購入価格: ¥3,062 (税込) ※以前にいただいたギフト券を使用
標準価格: ¥4,323 (税込)
『高い制動力とコントロール性を発揮できる高性能ディスクローター。コントロール性重視なら140mmもアリ』
■ SM-RT81とは
SHINANO SM-RT81は、DEORE XT、105のグレードの相当するディスクローターだ。取り付けタイプはセンターロック。ローターサイズは、203mm、180mm、160mm、140mmがラインアッップされており、ロード用ディスクブレーキは160mmと140mmが対応する。いわゆる”アイステクノロジーローター”と呼ばれるタイプで、アルミの芯材をステンレスで挟み込むことで放熱効果を高めている。
SHIMANO SM-RT81 140mm
■ リアを140mmにサイズダウン
私はGIANT DEFY1 DISCというディスクロードを所有しており、ディスクブレーキを機械式から油圧式に取り替えた後も、しばらくは前後160mmを使っていた。前後160mmなら制動力が非常に高く、フロントもしくはリアのどちらかのブレーキだけでも短い距離で止まれる。
ただ、リアのでスピードをコントロールする際に、思ったよりも大きく減速することが度々あった。160mmでも繊細なスピードコントロールは可能だが、レバーをそっと握る必要があると感じていた。制動力の高さはフロントだけでも十分に確保されていると判断し、リアは140mmにサイズダウンすることにした。
リアは160mmから140mmに交換 ※右が140mm
■ 140mmと160mmの違い
デュアルコントロールレバーはST-RS505、キャリパーはBR-RS785、ローターは前後ともにSM-RT81を使用。フロントは160mm、リアは140mm。リアは160mmからのサイズダウンだ。160mmと比較しながら140mmをレビューしたい。
フロントは160mm(左)、リアは140mm(右)
○慣らし運転
使用開始直後であっても、SM-RT81の160mmなら、わりと短い距離でしっかり止まれる。だが、140mmではレバーをしっかり握っても止まらないので、最初はとても戸惑った。140mmの場合は、本来の性能を発揮するのにある程度の距離が必要。20kmくらいのサイクリングを3回くらい行い、なおかつ、リアのブレーキを頻繁に使うことで、ローターに”当たり”が出た。
○制動力(制動距離)
制動力はローターサイズに比例するので、160mmよりも制動力は低くなる。そのため、リアだけでブレーキをかけても、以前のように短い距離で止まるには、強くレバーを握る必要がある。それでも、前後同時にブレーキをかければ、十分に高い制動力が発揮でき、ローターサイズによる制動力の低下にもまったく不満はない。ただ、これ以上制動力を低くしたくはないので、フロントを140mmにするつもりはない。
ローターのサイズダウンでやや強くレバーを握る必要があるとはいえ、キャリパーブレーキよりもずっと小さな力で止まることは可能。油圧式ならブレーキ操作で手が疲れることはない。ただ、機械式(TRP SPYRE-C)には、140mmは使いたくない。このブレーキはレバーの引きが重く、140mmの制動力では、ブレーキ操作に大きな握力が必要だと容易に想像できる。
制動力重視ならリアも160mmにするのもよい選択
○コントロール性
140mmにサイズダウンすることで、ますますキャリパーブレーキのようなフィーリングになった。しかも、シマノの油圧式ならキャリパーブレーキ以上に繊細なスピードコントロールが可能だ。レバーをそっと握らなくても大きく減速せず、レバーをある程度握り込んでからの力加減でスピードコントロールができる。大きな減速や停止は160mmのフロントに任せ、走行スピードを少しゆるめたい場合には140mmのリアを使っている。この組み合わせなら制動力とコントロール性を両立でき、個人的にはリアが140mmの方が扱いやすい。
リアを140mmにすることでコントロール性が高くなる
○ブレーキタッチ
シマノのレジンパッドと組み合わせれば、ローターとパッドのカサつきのない滑らかなブレーキタッチが得られる。油圧式ディスクブレーキなら、ケーブルの抵抗がないのでさらにブレーキタッチがよくなる。個人的には、140mmの方がカチッとしたブレーキタッチが出やすい気がするが、外径が小さくなって剛性が高くなり、ローターがゆがみにくくなったことが影響しているかもしれない。
