、Bテンションアジャストボルトでガイドプーリーとスプロケの位置を調整するくらいで済むはずだ。ただ、トップギアが12Tになった影響か、トップギアに変速しにくくなった気がしたので、トップ側のガイドプーリーの位置をトップ側調整ボルトで微調整した。
11-32Tから12-28Tに交換する際にチェーンが2リンク少なくなった
■ 12-28Tでの走行
CS-9000 12-28Tに交換したところ、11-32Tよりも明らかに平地で走りやすくなった。平地巡航に用いるギアの枚数が多くなり、シフトチェンジの際のケイデンスの変化が小さい。その結果、これまで出すのがやっとだったスピードに無理なく到達でき、ケイデンスの維持によって高いスピードで巡航しやすくなった。
シフトアップの際のケイデンスの低下に伴う脚の踏み込みが少なくなり、脚を回すだけで済むような感じ。踏み込みのよる筋疲労やグリコーゲンの消費を抑えつつ、長時間の走行でも体力的に楽に走れる。もちろん、11-32Tのようなシフトチェンジでのケイデンスの変化が大きいスプロケには、それに応じた走り方があるはずだが、個人的には12-28Tの方が使いやすい。
信号機や渋滞が多い都内の道路では、状況によってはインナーギアだけを使って走ることも多いが、12-28Tはトップ側の6枚が1T刻みなので、極端にケイデンスが上下せずに使いやすい。逆にアウターギアのままローギア側を使うこともある。個人的には11-32Tよりも12-28Tの方がまんべんなく多くのギアを使えている。フロントのシフトチェンジの際には、ケイデンスを合わせるためにリアの変速操作を数回行う必要があるが、これもさほど面倒な操作ではなかった。
東京や千葉の坂の多い場所でも試してみたところ、シッティングで登る際に使ったギアは25Tまでが多く、たまに28Tを使うこともあった。平地の巡航ならクロスレシオの12-25Tの方が有利なはずだが、ダンシングを併用することを考えても、ローギアが25Tでは坂道が不安。平地で走ることが多くても、ローギアは28Tにしておいた方が幅広くサイクリングを楽しめると感じた。
赤枠の部分は私が平地巡航でよく使うギア。平地では12-28Tの方が使うギアの枚数が多い
■ 変速性能
リアディレイラーやチェーンが105ということもあり、スプロケをDURA-ACEににしただけでは、変速性能の向上をほとんど感じ取れない。確かに変速はこれまでと同様にスムーズだし、音鳴りもしなくなったような気もするが、いずれも変速調整やチェーンへのクリーニングと注油で実現できるレベルだ。12-25Tや11-28TならCS-5800にもラインアップがあるので、あえて高価なCS-9000を選ぶ必要は感じない。ただ、DURA-ACEに対する私の期待が高すぎたというのも正直なところで、CS-9000は確実かつスムーズな変速に貢献する。
リアディレイラーとチェーンが105では変速性能の向上を感じにくい
■ 総評
CS-9000 12-28Tは、私の期待どおりの使いやすさだった。シフトチェンジに伴うケイデンスの変化が小さく、高いスピードを出すのも維持するのも楽だ。インナーギアもしくはアウターギアだけでも快適に走ることができ、全てのギアをまんべんなく使いやすい。12-28Tは平地の走りやすさと坂道への対応を両立した非常に使いやすい歯数構成だ。
ワイドレシオにもかかわらず軽量に仕上がっているのは、さすがDURA-ACEといったところ。だが、コンポーネントが105なのにスプロケだけをDURA-ACEに交換しても、変速向上を実感しにくいというのが正直な感想だ。12-28Tの歯数構成には大満足だが、感じた効果もほとんど歯数構成によるものだけだった。基本的にはグレードに合ったスプロケを選択し、使ってみたい歯数構成があれば上位グレードの購入を考えればいいと思う。
スプロケだけこっそりとDURA-ACEを導入
価格評価→★☆☆☆☆ (セールでも高価。チタン製のギアは耐久性も心配)
評 価→★★★★★ (歯数構成に満足。高価なこと以外に不満はない)
<オプション>
年 式 → ー
カタログ重量 → 205g(実測で207g)