購入価格: ¥5,298 (税込)
標準価格: ¥5,887 (税込)
『140mmローターと組み合わせることで、コントロール性が非常に高くなる』
■ リアのローターを140mmにサイズダウン
SHIMANO BR-RS785は、固定方法がポストマウントタイプのロード用油圧式ディスクブレーキキャリパーだ。標準では140mmローターを使うが、オプションで160mmローターを選べる。私は制動力を重視して前後に160mmローターを選択。絶対的な制動力の高さは交通安全に貢献し、高い制動力に至るまでのコントロール性も高い。
ただ、前後のどちらかのブレーキだけでも短い距離でかんたん止まれるので、リアのブレーキにはもう少しコントロール性が欲しくなってきた。サーボウェーブを搭載したST-RS505なら、繊細なレバーの入力でスピードのコントロールができるが、力加減を間違えると大きく減速することがあった。そこで、リアは制動力よりもコントロール性を重視して、140mmローターにサイズダウンすることにした。
SHIMANO BR-RS785(左)、リアのSM-RT81を160mmから140mmにサイズダウン(右)
■ キャリパーの取り付け
ローターサイズを160mmから140mmにする際には、ディスクブレーキマウントアダプターを外し、BR-RS785をディスクブレーキ台座に直接取り付ければ良い。ただ、140mmと160mmではマウントアダプターの厚みの分、固定ボルトの長さが異なる。140mm用の固定ボルトはBR-RS785に付属しているが、完成車のローターサイズが160mmの場合は別途用意する必要がある。140mm用の固定ボルトには球面状のワッシャーを使わない仕様だが、キャリパーのセンター出しには特に影響はなかった。
140mm用の固定ボルトと回り止めは、160mm用よりも短い
■ ローターの交換と挿入
パッドはまだ厚みがあるので交換せずそのまま使用。交換前後でローターの厚みが変わるため、新品のローターを挿入するとパッドクリアランスが小さくなると判断し、BR-RS785のピストンを押し戻してからローターを挿入した。このままではパッドクリアランスが大きいので、レバーを数回握って適正なパッドクリアランスにする必要がある。
ピストンの押し戻しはマイナスドライバーやアレンキーでも行えるようだが、セラミックピストンが傷ついたり欠けたりしないように、ピストンプレスという専用工具を使った。この工具ならピストンの全面に均等に力をかけることができ、徐々に力を加えればかんたんにピストンを押し戻せる。
ピストンプレスという工具でセラミックピストンを押し戻す
■ 制動力とコントロール性 ※フロント160mm、リア140mmの組み合わせ
使用開始直後はローターに当たりが出ていないこともあり、ローターのサイズダウンも相まって、制動力が大幅に低下した。レバーを握り込んでもなかなか止まれないので正直戸惑ったが、当たりが出てからはしっかりと効くようになる。160mmローターなら当たりが出なくてもそこそこの制動力を発揮できるが、140mmローターでは本来の性能を発揮するのにある程度の距離が必要だと感じた。
ローターのサイズダウンで最も大きく変化したのはコントロール性だ。160mmローターのようにレバーをそっと握らなくても大きく減速せず、レバーを握り込んでからの力加減で思いのままにスピードのコントロールができる。140mmローターにすることでますますキャリパーブレーキに似たフィーリングになったが、BR-RS785の方がレバーの入力の感覚と制動力が一致しやすく、スピードのコントロールがたやすい。
レバーをさらに強く握り込めば、140mmローターでもしっかりとブレーキを効かせることが可能。もちろん、高い制動力を発揮するのに大きな握力は必要ない。キャリパーブレーキやVブレーキでは、同じ握力で同等の制動力を発揮するのは難しく、あらためて油圧式ディスクブレーキの素晴らしさを感じることができた。140mmローターは制動力とコントロール性を非常に高いレベルで両立しており、これならシマノが標準のローターサイズとして採用するのも理解できる。
フロントを160mm、リアを140mmにすると、前後のブレーキの役割分担がより明確になる。具体的には、フロントは大きな減速や停止に、リアは走行中にわりと小さな減速に使用。を140mmにすることでコントロール性が向上し、フロントを160mmのままにすることで絶対的な制動力の高さも確保。前後160mmローターの組み合わせと比べても極端な制動力の低下は感じられず、ブレーキのフィーリングの変化も違和感なく受け入れられた。また、リアの方が制動力が弱いので、キャリパーブレーキやVブレーキにも通じる自然なブレーキフィーリングになった。
フロントは制動力を重視して160mmローターのまま(左)
リアはコントロール性を重視して140mmローターに交換(右)
■ 総評
SHIMANO BR-RS785のメリットは、軽く握れば繊細なスピードコントロールができ、しっかりと握れば高い制動力が発揮できることだ。160mmローターでも、キャリパーブレーキに比べて効き過ぎて危ないとか、ブレーキの挙動が大きく異なるといった心配は一切なく、大きな制動力を安全に扱える。140mmローターなら制動力が少し低下する代わりにコントロール性が高くなり、よりキャリパーブレーキに近いフィーリングが得られる。これならキャリパーブレーキから移行しても違和感なく使えるはずだ。
制動力を重視するなら160mmローター、コントロール性を重視するなら140mmローターを選ぶことになるが、どちらのローターサイズが最適かは用途や好みにもよる。どちらを選んでもブレーキの味付けの範囲内に収まるので扱いやすいが、両者の差は決して小さなものではなく、他のブレーキならキャリパーごと買い替えたくらいの変化の大きさは感じられる。ローターの交換でブレーキ性能が変わるのもディスクブレーキの大きなメリット。ポストマウントタイプのキャリパーならBR-RS785は間違いなくオススメできる。
価格評価→★★★★☆ (リーズナブルな価格)
評 価→★★★★★ (ローターサイズで制動力やコントロール性を変えられる)
<オプション>
年 式→2015年
カタログ重量→284g