購入価格 ¥0(方法によっては初期投資が別途必要)
[経緯]
突然ですが、少年時代にミニ四駆をやっていた皆様。
「マシンを組み立てた後、1分ぐらい空運転するとマシンが速くなる。」
という都市伝説みたいな話を聞いた事はありませんか?
この話は本当。
空運転、つまり無負荷状態で駆動部を高速回転させると、ギヤに付いた余分なグリスを吹き飛ばし、ボールベアリングの内部に鋼球と保持器が通るグリスの溝 or トンネルが形成されます。これによりグリスの攪拌による駆動ロスや摩擦熱の発生を防ぐ事が出来、抵抗が減った分だけ速くなるという原理です。ミニ四駆を空運転無しで普通に走らせても同じ現象は起こりますが、より高回転で回した方がグリスに掛かる遠心加速度が増すので効果が高い。という訳で空運転をやったマシンとやってないマシンにタイム差が生まれる訳です。
余談ですが、TVチャン○オンで放映されたミニ四駆選手権の映像で、結果に差が出てたのを今でも鮮明に記憶しています。
これは「チャネリング」と呼ばれる現象で、ベアリングとグリスの関係性について語られる時によく出てくる言葉です。チャネリングが起こった後のベアリングは周囲のグリスからゆっくり染み出す極少量の油によって、超低抵抗&長期間のメンテフリー運転が可能となります。使用環境やグリスの選定に問題が無ければまず焼き付く事はありません。チャネリングの起こりやすさや程度は、ベアリングの形式やサイズ、グリスの銘柄(粘度)、ベアリング内のグリスの充填量、回転数、運転時間、etc. に左右されるので、ぶっちゃけてしまうとやってみないと分かりません。
…という内容を以前レビューしたこの本から学びました。
[秀和システム 図解入門よくわかる最新ベアリングの基本と仕組み]
https://cbnanashi.net/cycle/modules/newbb/viewtopic.php?topic_id=13873&forum=84&post_id=24069#forumpost24069※ミニ四駆の話はこの本を読んでる時に思い出した私の少年時代の古い記憶ですw
今になって納得がいきました(^^;
自転車のハブやBB等が『馴染んで回転が軽くなる』という現象も、チャネリングの影響を受けているはずです。じゃあ、自転車のベアリングも高速回転でブン回して慣らし運転してやればいいんじゃね? という発想に至るのは至極当然の結果でして...。思いついたら試してみないと気になって仕方が無い!!
という訳で実際にやってみました。
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[実験]
栄えある我が家の実験台(笑)
[手組み] Shimalin RR500 (後輪)
https://cbnanashi.net/cycle/modules/newbb/viewtopic.php?topic_id=10534&forum=30のハブベアリングのグリスを一旦パーツクリーナで除去し、いつものメンテの要領で再度グリスアップします。玉当たり調整はチャネリングの効果が分かりやすいようにガタが無く軽く回る状態(与圧弱め)を目指しました。手で軽くハブ軸を回してグリスを馴染ませ(行き渡らせ)たら下準備完成。ここまではフツーのメンテ内容です。
次にホイールが付いた状態の自転車(ロードでもMTBでもママチャリでも何でもいいです)と、必要があればスタンドまたは固定ローラを用意します。自転車を逆さにして地面に置くという方法でもOKです。次に自転車のギヤをアウタートップに入れて手でクランクを回し後輪を全速力で回転させて空転状態にします。後はチャネリングさせたいホイールのハブ軸を、ママチャリ用の前照灯用発電機の要領でタイヤに当てます。
ぎゅいーん!!
ハイ、一瞬で慣らし運転が完了しました。
手で慣らし運転が終わったハブ軸を回してみると、慣らし運転前より確かに軽いです。ハブの中のグリスの状態が気になる場合はハブを開けてもいいのですが、開けるとせっかくチャネリングさせたグリスが動いて苦労が無駄になるのでやりませんでした。
[実走結果]
微々たる差なので、正直良く分かりませんw
とはいえ、手で回して差があったという事は、レースやロングライドで差が出るかもしれません。他の回転部も徹底的にチャネリングさせれば更に効果は出ると考えられます。ベアリング内部のグリスの攪拌抵抗よりチェーンのメンテの仕上がりやタイヤの銘柄と空気圧の方が自転車の抵抗に大きな影響を与える気がしないでもないですが、ストイックに愛車の駆動抵抗を減らすならやってみるのも無駄ではないと思います。
なお、長期テストはこれからですので、何か異常があれば追加レビューにて報告します。
[注意]
ハブの型式によっては別のホイールを使ってハブ軸を回す方法は使えません。私の手元にある中で言うと、Shimano R500 ハブは薄いロックナット(正六角形)なので少し回しにくいです。TNIのエボライトハブはキャップを外さないとダメです。GOKISOはやりたくないです。(笑)
あと、私が思いついた方法はハブを駆動する側のホイールのタイヤを痛める可能性があるうえ、お察しの通りかなり危険です。(今更かw)
方法として、要は外部動力でハブ軸をブン回せれば何でもいいので
・糸をハブ軸に巻いて思いっきり引く
・電動工具でぎゅいーん!!
でもいいと思います。
電動工具を使うのであればチャックする治具等の工夫次第でBBにも使えます。実際に電動ドリルにゴム足をチャックし、クランクを抜いた状態のBBを回してみたら、回転数が低くて効果は小さかったもののちゃんとチャネリングできました。
もし試されるのであれば、くれぐれも怪我をしなうよう、慎重に、自己責任で(ここ重要!!)お願いします。
本日もご安全に。
価格評価→★★★★★(初期投資が必要な場合あり)
評 価→★★★★★(基本的に自己満足ですが、とことん愛車の回転部の性能を追求するのであればやる価値あり)