購入価格: ¥6,223 (税込) ※バイシクルセオ
標準価格: ¥6,915 (税込)
『外観はDEOREに酷似するが、性能はまるで別物。走行中のどんな状況でも快適でストレスフリー』
■ DEORE XTのリアディレイラーを衝動買い
現在、私のクロスバイクに使っているリアディレイラーは、SHIMANO DEORE XT RD-T780-SGSというものだ。DEORE RD-T610-SGSから交換し、使い続けてもうすぐ半年になる。RD-T780はショップで衝動買いしたものだ。ブレーキ以外のトレッキングバイクコンポーネントの実物を見ることは大変珍しい。早い段階から使っていたペダルに加えて、ハブやVブレーキなどの一部をDEORE XT T780シリーズにしたこともあり、見た瞬間に欲しくなってしまった。リアディレリアー単体では性能向上が分かりにくいかなと思いつつも導入してみた。
写真: SHIMANO DEORE XT RD-T780-SGS ブラック
■ DEORE XTらしさを随所に感じる仕様
RD-T780はリア10速のトレッキングとMTBコンポーネントに対応する。ローギアの歯数が28〜34Tのカセットスプロケットに対応し、ロード用カセットスプロケットも一部使用できる。RD-T610、RD-T670-Aと互換性があり、基本的な仕様は全く同じだ。
一方、細部は下位グレードと明確に差をつけたものになっている。ガイドプーリーはセラミックブッシュだが、テンションプーリーはシールドベアリング入りのものだ。また、ほとんどの部品がアルミでできており、RD-T610よりカタログ重量で68gも軽い。他にも固定ボルトがステンレス製であるなど、DEORE XTらしさが随所に感じされる仕様になっている。
図 : RD-T780-SGSのスペック ※シマノのカタログより抜粋
写真: 実測では60g差。RD-T610はカタログ値より8g軽かった
■ 質感も外観もRD-T610に酷似
RD-T780の表面仕上げは塗装によるものだ。光沢感のあるブラックは非常に質感が高く、立体的なXTのロゴが高級感を添えている。ステンレスボルトの輝きがXTのロゴの色に同調しているのも良い。リアディレイラーは目立ちやすいパーツなので、仕上がりがきれいなRD-T780の視覚効果は絶大。ミドルグレードのDEORE T610シリーズに組み込んでも違和感なく調和する。
ただ、表面仕上げの美しさはRD-T610と全くといっていいほど変わらない。シマノのお客様相談窓口によると、DEORE T610シリーズはクロスバイクに合うように見た目にも力を入れているとのことだが、これはDEOREのレベルが上がったと考えるべきだろう。また、RD-T610の外観はRD-T780に酷似しており、両者で材質こそ異なるがリンクやケージなどの構成パーツまでほぼ同じ形だ。このことからRD-T610はRD-T780を踏襲したリアディレイラーだといえると思う。
写真(左): 表面仕上げが美しい。XTのロゴは立体的になっている
写真(右): ロゴ以外の大きな差はないようにも見える
■ 音が小さく滑らかなチェーンの動き
実際に使ってみると違いはすぐに感じられる。チェーンの動きがかなり滑らかになり、音も非常に小さくなった。これはテンションプーリーのシールドベアリングが相当効いており、Chris KingのBBのような上質な回転に近いものを感じる。取り付け直後はかなり抵抗感があって脚に重たさを感じるが、グリスとベアリングが馴染んでくると軽くなってくる。
以前、RD-M591のプーリーをXTRのシールドベアリング入りのものに交換したが、このときは全然効果を体感することができなかったので、このフィーリングはかなり意外なものだった。
写真(左): ガイドプーリにはセラミックブッシュが使われている
写真(右): テンションプーリーはシールドベアリング入りだ
■ RD-T610よりも可動部のガタが少ない
RD-T780は可動部にガタが少なく、シャキッと素早く正確に変速する。RD-T610ではチェーンのブレや音鳴りが出やすいギアの位置でも、RD-T780なら滑らかにチェーンが動き、ノイズも小さくて済む。ストレスなく使えるギアが今までよりも増え、クロスバイクで走るのがますます快適になった。
RD-T780のガタの少なさは、RD-T610と比べるとよく分かる。RD-T610ではケージの根元、ガイドプーリーの縦方向、テンションプーリーの縦方向と横方向などにガタがある。これらのガタがチェーンのブレや音鳴りなどに繋がっているように感じた。
写真(左): ギアの位置によっては、RD-T610はチェーンのブレと音鳴りが酷くなった
写真(右): RD-T610はこれらの部分のガタが大きい
■ シフトレバーの軽い操作感。ロード用スプロケも特に問題なし
トレッキングに最適化されたスプリングテンションのおかげで、ディレイラーの動きもシフトレバーのクリック感も非常に軽快だ。だが、SL-T610でシフト操作した感覚では、動きの軽さ自体はRD-T610とほぼ同じだ。これはRD-T610がRD-T780の性能を踏襲した結果だと思う。SL-T610のままでもチェーンの動きの滑らかさやノイズの小ささなどメリットは大きいが、やはりおすすめはSL-T780との組み合わせ。レバーの動きの滑らかさと多様なシフト操作が加わり、リアの変速の楽しさが一気に増す。
ロード用カセットスプロケットは、RD-T610から引き続きCS-4600 12-28Tを使っているが、RD-T780と組み合わせても変速などに特に問題はない。上位グレードのカセットスプロケットも使ってみたいが、この構成はCS-4600にしかない。私は11Tを使う機会がなく、急な坂もほとんど走らないのでローギアは28Tで十分だ。
図: スプロケはロード用を使用。シフトレバーやチェーンはDEOREとの組み合わせでも走っている ※全て互換性のある組み合わせ
■ RD-T780はストレスなく快適に使えるリアディレイラー
RD-T780はクロスバイクを10速化するなら、間違いなく良い選択のリアディレイラーだ。外観はDEORE RD-T610と酷似しているが、実際に走行してみると大きな差がある。RD-T780の恩恵を大きく受けるのは主に変速していないときで、チェーンの動きの滑らかさやノイズの小ささは、トレッキングバイクコンポーネントの最高グレードらしさを感じる。また、RD-T610では少々無理のあるギアの組み合わせでも、RD-T780なら平気。チェーンのブレや音が非常に少なく、今までよりもストレスなく使えるギアが増えた。
RD-T780とRD-T610の違いを簡単に表現すると以下の通りになる。RD-T780を最初から使うと問題ない動作が当たり前になるかもしれないが、RD-T610から変更するとストレスのない走行がとてもありがたく感じる。手軽に10速化するならDEORE T610シリーズでも十分だが、快適な走行を味わいたいなら、リアディレイラーだけDEORE XT RD-T780というのも良い選択だと思う。クロスバイクを徹底的に楽しみたい人にはオススメのリアディレイラーだ。
図(左) : RD-T610とRD-T780の違い
図(中央): RD-T780-SGSの良い点
写真(右): RD-T780-SGSを取り付けたGIANT SEEK R3
価格評価→★★★★☆ (高価だが納得の性能。大満足)
評 価→★★★★★ (RD-T610と酷似するが性能は別物。チェーンの動きの滑らかさとノイズの小ささが特長)
<オプション>
年 式→2012年
カタログ重量→236g (実測でも236g)