購入価格: ¥0 (税込) ※Wiggleのバウチャーで入手
標準価格: ¥5,076 (税込)
『ボトルよりもはるかに快適な水分補給。使いやすくするための工夫が随所に見られ、完成度が非常に高い』
■ Knogのライトの代わりに選んだのはハイドレーションパック
大変ありがたいことに、私は2014年の下半期もBRAの賞をいただいた。このときの副賞でKnogのライトを手に入れたのだが、残念ながらシリコンバンドが切れて使えなくなってしまった。メーカー保証を受けるためにWiggleに返送したのだが、Wiggleのサービスは大変素晴らしく、製品の交換だけでなく、バウチャーによる返金も選ぶことができた。
この時のバウチャーで手に入れたのが、「CAMELBAK アンチドートリザーバー 2.0L」というハイドレーションパックだ。これなら、ボトルケージ台座がひとつしかないシングルスピードでも、十分な水分補給ができると考えた。初めてのハイドレーションパックなので、知名度や技術力、販売実績などのイメージでCAMELBAKを選んだが、これが大当たり。BRAの記念品にふさわしい完成度の高い製品だった。
CAMELBAK アンチドートリザーバー 2.0L (左、中央)
INSIDE LINE EQUIPMENT Apex Day Packと組み合わせる (右)
■ 給水しやすい大きな開口部
まず、最初に感じるのは、大きな開口部(フィルポート)の使いやすさだ。開口部の下にはグリップが設けられている。グリップを手で持つことで、開口部は水平になってドリンクを入れやすくなり、リザーバーは垂直になって安定性が増す。フタは外した状態でも開口部につながっているので、ドリンクを入れる一連の作業が片手だけで行える。
出先でリザーバーにドリンクを給水する際にも、2Lのペットボトルの中身を全てスムーズに入れられる。また、高い安定感のおかげで、満水に近くなっても手に負担がかからない。開口部自体も大きいので、ドリンクをほとんどこぼさずに済む。アンチドートリザーバーなら、走行中に疲労感があっても、ストレスなく給水できる。
大きな開口部は出先でも便利 (左)
フタを何度も回転させないでも閉められる (右)
■ ボトルよりもスムーズな水分補給
アンチドートリザーバーは、ボトルよりもはるかに快適にドリンクを飲むことができる。同社のボトル(Rapha Bidon)と比べても、圧倒的に飲みやすい。飲み口の「ビックバイドバルブ」を軽く噛み、軽い力で吸い込めば、ドリンクがすぐに出てくる。しかも、ドリンクはリザーバーに逆流せず、チューブ内にとどまるので、飲み口からすぐにドリンクを吸うことができる。
ボトルの場合は、ボトルケージに手を伸ばし、ある程度強く吸い込んだり、ボトルを握ったりして飲む必要がある。アンチドートリザーバーなら、チューブを手でつかんで吸うだけ。ボトルよりもスムーズかつ素早い水分補給が可能だ。この便利さを体験すれば、アンチドートリザーバーを積極的に持ち出したくなるはずだ。
飲みやすさに貢献する「ビックバイトバルブ」
ビックバイトバルブを飲みやすい位置にする「エルゴハイドロロック」。スイッチの切り替えで漏れを防ぐ
■ ドリンクにニオイがつかない
アンチドートリザーバーは、ドリンクにプラスチック(ビニール)のニオイや味がつかない。これはCAMELBAKのボトル(Rapha Bidon)と同様で、ドリンクの美味しさはそのままだ。開封後にしっかり中性洗剤などで洗っておけば、初回からクリアなドリンクの味を楽しめる。もちろん、飲み口のビックバイトバルブにもニオイはない。
ただし、リザーバーにはドリンクの味がつきやすい。特にスポーツドリンクを入れた後は、中性洗剤で洗っても香料のニオイが少し残ることがある。ニオイを取り除く方法は後述する。
CAMELBAKのボトルと同様にドリンクにニオイがつかない
■ 交通安全にも貢献
私は走行中にボトルで給水するのはできるだけ避けるようにしている。というのは、片手運転では自転車のバランスが失われるし、ボトルに手を伸ばしたときに乗車姿勢が崩れるからだ。
その点、アンチドートリザーバーなら、走行に集中しながら水分補給できる。チューブをつかんで飲み口を加える作業はほんの一瞬で済み、視線がズレたり姿勢が崩れることもない。走行中の好きなタイミングで水分補給できる上、交通安全に大きく貢献する。
■ マグネットによるチューブの固定は必須
アンチドートリザーバーの残念なところは、走行中にチューブがぶらぶらと動くことだ。クロスバイクのアップライトな乗車姿勢でさえ、飲み口が膝にぶつかり、ストレスが走行中の集中力を乱してしまう。
これを解決するためには、「マグネティックチューブトラップ」というオプションパーツを使う。これをバックパックのストラップに取り付ければ、チューブをマグネットで固定できるようになる。走行中のストレスを軽減するためには、このような固定方法は必須。できれば、最初からつけて欲しい機能だ。ちなみに、私は外観上の理由で「SOURCE マグネットクリップ SH216」を使っている。
チューブを固定するマグネットは、早めに用意したほうがいい
■ ボトルよりも保冷力が高い
走行前に氷を多めに入れておけば、ドリンクの冷たさが長い時間続く。真夏でも3時間くらいは冷たさを感じられる。4時間くらい経つと冷たくはないが、少なくとも生ぬるさは感じない。ただし、チューブ内部のドリンクは、外気温にさらされるためにぬるくなる。冷たいドリンクが出てくるのは、チューブ内のドリンクを飲んだ後だ。
