購入価格 観戦無料
イタリアへ新婚旅行に行った際に、Giro d'Italia 2016 第17ステージのゴール地点、Cassano d'Adda(カッサーノ・ダッダ)へレース観戦に行ってきました。
自身初グランツール観戦です。
【ステージ解説】
全体的には下り基調の平坦ステージ。
ゴール前はド平坦のストレート。
ただし、最終コーナーがラウンドアバウト(環状交差点)が絡む複合右コーナー(しかも狭い)になっているので、ここがレースを左右する重要なポイントになります。
そのコースレイアウトから、山岳で生き残ったスプリンター vs 逃げ集団のゴール前スプリントになると予想。
【ゴール地点までの道程】
イタリアのミラノまでは空路。
宿はミラノに取ったので、ここを起点に行動。
ミラノからカッサーノ・ダッダ駅までは鉄道。(30分程で行けます。)
カッサーノダッダ駅からゴールまでは徒歩。
…を予定していたが、駅に行ってみると鉄道会社がまさかのストライキ。
※注;イタリアの各鉄道会社は年に2~3回ぐらいストライキをやるらしい。
結局、一度宿まで戻ってタクシーを調達し、カッサーノ・ダッダまで向かいました。
運転手さんは親切で、ミラノ市内から自分が行った事のない街まで地元民に道を尋ねながら運んでくれました。
余談になりますが、道中偶然にもタクシーがコルナゴ本社前を通過したり、海外の高速道路やラウンドアバウトを体験出来たりして、これはこれで結構楽しめた。帰り道が分からなくなるとイカンので、一度ゴール前を通り過ぎカッサーノ・ダッダ駅でタクシーを降り、帰り道を確認しつつ徒歩でゴール地点へ。
【現地到着~観戦までの流れ】
ジロ歓迎ムードな通りを散策しながら駅からゴールゲートへ。
街中がマリアローザカラーの風船、ホイール、看板、ポスター等で装飾されています。
途中、グッズを販売していたワゴン車で応援グッズを購入。
一度ゴールゲートの前まで行って様子を見つつ、最終的にゴールゲート110m手前の街路樹の木陰に陣取った。
ここならスプリンターが発射されゴールに飛び込むシーンが見られるだろう。
地元のオッチャン達からは、
「まだゴールまで5時間ぐらいあるよ?気が早くない?」(※もちろんイタリア語です)
と声を掛けられるも、「セレモニーとかも見たいから。」と、そのまま待機。
程なくして付近の道路は閉鎖され、イベントが始まった。
【スタートセレモニー】
まずは地元のお偉いさんと子ども達がやって来て、スタート地点と連動しながら割と質素な感じで静かにレース開始宣言。
時計が動き始めた。
しばらくして、TVでレース中継が開始されると、オーロラビジョンが点灯。
大音量のBGMも流れ始めた。
会場はレース観戦会場というより単なるお祭りと表現した方が合っているように思う。
私が勝手に名前を付けるなら、『ジロがウチの町にやってきたぞ祭り』である。
観客の大多数はご近所さん。
沢山の家族連れが楽しそうに集まってくる風景は、日本の夏祭りとそっくりだ。
次に、地元の少年少女自転車チームによるパレードランが始まった。
親御さんたちが歓喜して写真を撮りまくる風景もやっぱり日本と同じだ。
パレードが終わったら、子ども達によるゴール前100mスプリントバトルが始まった。
CBナナシストとして機材チェックは欠かせないw
まず、彼らが乗るマシンのフレーム素材は
クロモリ(4割ぐらい) > アルミ(3割ぐらい) > カーボン(3割ぐらい) > チタン(1台だけ)
ぐらいの比率。
フレームメーカーは、日本で見掛けたことの無い地元工房 or 地元メーカー製が半数以上。
親から譲ってもらった風の使い込まれたバイクも多い。
残りは日本でもよく見掛けるヨーロッパメーカーのエンデュランス系が多かった。
マシンのコンポーネントはカンパヴェローチェが1番人気で次がシマノ105、SORAと続く。
たまーにSRAMも見掛ける。
スプロケは全員ジュニアカセット。
サードパーティ満載な魔改造車は皆無で結構堅実なパーツセレクトです。
ホイールは殆ど700Cの手組みだが、さり気なくローハイトのカーボンリムで組んでる子多数。
650Cの手組みもチラホラ。
要所はしっかり抑えてカスタムするが、不要なカスタムは一切しないスタイルだ。
残り半数は日本でもよく見るカンパやシマノ等の完組みホイールのローエンド~ミドルクラスです。
でも中にはこんなリッチメンも...