○静粛性
SM-RT81のメリットは静粛性の高さだ。シマノのレジンパッドと組み合わせて使えば、ブレーキをかける際のカサカサとした音鳴りが非常に小さくなる。長い坂でブレーキをかけ続けると徐々に音鳴りが大きくなるが、それ以外ではほぼ無音の状態が多く、快適なサイクリングを楽しめる。また、ブレーキの鳴きが生じたこともない。この点は140mmでもあまり変わらない。
○放熱性
160mmよりも面積が小さいぶんだけ放熱性が劣ると考えられるが、私は主に平地でサイクリングすることが多く、ブレーキをかけっぱなしにすることが極めて少ない。上位グレードには放熱フィンを備えた”アイステクノロジーフリーザローター”がラインアップされているが、私にはSM-RT81の140mmで十分だと考えている。
○パッドの摩耗への影響
シマノのカタログには、アイステクノロジーローターを使うことでレジンパッドの摩耗力が低くなるとある。これには放熱性が影響していると考えているが、140mmにサイズダウンしても、特にキャリパーやディスクブレーキ台座がブレーキダストで汚れやすくなったような印象はない。下り坂でブレーキをかけ続けることはなくても、パッドの摩耗の点では放熱性の高さの恩恵を受けているのかもしれない。
○耐久性
ローターの厚さが1.5mmを下回ると交換する必要がある。リアに使用したSM-RT81の160mmは、約1年1ヶ月で2.0mmから1.8mmと0.2mmしか減っていない。140mmの方が外径が小さいので減りが早くなると想像できるが、私の乗り方ならローターを頻繁に交換する必要はなさそうだ。
○ローターの振れ
140mmの方が振れが出にくく、走行中にパッドとローターが接触してシャリシャリと音鳴りしにくい。外径が小さくなることにより、剛性が高まったことが影響していると考えられるが、私のキャリパーのセンター出しやホイールの取り付けも上手くなっているので、ローターサイズだけの影響ではないのかもしれない。
140mmの方が剛性が高く、振れが出にくく、ブレーキタッチもよい印象
○スパイダーアーム
160mmのスパイダーアームは5本だが、140mmは4本しかない。ただし、シマノの一部のキャリパーやサードパーティー製のキャリパーでは、どちらのサイズもスパイダーアームが干渉して使えない可能性があるので、導入には注意が必要だ。
○重量
SM-RT81の160mmは120.5g。140mmは97gなので、23.5gの軽量化になる。さらにマウントアダプターを外すことで12g、取り付けボルトと回り止めを140mm用に交換することで9gの軽量化。合計で44.5gの軽量化になる。ただ、140mmにサイズダウンすると、ブレーキ性能がわりと大きく変わる。つまり、軽量化よりもブレーキ性能の変化の方がずっと大きいということだ。
■ 総評
シマノの油圧式ディスクブレーキなら、小さな握力で高い制動力を発揮でき、繊細なスピードコントロールが可能。ローターサイズの選択によってブレーキ性能を変えることもでき、160mmなら制動力重視、140mmならコントロール性重視にセッティングできる。フロントを160mm、リアを140mmにすれば、制動力とコントロール性の両立ができるので、個人的には使いやすい。ただ、前後160mmの組み合わせは制動力が非常に高く、高いスピードでも確実に減速・停止できるので一度はオススメ。140mmは後からでも遅くはないと思う。
また、140mmローターの方が外径が小さいぶんだけ剛性が高く、ローターがゆがみにくいので、ブレーキタッチやローターの振れにくさに影響している印象を受けた。ローターのサイズダウンで軽量化も可能だが、ブレーキ性能が大きく変わる点には注意したい。
静粛性、放熱性、パッドの摩耗などは、ローターサイズにかかわらず、SM-RT81のよさを感じられた。シマノのレジンパッドと組み合わせれば、高い制動力とコントロール性を実感でき、音鳴りしにくい快適なサイクリングが楽しめるはずだ。特に完成車に付属するローターを交換すれば、大きな変化を実感できるのでオススメ。ただし、キャリパーとスパイダーアームの干渉には注意が必要だ。
異なる前後のローターサイズを取り付けたGIANT DEFY1 DISC
価格評価→★★★★☆ (ちょっと高いが長く使える)
評 価→★★★★★ (文句なしのブレーキ性能)
<オプション>
年 式→ ー
重 量→97g(140mm)、120.5g(160mm) ※ロックリング8gを除いた重量