購入価格: ¥完成車付属品
標準価格: ¥2,398 (税込)
『フレームの剛性感に貢献するシマノのプレスフィットBB』
■ カタログとは異なるBB
私が3台目の自転車として購入した「GIANT DEFY1 DISC」には、プレスフィットBBが採用されている。フレーム内にベアリングカップを圧入することにより、フレームのBB周辺の剛性を高める仕組みで、GIANTでは「POWERCORE」と呼ばれている。
さて、GIANTのカタログでは、DEFY1 DISCのBBには、Tiagraグレードの「SHIMANO SM-BB-RS500-PB」が採用されているはずだった。だが、クランクを外してみると、実際には「SM-BB71-41B」というものだった。このBBは2016年モデルの、DEFY ADVANCED SLやDEFY ADVANCED PROにも使われており、なぜDEFY1 DISCにも使われているのかは不明だ。
SHIMANO SM-BB71-41B (左)
GIANTのPOWER CORE (右)
■ BB86のプレスフィットBB
「SM-BB71-41B」は「BB86」という規格のプレスフィットBBで、シェル幅86mmのフレームに対応する。アダプターの材質はレジン。おそらく、現行の「SM-BB72-41B」は後継モデルで、ULTEGRA・105グレードに相当すると思われる。DURA-ACEには、SM-BB91-41B、SM-BB92-41Bが使われる。MTB用のBBには、末尾に「41A」や「41B」がついたものも存在するが、シェル幅が異なるだけのようだ。
SM-BB71-41Bはフレームに直接圧入される
■ 軽くなめらかな回転
私のクロスバイクに取り付けているスレッドBBタイプの「SM-BB51」は、使用開始直後はグリスの粘度でクランクの回転が重たく感じた。一方、SM-BB71-41Bは、初めての走行でもグリスの抵抗感をほとんど感じなかった。この点では、シマノのスレッドBBタイプののSM-BB51とは印象が異なるが、グリスが馴染んでくると、これといった印象はなくなる。
■ フレームの剛性感に大きく貢献
プレスフィットBBを採用したDEFY1 DISCのBB周辺の剛性感は、スレッドタイプBBのSM-BB51を取り付けたクロスバイクを大幅に上回る。もちろん、BBの取り付け構造以外の部分も関係してくると思うが、少なくともプレスフィットBBの採用が大きく貢献していることには間違いなさそうだ。
DEFY1 DISCのボリューム感のあるBB周辺
■ 防水性がちょっと心配
SM-BB71-41Bは、シマノのスレッドタイプのSM-BB51と同様に、ユーザーが分解・グリスアップをできない構造になっている。これはシール性を重視したためと思われるが、私はシール性…特に防水性に関しては若干不安を感じている。
SM-BB51は、右アダプターのグリスが少なくなって錆が生じたことが二度もある。一度目はベアリングが当たってパキパキと大きな異音を立てる要因にもなった。これは洗車の際に、右クランクを念入りに洗ってBBの外部から浸水したか、もしくは、フレームの水抜き穴やシートポストを経由して内部から浸水したと考えている。
同じことはSM-BB71-41Bでも起こる可能性がないとはいえないので、BB周辺になるべく水をかけず、フレームの水抜き穴やシートポストの割りをテープをふさいでから洗車した。また、左右アダプターの裏側には、防水性を期待して、シマノ プレミアムグリスを多めに塗っておいた。
シマノの2014年モデルでは、多くのグレードのBBが更新されている。SM-BB51はSM-BB52に、SM-BB71-41BはSM-BB72-41Bにといった具合にである。モデルチェンジの理由は定かではないが、シール性に問題があったから…というのは考えすぎか。いずれにしても、注意して扱うに越したことはない。ただ、BBに水がかからないように扱うのは、何もこのBBに限ったことではないし、ベアリングがむき出しの構造よりはトラブルが起こりにくそうだ。
そして、SM-BB71-41BのようなプレスフィットBBは、ユーザーが簡単に交換できないのがデメリットだ。取り外しと圧入の専用工具を用意したとしても、着脱の作業はかなり勇気がいると思う。ここはプロショップに任せるのが安心かもしれない。
(参考) SHIMANO SM-BB51のレビュー:
https://cbnanashi.net/cycle/modules/newbb/viewtopic.php?topic_id=11160&forum=37 クランクを交換する際に、BB内部の隙間にグリスを塗っておいた (左)
ベアリングが錆びたSM-BB51。これを教訓に丁寧に扱おうと思う (右)
■ 交換は大変そうだが、走行性能には大きく貢献
BBの交換はハードルが高い作業だが、個人的にはプレスフィットBB対応のフレームでよかったと思っている。プレスフィットBBのSM-BB71-41Bを採用したフレームの高い剛性感は、DEFY1 DISCの走行性能に大きく貢献し、走る楽しさを与えてくれる。GIANTは様々な車種にPOWERCOREを採用しているが、単なる技術力のアピールではないことは、実際に走ってみてよくわかった。
BB単体としての評価は、可もなく不可もなくといった感じ。スムーズに回転し、トラブルが起きていない点ではよいBBだと思う。今後は洗車による浸水に注意しながら、DEFY1 DISCの走りを楽しもうと思う。もし、耐久性に問題が出たら、今後の投稿で報告したい。
価格評価→★★★★★ (完成車付属品としての評価。交換の際にはBB以外にも色々と出費がかさみそう)
評 価→★★★★☆ (フレームの剛性感に貢献。回転性能も問題なし。交換しにくいのがデメリット)
<オプション>
年 式→2013年?
カタログ重量→63g