購入価格: ¥2,720 (税込)
標準価格: ¥3,027 (税込)
『SIL-TECは耐摩耗性・耐薬品性に優れ、チェーン自体も伸びにくい』
■ 交換後もCN-HG95を選択
SHIMANO CN-HG95は、10速用のHG-Xチェーンだ。外プレートはフロントの変速用に、内プレートはリアの変速用に設計されており、取り付けの向きも指定されている。外プレートと内プレートにはSIL-TECというフッ素加工による低摩擦なコーティングが施されていることも大きな特徴。現在ラインアップされている10速用のチェーンでは、CN-HG95が最上位グレードだ。
このチェーンは私のクロスバイクに使っており、ペダリングと変速の滑らかさ、静粛性の高さが気に入っていたので、次も同じチェーンを使うことに決定。2016年12月にケーブルとほぼ同時に交換した。今回は主に耐久性について投稿したい。
SHIMANO CN-HG95 116L
■ 耐久性や使用後の性能の変化について
○チェーンの伸び
GARMIN Edge 520Jを導入前の総走行距離は正確に把握できていないが、約2年半で5000km前後使ったと思う。BBB チェーンチェッカーで測定したところ、チェーンの伸びは0.75%。数カ所測定したが、大部分はチェーンチェッカーを押し込まないと挿入できなかった。8速、9速のチェーンも使ったことがあるが、チェーンの伸びを測定したことがないとはいえ、10速用のチェーン(あくまでHG-Xチェーン)が極端に伸びやすいという印象はない。
0.75%の伸びでチェーンを交換
○チェーンの横方向のたわみ
チェーンの伸びよりも驚いたのが、横方向のたわみだ。新品よりも使用後のチェーンの方がずっとたわみが大きい。使用後のチェーンをよく見ると、外プレートと内プレートの間の隙間が大きくなっていることがわかる。横方向のたわみの原因はプレート間のガタだ。
使用後は横方向のたわみも大きくなる
○SIL-TECの耐摩耗性
SIL-TECはチェーンの表面に強固に密着しており、ペダリングや変速動作ではがれにくく、スムーズな動作や静粛性の高さが長く続く。チェーンの可動部やギアの歯先に接触する部分は徐々に摩耗し、いきなり広範囲にベリッとはがれることは一切なかった。
表側。可動部以外はSIL-TECの摩耗が少ない(左)、裏側の方がSIL-TECの摩耗が広範囲(右)
○SIL-TECの耐薬品性
耐薬品性も高く、チェーンクリーナーやパーツクリーナー、フィルタークリーナーを使っても特に影響はなかった。シマノはどのチェーンに対しても、中性洗剤や適切なクリーナーで洗浄するように指示しているが、素材への攻撃性が高いケミカルを使わないかぎり、SIL-TECがはがれる心配はないようだ。
パーツクリーナーでチェーンを洗浄
○変速性能への影響
CN-HG95は交換の直前までずっとスムーズに変速してくれた。スムーズな変装性能を長く維持できるのは、外プレートをフロントの変速用に、内プレートをリアの変速用に設計されていることが大きく関係していると思う。チェーンリングとスプロケットの歯先形状にあわせたプレートは使い続けても形状が保たれ、SIL-TECが摩耗しても、チェーンが歯先にスルッと乗り上げる感覚が続く。
だが、変速性能の素早さは新品ほどではなく、シャキッとした変速フィーリングは失われている。前述したとおり、摩耗したチェーンは横方向に大きくたわむ。変速でチェーンが横に動く際に、横方向のたわみによって変速完了がワンテンポ遅れてしまうのだろう。0.75%の伸びでは歯飛びなどの変速不良もなく、実用上は問題ないレベルだが、これ以上伸びると変速動作がさらにだるくなると思う。
○ペダリングへの影響
CN-HG95を使い続けると、強めに踏み込んだ際に若干ロスが生じる。いわゆる”ダイレクト感”がない状態であり、加速の踏み込みに対して反応がワンテンポ遅れる。これはチェーン伸びだけでなく、横方向のたわみ(剛性のなさ)も影響していると思う。だが、シッティングで回すようにペダリングする際にはあまり気にならない。また、SIL-TECの摩耗に伴って、ペダリングの滑らかさは徐々に失われていくが、チェーンオイルの種類によっては、ある程度ならこれをカバーできる。
○静粛性への影響
SIL-TECの摩耗の影響を主に受けるのは静粛性だ。摩耗後も耳障りになるほどの音鳴りは生じないが、チェーンが斜めになると若干チェーンノイズが大きくなる。ただ、摩耗後の静粛性もある程度はチェーンオイルでカバーはできる。チェーンオイルにAZ ロードレースSPを使ったかぎりでは十分に静かで快適だが、ー部のドライ系チェーンオイルでは音鳴りしやすくなるかもしれない。
○防錆性、防汚性などへの影響
わりと頻繁に洗車を行うが、その際にチェーンが錆びたことはない。防錆性はSIL-TECの摩耗とともに下がっていくと思われるが、完全に油分を洗浄せず、洗浄後はなるべく早く注油すれば大丈夫だ。防汚性に関してはチェーンの粘度も影響するが、SIL-TECがはがれていない部分には砂埃は付着しないようにも思える。
■ 耐久性が高いのでオススメ
SHIMANO CN-HG95は、初期性能の高さだけでなく、耐久性の点でもオススメできる。チェーンが伸びにくく、SIL-TECも強固に密着してはがれにくいので、各性能の劣化がゆるやかだ。新品の方が気持ちよく走れるのは確かだが、伸びが0.75%に達しても実用上問題ない程度のスムーズな変速とペダリングは可能。SIL-TECの摩耗が進んでも、チェーンオイルで静粛性や防錆性もある程度はカバーできる。
多段化が進むにつれてチェーンの耐久性の低下が心配だったが、10速用のチェーン(HG-Xチェーン)が特に耐久性が低いという印象はない。また、SIL-TECは変速・ペダリング・静粛性・防錆性・防汚性などのメリットをもたらすだけでなく、耐摩耗性・耐薬品性にも優れている。個人的にはSIL-TEC加工されていないCN-HG54よりも、断然CN-HG95の方がオススメだ。
交換したCN-HG95。ペダリングのダイレクト感、スムーズな変速、静粛性の高さが蘇った
価格評価→★★★★☆ (コストパフォーマンスが高い)
評 価→★★★★★ (高性能・高耐久)
<オプション>
年 式→ ー
カタログ重量→273g (116L)