アンチドートリザーバーの保冷力はボトルをはるかに上回り、ボトルのように直射日光や地面の熱ですぐにぬるくなることはない。背中の体温でぬるくなるのが心配だったが、大きな影響はないようだ。
また、ドリンクをリザーバーに入れた状態で冷蔵庫で冷やすことも可能。「クイックリンクシステム」を採用したアンチドートリザーバーなら、容易にチューブの着脱ができ、冷蔵庫の中でチューブが邪魔にならない。
この状態で冷蔵庫で保管する
■ 走行中でも高い安定性
リザーバーの内部には、バッフル(隔壁)が設けられており、満水時のリザーバーの膨らみを抑えるようにできている。そのおかげで、背中にリザーバーの重みが分散され、走行中にリザーバーの存在を感じさせない。バックパックにボトルを数本入れるよりも、はるかに持ち運びが楽だ。また、走行中にリザーバー内部のドリンクがポチャポチャ動くこともない。
リザーバーの膨らみを抑える「バッフル」
■ 満水時でも重量が気にならない
私は真夏のサイクリングに600mlのボトルを3本持って行くことが多いが、気温や走行距離によってはこれでも足りない。このことから、アンチドートリザーバーの容量は2リットルに決めた。この容量は、持ち運べるドリンクの量と満水時の重量のバランスがいい。
バックパックに入れるのがリザーバーだけなら、満水時でも重さがほとんど気にならない。ここに財布、スマートフォン、デジカメ、携帯ポンプ、補給食、タオルなどを詰め込むと若干重たく感じるが、ドリンクが減ればすぐに重さが気にならなくなるし、若干披露した状態で満水にしても辛さを感じるほどではない。
大きな容量のモデルでも少ないドリンクの量を持ち運べる。だが、大は小を兼ねるからといって、あまりに大きな容量では、満水時の重量が疲労の原因になるはずだ。ドリンクの容量、満水時の重量、ドリンクの補充の頻度などを考慮すると、個人的には2リットルくらいがちょうどいいと思っている。ただし、フロントバックなどにリザーバーを搭載する場合はこの限りではない。
■ 高いメンテナンス性
アンチドートリザーバーは、様々な工夫のおかげで、簡単にメンテナンスが行える。大きな開口部のおかげでブラシで洗いやすいし、「クリックリンクシステム」や「フォールディングドライヤーアーム」は素早い乾燥に役立つ。素材に銀イオンを織り込んでいるおかげか、カビくさくなったこともない。
普段は中性洗剤でこすり洗いし、スポーツドリンクのニオイが取れなければ漂白剤や重曹を使えばいい。これに加えて、強い洗浄力の「クリーニング タブレット」を定期的に使えば、清潔な状態を保てる。尚、アンチドートリザーバーのクリーニングには、必ずしも専用のクリーニングキットを使う必要はない。
乾燥を早めるコツは、リザーバー内部の水分は布巾で拭き取り、チューブ内の水分は遠心力で吹き飛ばすことだ。チューブを振って水を切る方法は、CAMELBAK公式サイトにも紹介されている。
ちょっと気になるのは、リザーバー側のクリックリンクが洗いにくいことだ。ここはブラシが届きにくく、つけおき洗いしにくい。エルゴハイドロドックは分解できるが、何度も分解すると水漏れを起こすので注意。ビックバイトバルブは外して洗っても全く問題はない。
(参考) CAMELBAK アンチドートクリーニングキットのレビュー:
https://cbnanashi.net/cycle/modules/newbb/viewtopic.php?topic_id=13594&forum=74 「アンチドート クリーニングキット」によるメンテナンス (左)
ぬるま湯と漂白剤を使えば、ドリンクのニオイは簡単に取れる (右)
■ 豊富なアクセサリー
アンチドートリザーバーには、カスタムやメンテナンスに使える様々なアクセサリーが用意されている。これだけアクセサリーが揃っていれば、パーツの破損や劣化の際も安心だ。前述のとおり、私はエルゴハイドロロックを壊してしまったが、アウトドア専門店ですぐに購入することができた。アクセサリーの豊富さと入手の容易さは、さすが定番のハイドレーションパックといったところだ。
補修のために購入した「エルゴハイドロロック」。クリーニングの際にスイッチを分解すると水漏れの原因になる (左)
単品で購入した「クリーニング タブレット」(右)
■ 完成度が高いハイドレーションパック
「CAMELBAK アンチドートリザーバー 2.0L」の導入は大当たりで、ボトルよりもずっと素早くスムーズな水分補給ができるようになった。簡単に水分補給やメンテナンスができるような工夫が随所に見られるのは、さすがハイドレーションパックの老舗のCAMELBAKといったところだ。アクセサリーが豊富で入手性もよく、カスタムや補修がしやすいこともポイントが高い。
7月のロングライド(80km程度)のときも、アンチドートリザーバーのおかげで、快適に水分補給することができた。真夏の長距離・長時間の走行を想定していたのだが、これだけ快適だと季節や距離を問わず使いたくなってくる。荷物の重さや背中の蒸れからバックパックを敬遠していた人にも、アンチドートリザーバーはちょっとオススメしたくなるアイテムだ。
価格評価→★★★★☆ (使えば納得の価格のはず ※標準価格の評価)
評 価→★★★★★ (完成度が高い)
<オプション>
年 式→ ー
重 量→180g (リザーバーとホースの重量)