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2009年、HTCハイロード・チームのツール・ド・フランスでの活躍を追った映画。なぜこれが今までCBNでレビューされていなかったのか不思議なくらいでした。
2014年からサイクル・ロードレースを見始めた私はすっかりトニー・マルティンのファンになり、立ち寄ったショップでその旨をスタッフの方に話すと、「でしたらこれをご覧になるといいですよ」と推薦していただき、Amazonで購入。
スプリンターであるマーク・カベンディッシュを中心に、選手、スタッフ、ジャーナリスト、ツールを追うカメラマン、ツール&ジロ総合各5勝のレジェンドであるエディ・メルクス、他チーム代表でイェンス・フォイクトらのコメントや過去のレース映像を交えながら、ツールの全21ステージを追っていきます。
2014年のカベンディッシュは、ツール第1ステージでのまさかの自分で頭から突っ込んで落車という残念な結果でしたが、なぜスプリンターがそこまでして勝ちたいのかという理由が始めて分かった気がしました。インタビューに答えているカベンディッシュの姿が、どこかイチローに似ていると思ったのは私だけでしょうか?(笑)。
主な狂言回しの役は、ロルフ・アルダグ、ブライアン・ホルムという両監督が担います。チームカーで二人がどんな会話を交わしながらレースを追っているのか、普段見られないチームカーと選手とのやりとりが記録されている貴重な映像です。チーム・バスやホテルでのミーティング、レース後の選手同士の会話など、ああ、こういう雰囲気なのか、ということを知ることができます。
結果を見れば、カベンディッシュの6勝、ジョージ・ヒンカピーのマイヨジョーヌ獲得ならず、モンバントゥでのトニー・マルティンの惜敗、とHTCハイロードにとっては粋も甘いもあった2009年大会ですが、その背後でどんなドラマがあったのか。本作を見ると、ロードレースの舞台裏を知ることができ、レース観戦がさらに面白くなると思います。
皆さんご存じの通り、HTCハイロードの選手・スタッフは2014年現在、その一部がオメガファーマ・クイックステップに在籍。しかし5年前とあって、カベンディッシュもレンショーもマルティンもみんな若く(現ティンコフ・サクソのマイケル・ロジャースはあまり変わらない感じが...)、マルティンに至ってはまだTTスペシャリストとして頭角を現す前で、若いチームの雰囲気がすごく良いのが印象的でした。みんなバカな話ばかりしているのね(笑)。
上映時は渋谷アップリンクなどの単館サーキットロードショウだったようですが、DVDでは特典映像ディスクが付属。選手個々のインタビューや、アウトテイクなども収録されています。カベンディッシュが、実は登りは大変なだけで嫌いではないと語るシーン、「悔いを残す形で引退はしたくない」と語るフォイクト(本年引退)などなど、こちらも必見。チームバスがパンクしたために、監督陣が撮影隊のキャンピングカーに同乗させてもらったりと愉快です(笑)。
舞台裏を描いた作品なので、サイクルロードレース初心者には敷居が高いように思えるかもしれませんが、実は製作陣はアメリカ陣で、特典映像に「おい、お前ら、MTBじゃないんだ」と言われるシーン「だけ」集めたものがあるほど、制作側も初心者目線ですので、本作をきっかけにロードレースを見始めるのも良いと思いました。
VIDEO
価格評価→★★★★★
評 価→★★★★★
年 式→2011(2010年作品)