購入価格: ¥42,965 (税込)
標準価格: ¥52,704 (税込) ※QR+ASF
『700×28Cのタイヤと組み合わせることで、反応性の高さを生かしつつ、快適性と悪路走破性を高められる』
■ 2回目の投稿
Fulcrum Racing 5 DBは、剛性と反応性に優れたディスクロード用のホイールだ。エントリーグレードのホイールとはいえ、GIANT DEFY1 DISCの付属品とは一線を画す性能。軽快な走りと踏み込みでのかかりの良さを楽しめる。硬いホイールだが、振動吸収性に優れたDEFY1 DISCなら快適性をあまり損なわずに使える。さて、今回は700×28Cのタイヤとの相性や新たに気がついた点について投稿したい。
Fulcrum Racing 5 DBを装着したGIANT DEFY1 DISC
■ 700×28Cとの相性 (ワイドリムとナローリムの比較)
Racing 5 DBのリム幅は23mm。いわゆるワイドリムだ。私はさらに快適性(乗り心地)と悪路走破性を重視して、GIANT DEFY1 DISCに付属する700×25Cのタイヤから、Panaracer GravelKingの700×28Cに取り換えた。エアボリュームのおかげで、走り出した瞬間から乗り心地の良さを実感。以前よりも路面の細かい振動を拾いにくくなり、地面からの大きな突き上げもタイヤがいなしてくれる。また、荒れた路面でのグリップもよくなった。700×28Cなら空気圧をやや低めすることもできるため、Racing 5 DBの硬い乗り心地を改善しやすく、反応性の高さを生かしつつ、快適性と悪路走破性を高められる。
ワイドリムのメリットは、ナローリムと比較するとわかりやすい。私のクロスバイクには、ナローリム(リム幅19.5mm)のDT SWISS RR585にDetonator Foldableの700×28Cを取り付けている。この組み合わせではタイヤが縦長に変形し、安定性・快適性・グリップ力のいずれもワイドリムにやや劣る。コーナリングでは、ナローリムの方がタイヤの横方向の変形によるロスを感じやすい。同じリムやタイヤでの比較ではないとはいえ、リム幅による違いは確かにある。ナローリムで28Cは問題ないが、ワイドリムの方が相性がいいといったところだ。
リム幅23mmのRacing 5 DBにグラベルキングの700×28Cを組み合わせた
■ クイックリリースレバーやスキュワー(RWS)との相性
クイックリリースレバーの代わりにRWSを使うと、ローターを位置決めしやすくなり、快適性は低下する代わりに反応性はますます高くなる。ただ、フロントのRWSはやや強めに締めても走行への影響は少ないが、リアの場合はペダリングが異常に重くなるので要注意。RWSを締め込むとハブの内部の隙間がなくなり、ラチェットやベアリングを圧迫して動きが重くなるようだ。
ちなみに、付属のクイックリリースレバーを使う場合は、強めに締めた方がパッドに対してローターの位置が安定しやすいが、こちらも強く締めすぎるとペダリングが重くなることが判明。レバーが締まらないのに強引に力をかけて締めると、RWSの締め込みほどではないがペダリングに抵抗を感じてしまう。強めに締めるといっても、レバーの開閉がある程度スムーズに行えるような常識的な範囲内で行う分には、回転の滑らかさを妨げることはない。クイックリリースレバーにしろRWSにしろ、締め過ぎはデメリットが大きい。
RWSやクイックリリースレバーの締め付けが強いと、ペダリングが重たくなるので注意
■ AFSのロックリングのゆるみ
ホイールのベアリングをグリスアップする際には、グリスが付着しないようにローターを外した方が作業しやすくなるが、AFS(いわゆるセンターロック)なら6ボルトタイプよりもローターの着脱がかんたんに行える。
前回ローターを外した際には、リアのロックリングが少しゆるめだった。手で外せるほどではなかったが、これ以上ゆるむ前に気がついてよかった。ASFは6ボルトタイプのように出先では携帯工具で増し締めできないので、メンテでホイールを着脱する際にときどきロックリングのゆるみをチェックすべきだった。ロックリングのゆるみの原因は、DEFY1 DISCのリアバックの積極的なしなりによる振動だと思う。
ホイールを外したら、ロックリングも増し締めした方がよい
■ 耐久性
前回の投稿からさらに使い続けても、このホイールは全然振れが出ない。フリーボディーへのカセットスプロケットの食い込みも進行してはおらず、アルミ製フリーボディーに施されているプラズマ電解コーティングはそれなりに効果があるようだ。また、このホイールはアダプターを交換することでスルーアクスルにも対応するが、QR用のアダプターにもガタは生じていない。頑丈でよくできたホイールだと思う。
ただ、防水性のなさは相変わらずなので、洗車の際にはフレームからホイールを外し、ホイールはハブに水がかからないようにして洗っている。Racing 5 DBは頑丈なホイールだが、雨天走行の頻度によって耐久性が大きく変わってくるはずだ。激しい雨の走行の後にハブのメンテを行わなかった場合は、早い段階でベアリングやフリーボディーを交換することになると思う。
フリーボディーへのカセットスプロケットの食い込みは進行していない
■ ハブに使うグリスの粘度
もともと、Racing 5 DBには粘度が低めの白いグリスが使われていた。カンパニョーロの純正グリスと思われるが、現在では廃盤になっているようだ。ラチェットにはこのグリスが多めに入っていたが、フリーボディーのスムーズな動きを妨げることはなかった。
純正グリスが手に入らなかったこともあり、ハブのグリスアップには手持ちのシマノ プレミアムグリスを使ったが、ベアリングはともかくラチェットには粘度が高くて向いていないようだ。ラチェットに純正グリスと同様に多めに塗布すると、ホイールの空転でクランクもいっしょに回ってしまう。薄く塗布すれば実用上は問題ないが、フリーボディーのスムーズな動きは純正グリスに及ばないような気がした。
その後、純正グリスの代替品として、モーガンブルー コンペティションカンパグリースを使ってみた。粘度の高いプレミアムグリスを入れ替えたからか、ホイールの動きが軽くて調子がいい。ラチェット音も走行中には気にならない大きさだ。グリスの粘度のによる走行への影響はわずかなものだが、粘度の低いグリスの方が多めに塗布してもフリーボディーの動きを妨げにくいので使いやすい。
低粘度のモーガンブルー コンペティションカンパグリースとの相性は良好
■ 総評
Fulcrum Racing 5 DBの踏み込みの反応の良さやキレのあるコーナリングは、タイヤを700×25Cから700×28Cにしても楽しめる。乗り心地がマイルドはますますマイルドなり、悪路の走破性も増す。タイヤの重さによる影響も小さく、乗り心地とキレのある走りのバランスがいい。700×28Cのタイヤを取り付けたことで、私のDEFY1 DISCはますます幅広い用途で活躍できるようになったと感じている。
だが、雨天走行を含んだ通勤・通学・ツーリングなど、オールラウンドに使うホイールとしては防水性の低さが弱点になる。雨天でも高い制動力を発揮できるディスクロードなのに、このホイールでは積極的に雨天走行したくないというのが正直なところだ。エントリーグレードのホイールにもかかわらず、反応性が高い点は素晴らしいので、主に晴れた日にサイクリングをするならオススメできる。個人的には防水性以外に不満はなく、最初に選んだディスクロード用のホイールとしてはよい買い物だった。
価格評価→★★★★☆ (セール価格ならお買い得)
評 価→★★★★☆ (防水性以外は満足)
<オプション>
年 式→2016年
カタログ重量→1715g (1ペア)