購入価格 税抜232,500円(基本フレーム189,000+各種オプション)
完成車価格 税抜500,000円
・国内メーカー製造のチタンフレーム
・チタンとしては値段は安いが、品質は大手メーカーにも引けを取らない
【発注から納車まで】
クロモリ、カーボンと乗り継いで、3台目の自転車として購入。
ロングライド、ブルベが中心となった自転車生活の中で、
自分なりに必要な項目がはっきりしてきたため、以下の要件でフレームを探していた。
・金属フレーム
>金属フレームの加速感、ホリゾンタル形状が好みのため。
・汎用性、メンテナンス性重視
>出先でも現状復帰しやすいよう、丸ポスト、ワイヤー外装など、メンテナンス性に優れた規格を採用したもの。
・オーバーサイズのヘッドチューブ
>剛性確保。1インチヘッドのクロモリフレームでは登坂時に剛性不足を感じたため。
CannondaleのCAAD8やクロモリオーダーフレームなども検討したが、
上記要件に加えて、錆に強いという点から、チタンフレームに興味が沸いた。
チタンフレームは製造メーカーが少ないため、選択肢は限られることになるが、
情報収集の中でTIG社のことを知った。
自転車専業ではなく、車椅子などさまざまな分野の製品をチタンで製造しているメーカーのようだが、
国内メーカーで、かつ大手ではない(他の人と被らない)という点に興味をもった。
自転車店でTIG社の評判を聞いたところ、品質も良く、職人らしい仕事をするメーカーと高評価だったため、発注を決断。
取り扱っているフレームは、角パイプを使用したカーボンフレーム風のものや、
リア三角にカーボンを使用した異色のものなど何種類かあったが、
シンプルなホリゾンタルフレームが好みだったため、基本モデルのOZ-R210に決定。
サイズおよびジオメトリについてはフルオーダーも可能とのことだったため、
お店のポジション計測機と自分の好みを反映してサイズを算出。
幸い、既成のサイズ・ジオメトリで対応可能であり、情報を先方に伝えて、製造を依頼した。
なお本モデルはトップチューブ長490~600まで、10センチ刻みで対応可能なため、
身長・体格に合わせたサイズ選びという点では不足はないだろう。
身長171cmの自分はトップ長540でオーダーした。
本来であれば納期は1か月が目安らしいが、製造が立て込んでいるため、約2か月になるとの回答。
その旨了解し、作成に取り掛かってもらった。
発注にあたって、先方に追加で依頼したのは以下の3点。
1.陽極酸化発色加工
TIG社ではトップチューブ、シートチューブ、ダウンチューブのそれぞれに、陽極酸化発色加工のオプションを設定している。
(一本当たり10,000円+税)
チタンの地の色とは違った鮮やかな虹色は、
昔オートバイに乗っており、チタンマフラーの”焼き色”に憧れていた自分にとって非常に魅力的だった。
後方から見たときに映えるよう、トップチューブとシートチューブへの加工を依頼した。
2.ダウンチューブの大型化
OZ-R210は、基本モデルではφ31.8のダウンチューブパイプを使用しているが、
オプションにより、φ38.1パイプ、もしくは角形パイプへの変更が可能となっている。
フレーム形状は剛性確保が不得手なホリゾンタルであり、剛性に若干の不安が残る。
クラシカルなスタイルを維持しつつ剛性を向上させるため、φ38.1パイプへの変更を依頼した。
追加料金は11,000+税となった。
3.ダウンチューブ下へのボトルケージ台座加工
ロングライド・ブルベ界隈では、ダウンチューブ下のスペースにボトルケージホルダーを取り付け、ツール缶を配置する人が多い。
カーボンフレームではELITEボトルケージクリップを使用してツール缶を増設していたが、
オーダーフレームであればボトルケージ穴をパイプに追加加工してくれるのではと考えていた。
TIG社に確認したところ、加工料金12,500円+税で対応可能との回答をもらったため、
ショップでボトルの長さと取付位置について算出を行い、先方に伝えた。
(この点は今回TIG社を選択した理由の一つでもある。大手メーカーであれば追加加工は受け付けてくれなかった可能性が高い)
上記の情報を伝えてから2週間後には、フレームの設計図が送付されてきた。
そしてほぼ予定通りの納期でフレームが届き、自転車店にて調達済みのパーツで組み立ててもらい、
発注からきっかり2か月後に受け取ることができた。
フレーム以外の主な構成は、
・コンポ:アルテグラ6800
・フォーク:ワンバイエスのフルカーボンフォーク
・ホイール:RS81-24
・ハンドル、ステム、ポスト:Ritcheyのアルミ
・サドル:スペシャライズドのアバターエキスパート
ペダル込みで8kgちょうどとなった。
【見た目】
溶接跡は最小限、かつ均一になっており、
他のチタンフレームはもとより、高級クロモリフレームにも劣らない。
トップチューブ、シートチューブの発色加工も鮮やかな虹色で、想定していた通りの仕上がりだ。
ダウンチューブ下のボトルケージ台座も問題なく使用でき、ロングタイプのツール缶でも抜き差しに支障はない。
ボトルケージ増設ホルダーを使用するよりも、スマートな外見にすることができた。
(取り付けに際し、ワイヤーとの干渉をさけるためワッシャーを咬まし、ボトルケージを若干浮かせている)
シンプルなホリゾンタルフレームに、チタン+発光加工という新しいテクノロジーを融合させることで、
「ネオクラシック風」と称せるほど、おしゃれな自転車に仕上がったと思う。
【乗り味】
既製品ではないため事前の試乗ができないままの納車となったが、
乗り味については事前に想定していた、期待通りのものだった。
チタンフレームは、アルミとクロモリの中間だと言われることが多いが、個人的には限りなくクロモリ寄りのものだと思う。
そして本フレームも同様、踏込の反応がワンテンポ分スローになって返ってくるような、「しっとりとした」乗り味を持っている。
しかし絶対的な剛性が足りないわけではなく、ロングライド中心の乗り方で剛性不足を感じるシーンはない。
ダウンチューブの大型化が効果的に作用しているのだろう。
振動吸収性などについて注意深く検証したわけではないが、乗り換え前のフルカーボンフレーム(BOMA Velno)との違いは特別感じられない。
ロングライド後半でも、乗り心地由来の疲労は感じられなかった。
当初期待していた通り、ロングライドに最適なフレームに仕上がった。
【まとめ】
どちらかというとメーカーに対するインプレッションが中心になってしまったが、
それらも含めて、本フレームのメリットを以下にまとめる。
・国内製造チタンフレーム
>溶接処理の丁寧さ、納期の早さ、特殊なオーダーへの対応などは国産ならではだと思わせる。
・不足の無い剛性
>良くも悪くも、世間一般評価のチタンらしい乗り味。ロングライドには最適。
・価格の安さ
>海外ブランドのチタンフレームに比べると半額近く、常識的なフレーム価格で購入可能。
発光加工や各種オプションをつけない場合かなり安価に購入することが可能なので、
各種パーツの流用ができる状況で、チタンフレームに興味がある人にもお勧めできる。
チタンフレームらしさ、乗り心地、所有感、全てが手間なく安価で手に入れられる、
総合的コストパフォーマンスに優れたモデルだ。
価格評価→★★★★★(チタンフレームがこの値段で手に入るのは、相場を考えると驚異)
評 価→★★★★★(期待通りの乗り心地、見た目にも良い)
<オプション>
年 式→2014