購入価格: ¥800くらい (税込) ※ナイロン生地、ひも、留め具。生地は多めに購入
『フィジークに対応するクッションのないサドルカバーを自作』
■ サドルカバーを2回なくして自作
私はジーンズを履いて自転車に乗ることが多いので、サドルに染料がつかないようにサドルカバーを取り付けている。しかも、私の自転車のサドルはホワイトで、ジーンズで汚れると染料をキレイに落とすのが大変になる。
私はクッションの入っていないサドルカバーが好みなのだが、フィジーク ARIONEの全長に合うような長さのものは非常に少ない。以前、Y's Roadで購入した簡素なサドルカバーがジャストフィットしたのだが、ひもでしっかり固定しなかったため落としてしまった。次のSELLE ITALIAのサドルカバーでは、構造上しっかり固定できず、すぐに紛失してしまった。
いつまでもサドルにサランラップを巻くのはみっともないので、思い切ってサドルカバーを自作することにした。これまで2つのサドルカバーを使った経験が生きて、かなりフィット性の高いものに仕上げることができた。
フィジーク ARIONEの長さに対応した自作のサドルカバー
■ 固定方法の検討
これまでの経験から、今回のサドルカバーは「巾着袋」のようにして、サドル全周をひもで締め付けて固定する方式を採用することにした。ちょうど私が最初に購入したサドルカバーと同じ固定方法だ。強めにひもを引っ張って、留め具でひもの位置を固定すれば、ひもがサドルを締め付けた状態を維持できる。一方、ベルクロではサドルの全体を固定できないため、固定力は低くなるはずだ。
今まで使っていたサドルカバーのような、ひもで締め付けて固定する方式を採用
■ 用意するもの
生地、ひも、留め具を用意すれば、サドルカバーはできる。これらは全て「ユザワヤ」という衣料用品店で購入した。縫製に必要なものは別途用意する必要があるが、既に所有していたので費用には含めていない。
生地は「ナイロンオックス」というものを使った。10cmで140円くらいだったと思う。これは耐久性と防水性を重視して選んだもので、ズボンと擦れて破れたり、ジーンズの染料がサドルに染み込んだりしないことを期待した。。尚、サドルカバーをつけっぱなしにして長時間駐輪することはないので、生地の耐候性(耐紫外線性)は考慮していない。
ひもと留め具は一般的なものだ。ユザワヤでは、これらのカラーバリエーションが豊富で値段も安い。
サドルカバーの材料。他にもナイロンの糸などがいる (左)
ナイロンオックス (右)
■ 型紙取りと縫製
サドルカバーは、①上部の生地と②パイピングの2つで構成する。パイピングとは、サドルに固定するためのひもが入る部分のことだ。サドル先端は①と②を縫い合わせたものに挿入し、①の後部をサドルの側面にひっかけて固定できるように型を取り、生地を裁断する。
①はサドルに型紙を当て、サドル下部の全周をペンでなぞって型を取る。その後、サドルカバーを確実に固定し、スムーズに着脱できるように型の形状を調整する。サドルカバーをしっかり固定できるように側面はやや大きめに、着脱しやすいように後部は短めにするのがコツだ。
サドルから型紙を取る (左、中央)
サドルに対する上面の生地の大きさのイメージ (右)
②は幅25mmくらいにカットし、ひもが入るように2つに折りたたんで①にナイロンの糸で縫い付ける。次に②の前方を縫い合わせて、サドル先端が入るようにする。サドル先端がきっちり入るように、この部分はサドルに挿入した状態で仮縫いした。いわゆる現物合わせだ。
最後にサドルレース前方付近とサドル後部のパイピングに切れ目を入れ、ここにひもを通して、留め具を取り付ければ完成だ。このとき、留め具を取り付けた後にひもを結んでおくと、着脱の際に留め具が落ちない。これでひもを通した部分が、巾着袋の袋口のようになった。
以前使っていたサドルカバーと同じイメージで作る (左)
完成したサドルカバー。矢印の箇所でひもが繋がっている(中央、右)
■ フィジークのサドルにしっかり固定可能
実際にフィジーク ARIONEに取り付けてみると、サドルの全周を強く締めつけてガッチリと固定できる。走行中に尻を前後に動かしたり、急にサドルから降りたりしても決して外れることはない。これこそARIONEに合わせて作った甲斐があるというものだ。
フィジークのサドルなら、ARIONEだけでなくTUNDRA2やALIANTEにも使用可能。ARIONEと同様に確実にサドルに固定することができる。複数の自転車を所持していて、それぞれのサドルの幅がほぼ同じなら、最も長いサドルに合わせてサドルカバーを作れば使いまわせるだろう。一方、GIANTのロードバイクに付属していたサドルは幅が広くて取り付けることができなかった。
ひもでサドルの全周をしっかり締め付けて固定可能 (左)、TUNDRA2やALIANTEにも使用可能 (右)
■ ジーンズの染料の色移りを防ぐ
サドルカバーの表面にはジーンズの染料がついているが、裏側にまで染み込んではいない。これはナイロン生地の防水性が効いているようだ。ただ、ピンク色の生地では汚れが目立ちやすいので、紺色の生地にすべきだった。紺色では地味だと思ってピンクにしたのだが、これが裏目に出てしまった。上部の生地を紺色にして、パイピングだけ違う色にすれば、地味な印象は抑えられたと思う。
数ヶ月使用後。汚れが目立ちやすい生地の色は失敗だったが、どの程度色移りするかがわかった
■ 生地のほつれが出ないように注意
ナイロンオックスは擦れに強い生地で、数ヶ月の使っても破れるようなことはない。ただ、生地の裁断した部分からナイロンの繊維がほつれるのがちょっと気になった。これは生地の問題ではなく、私の作り方が悪かった。事前に生地の裁断した部分を折りたたみ、ナイロンの糸で縫いつけてほつれを防止すればよかったと思っている。尚、サドルカバーの表は裁断した部分が露出しないので、使用に影響はない。
生地の端がほつれないように処理すべきだった
■ 高い固定力のサドルカバーに満足
サドルに対して理想的なフィット感を得るには、何度も試作することになりそうだと考えていたが、幸運なことに一度目でうまくいった。これは今まで使ったサドルカバーの形状を覚えていたのが生きた。ほつれ防止の加工をしなかったり、上面の生地に明るい色を選んだのはちょっと失敗だったが、サドルにフィットして確実に固定できたので満足している。
自作のサドルカバーをつけて、梨の直売所に行ったときの写真
価格評価→★★★★☆ (生地の量によってはもっと安くできる)
評 価→★★★★☆ (星4.5個の評価。高い固定力に大満足。色とほつれ防止は次回に生かしたい)