現在の栃木県日光市足尾町にかつて存在した、足尾鉱毒事件で知られる足尾銅山。
この鉱毒により廃村となった松木村があった松木渓谷はある種、景勝地として知られるようになっています。
というわけで8月の夏休み、15年ぶりに松木渓谷へ。前回は徒歩でしたが今回はMTB。起点はわたらせ渓谷鐡道の間藤駅です。
ルートラボ
参考までに地理院地図も示します。中心の十字点が間藤駅。
http://maps.gsi.go.jp/#14/36.653409/139.450150/&base=std&ls=std&disp=1&lcd=airphoto&vs=c1j0l0u0f1*─・‥…─*─・‥…─*─・‥…─*─・‥…─*─・‥…─*─・‥…─*─・‥…─*─・‥…─*─・‥…─*─・‥…─*─・‥…─*
わたらせ渓谷鐡道の間藤駅から1.5kmほど家並みを進むと、銅山の精錬所跡がこんな風に現れます。
・・・古いトラス橋越しに見る精錬所跡(別の日の画像です)
そのすぐ先の公園で、足尾に緑を取り戻す植樹運動に参加した学校や団体の一覧が。関東近県などから多くの方々が植樹に参加しています。
・・・植樹運動に参加した団体一覧が。。。
すぐに、松木渓谷の表示が現れますが、この先には施錠されたゲートがあります。MTBで向かった8月11日(木)の朝6時前にはゲートが閉じられていました。
・・・この先にゲートあり
超初心者向けといってもよさそうな未舗装路の区間もあります。一部、MTBにふさわしい路面もありますが、比較的楽な道です。松木川沿いの道を行きます。
・・・走りやすい路面もある(が)
「松木渓谷、皇海山」という表示があります。あまりにも呆気ない案内板ですが、皇海山(すかいさん)へのルートは地理院地図にも記載のない、全く一般的ではない上級者向け登山ルートで、松木川を渡渉してアプローチするようです。熟練者以外は無理でしょう。なお、地理院地図では、個人所有の山において、登山道として一般的に使われているルートでも、諸般の事情で掲載されていない場合が多数あります。また、あの長大なダブルトラック「塩那道路」(レビューあり)も、栃木県当局公式発表で廃道が決定しているので、見事に抹消されています。
・・・皇海山、というお気楽な案内標識だが
立木観音のようなこんなものも。肥沃だったであろう往時をしのばせます。
・・・ひっそりと佇むモニュメント
なんと、コーヒーも飲めるという休憩処も存在。どうやら、土日などに営業しているらしく、この「みちくさ」の運営は足尾の森づくりを推進してきた方々のようです。
・・・さすがに朝6時には開いていなかった
近くにこんな案内板も。在りし日の松木村の様子、その後の顛末が語られます。一言一句、味読してしまいました。
・・・サイクリングなのでこういうのはちゃんと見る
ここにもゲートが。「勝手に入って何かあっても責任は負いません」という営林署の注意書きがあります。まあ、並みの登山道よりも遥かに安全ではありますが。
・・・もちろん、行きます(お薦めしているわけではありません)
ここからもう少し行くと、道は途絶えます。ここまで約6.5km。
・・・ここで道が途切れる
ここでは紹介しませんでしたが、実は、かなり広漠とした風景が広がっているルートです。
間藤駅に戻ります。この駅は、河出書房新社から1978年に出版された宮脇俊三氏の「時刻表2万キロ」の最終駅としても知られています。
・・・宮脇俊三氏著作の終端駅にたたずむ車両(別の日の画像です)
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足尾銅山は江戸時代から400年余りに渡って採掘が続けられていたそうです。銅山全盛期は大正時代だそうですが、この頃、この界隈の人口はなんと38000人を超えていたと。
公害問題から120年以上が経過しており、足尾鉱毒事件などすっかり過去の出来事だと思われているのかも知れませんが、往時の建物が廃墟として多く残っており、不思議な感慨を持ちます。15年ほど前にはまだ使えそうだった鉱山の古い社宅も、ごく一部、残っているようでした。
山と花が美しい奥日光と、鉱毒事件の足尾。この二地点は驚くほど近く、奥日光の中禅寺湖南岸から這い上がって到達する半月山や社山から、手が届くような距離に足尾の山塊を望むことが出来ます。鉱毒の影響ですっかり荒廃した足尾の山の植林運動に深くかかわったのが作家の故・立松和平氏ですが、この10数年で、徐々に緑が回復してきているのを感じます。
・・・半月山南麓1600m地点から望む足尾山塊、2007年10月28日
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■■ データ ■■
コース乗車率 : 100%
体力度 : 〇
危険度 : 〇
熊よけ鈴 : 必須
※山ガイド本に倣い難易度を次のように示します。
〇1つ・・・初心者レベル/2つ・・・中級者レベル/3つ・・・上級者レベル(単独行はやめた方が無難)
評 価→★★★☆☆
年 式→2016