なんとZIPP404です。
再び余談になりますが、イタリア国内で見掛けるロードは殆どクロモリだ。
大人も子どもも、基本はクロモリ地元製。
競技志向が強い人(入門者~中堅レベル)がアルミ、カーボンに乗ってる人はかなりの実力者のみという印象。
そして、皆道具は古くて傷もあるがマシンは磨き上げられてきちんと整備されておりピカピカだ。
カンパやマヴィックの古いWレバーを装着した自転車だってそこらじゅうで使われている。
丈夫で長持ちな道具を大事に使い、改造は要所だけに絞る。
速いか遅いかは道具ではなく自分次第という考え方のようだ。
余談終わり。
でもみんなタイヤは新品超奇麗w
チューブラーもかなりいる。
コンチのGP4000S、こっちでも人気ですね。
私も愛用する大好きなタイヤです。
あと、同じぐらいTUFOの使用率高し。
と、機材チェックはこの辺にして彼らの走りを拝見。
驚いた。
小中学生なのに恐ろしく速いのである。
スタートダッシュはトラック競技の初期加速のよう。
そこからロードのスプリントフォームに滑らかに移行し、トップスピードでゴールに飛び込む。
身のこなしだけならプロのそれと全く同じ。
自転車に乗るという行為そのものが恐ろしく上手く、効率のいい走りをしているのが良く分かる。
多分、私を含むフツーの日本の大人のサイクリストが100mスプリント勝負を挑んだ所で彼らには勝てない。
『ヨーロッパのレベルの高さ』というものをこんな所で思い知ったのである。
【キャラバン隊】
子ども達の競技が終わってしばらくすると、キャラバン隊がやってきた。
先頭は大会オフィシャル車両。
本田技研工業社製 CIVIC (欧州仕様)
ドイツのニュルブルクリンクで、FF駆動式市販量産車ノーマル部門の最速タイムを叩き出し、WTCCでは表彰台独占。名実共に世界最速のFF車となったヨーロッパで話題な CIVIC Type R のベースモデルだ。
ちなみに、私の愛車(CIVIC Type R FD2)の後継機だったりする。←ホンダ乗りとして実物が見れてちょっと嬉しい。
ベースモデルの顔もなかなかカッコいいし、自転車を積んでレースや遠征をするのに良さげなクルマなので、日本でも売って貰えないかしらん。ホンダさん。
おおっと話がそれた。
それに続くのがキャラバン隊。
最初は商用トラックやコンパクトカーに装飾をしたやつが沢山来るのかと思ってたら、
結構いろいろなタイプの車がいますね~。
しかもなんか1台すげーのきた。
ランボルギーニ社のウラカンさんです。
ここぞとばかりにエンジンをぶん回し、快音を轟かせます。
ランボルギーニのエンジンサウンドの演奏が終わるとスピーカーから音楽が流れ始め、各車の中からお姉さん&お兄さん登場。
楽しいダンスを披露してくれます。
会場もいい感じに盛り上がってきました!!
音楽が止まると、お姉さん&お兄さんがクルマの中から大量の応援グッズを取り出し、観客に向かってバラ撒きまくる!!
争奪戦の開始だ!!
戦利品です。
左の方にある数点がワゴン販売で買ったもの。
他は全て無料です。
価格評価→★★★★★(貰った。)
評 価→★★★★★(思い出とお土産をありがとう!!)
キャラバン隊が去った後もBMXのパフォーマンスがあったり。
そうこうしているうちに、オーロラビジョンに映し出される映像の残り距離が少なくなってきました。
日本から持っていった地図を広げていると、
「今、この辺だよ。」
と指差して教えてくれる隣の親切なおじいさん。
緊張感が高まります。
【選手がやってきて、ゴールまで。】
オーロラビションに見覚えのある橋が映る。
私がゴールまて来る時に見た場所だ。
つまり、あと1分もしないうちに今日の勝者が決まる。
日本でヨーロッパのレース中継を観戦するなら夜中。
当然辺りは真っ暗。
それが当たり前だった。
でも、今自分が見上げている空は明るい。
いつもテレビで見ているあの大集団がすぐそこまで来ていて、今自分に向かって突っ走っている。
不思議な気分だった。
最終コーナーから白いジャージの選手が現れる。
IAMレーシングのロジェ・クルーゲ選手だ。
その後ろから1呼吸置いて大集団の波。
1人の逃げを捕まえようとする大集団の中から次々とミサイルが発射され、恐ろしい加速で白いジャージに向かって突き進む。
ニンゲンって、200㎞走った後でもあの速度で巡行出来て、そこから更にあれだけの加速度で加速できるもんなんですねー(唖然)
先頭のロジェ・クルーゲ選手は私の前を通過し、そのまま僅差を守り切ってステージ優勝。
そのすぐ後ろをメイン集団が意味の分からない速度で走り抜けると、
もうそこには誰もいなかった。
この一瞬で勝者から100位台まで順位が決まってしまった。
そこからパラパラと何人かゴールして今日のレース終了。
先頭通過からたったの2~3分の出来事である。
本当にたったこれだけの差しかないもんなのか?
とてもあっけない終焉だった。
私が見た世界トッププロのゴールスプリントは、自然災害や狩猟本能にスイッチが入った野獣の集団のような恐ろしいものが一人の選手を飲み込もうとしていて、そこから必死に逃げる様子を間近で見守る。
そんな怒涛のような迫力だった。
そして、他のスポーツ以上に短い一瞬の僅差でその後の人生が決まってしまう世界だった。
TVの空撮で見るより遥かに短い一瞬の出来事だった。
【帰り道】
とりあえず駅まで徒歩移動。
ストライキは続行中でしたが、帰り方向の電車は動いてたので普通に帰れました。
【最後に】
間違いなく、自分の今後の自転車人生を変える体験になったと思います。
3週間毎晩テレビで見るのと、一目だけでも現地で見るのとでは全てが全く違います。
大変貴重な体験でした。
そういえば、後でハイライトを見たらゴールシーンでカメラを突き出す自分の手がしっかり映ってましたw
やった本人しか分からない程度ですが、これもまた良い思い出。
価格評価→★★★★★(ロードレースは原則的に観戦無料!!)
評 価→★★★★★…∞
<オプション>
年 式→ 2016年5月25日 水曜日