購入価格 ¥1500
1976年から欧州レースを取材し続けた、日本のこの分野のパイオニアである三宅寛さんの1991年、40歳頃の著作。中古でしか入手できないようですが、味のある単行本です。この本を起点に、古いビデオ作品などを買って当時の様子を確かめてみるのも面白いと思います。
この著作では、ツールの総覧的な記述はなく、初めてツール取材に赴いた1977年の話が詳細に語られます。ルポルタージュ、です。これが面白い。ちなみにこの時私は高校一年生。欧州の自転車レース事情など知るはずもなく、サイスポ誌で見る写真や、千葉洋三氏(現:アマンダ代表)の欧州レース記事を読んでも、遥か遠くの世界の話でしかない、のでした。
三宅氏はその後、イタリアの工房を訪ねてサイスポに連載することになるのですが、稀代のスター選手、エディ・メルクスとコルナゴ、デ・ローザとの関係と三宅氏が最初に訪れたコルナゴ社取材での出来事。。。おっと、これをここで明かすのは、信義に反する、としておきましょう。どうしても知りたい方は古本屋さんか図書館でご一読を。
三宅氏のイタリア工房取材ですが、当時、サイスポで連載された実際の記事がコレ。
これは1979年11月号の連載7回目CASSATIの回です。1923年創業という歴史のある工房ですが、カーボンフレームにもホリゾンタルな風味を残し、今でもしっかり存在しています。
砂田弓弦氏も、『イタリアの自転車工房』という書籍を物していますが、三宅氏から10歳年下の砂田氏は、三宅氏の10年少しあと、ちょうど入れ替わる形で欧州レースシーンに魅せられていった人物。氏がどう思っているのか知りませんが、三宅氏の数々の作品に影響を受けているのかも知れません。
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これを購入した当時は、何か物足りなさを感じたのですが、久々に読み返して、あれっ?これは素晴らしい本じゃないか、と思い、何かホッとするものを感じました。24年の歳月がそうさせたのでしょう。
価格評価→★★★★★
評 価→★★★★★
年 式→発売日:1991年06月01日
ISBNコード→9784560039786