アレン・カー 禁酒セラピー
購入価格 ¥905+税
自転車に乗るようになって一つだけ困った事は、何年も止めていたお酒をまた飲むようになってしまったこと。 滝汗かいた後のビールはあまりにも美味しく、肴も何を食べても美味し過ぎました。 しかし、止めるには止めるなりの理由があったので、いやぁ困った。困り果てました。
少々苦労はありましたが、今は再びお酒のない生活に戻っています。 好きで飲んでいる方にケチをつけるつもりは毛頭ありませんが、もしも体の事とか諸々の理由で、ヤメられるもんならヤメたいかなぁ、と思っている方がいらっしゃいましたらば、魔力あり過ぎのこの本を紹介させて頂きます。
故アレン・カーの代表作は『禁煙セラピー』で、未だに本屋で置いているところも多い超ロングセラーです。 この本も同じメソッドで書かれたそうですが、禁煙よりもニーズが少ないようで置いていない本屋も多く、アマゾンでの取り寄せが一番簡単かと思います。
この本の最大の特徴は、最初から最後まで一言も「お酒をやめろ」とは書かれていない点かと思います。 読者に意志力や根性など少しも求めませんし、お酒を忘れるための工夫や代替品などを提案したりもありません。 最後まで冷静に、客観的に、淡々と、我々の知性に対して語りかけ続けます。
実例を挙げます。
私は二十代前半からとにかくビールが好きで好きで大好きで、どんなに忙しくとも毎日飲まずにはいられませんでした。 しかし、色々な理由から10年以上もの間、本気で止めたいなとも思い続けていました。
ある時知り合いからこの本を教えてもらったのですが、買うだけ買って読むのはしばらく先送りにしていました。 本一冊で止められるはずがないという確信がありましたし、もし万が一止める事になったらお酒を飲むあの幸せを失ってしまうという不安もあったからです。
実際にこの本を読んだ時も、我慢できずに深夜にビールを買って帰り、プシュッ!と開けながら
「こんなんで止められるはずがないよなあ」
と自己嫌悪とともに目を通し始めました。
不思議なことに、そう厚くもないこの本を半分くらい読み進めた時点で、既にもうお酒に興味を失っている自分に気付きました。 夢中になって読み進めていくと、最後の章ではなんと
「もう一度だけお酒を飲んで下さい」
と書かれていました。 私はもう、その時点では完全にお酒を飲む気を失っていました。 なぜ今までお酒を美味しいと思っていたのかが不思議で、まだ残っていたビールも全て開けて流しに捨ててしまいました。
その日以来、焼き肉も焼き鳥もお好み焼きも刺し身もフレンチもイタ飯も、全てアルコールなしで美味しく食べられるようになりました。 目の前で他人が飲んでいても、微塵も羨ましさを感じる事もありませんでした。
体調の変化はほんの数日で現れました。 朝に目覚めた際のマイサンが、カッチカチの超合金へと変化をw
他にも何をするにも体は軽く、夜になっても時間が有効に使えますし、お金も減らなくなって良いことばかりでした。
不思議なことに、この本は最初の一回しか効果がありませんでした。少なくとも私には。
完全にお酒から遠ざかって数年が経ったのですが、ある時どうしても飲まなければならない機会があり、そこからまた延々と止められない日々が始まってしまいました。 冒頭にも書きました通り、自転車がさらに拍車をかけてズブズブの飲酒沼にw
それでも始めのうちは、禁酒セラピーを読めばまたすぐに止められると高を括っていたのですが、引っ張りだして読もうとして驚きました。 書かれている事に全く興味が持てず、何の効果もなくなっていたからです。
アルコールが薬物依存だという事実を、甘く見過ぎていました。
数ヶ月してふと思うところがあり、もう一度同じ本を新品で購入してみました。 すると、何度も読み返して内容を覚えてしまっていたはずの本が、まるで初めて読む本のように新鮮さに満ちていました。あの感覚は何度思い返しても不思議です。
結果として、その一回でまたお酒から足を洗うことが出来ました。 もう生涯お酒を口にしようとは思いません。
もしお酒を止めたいなと思う方がいれば、是非ともこの本を読んでみてください。 その際は、必ず新品で買って読んでみて下さい。 そして一度止められましたらば、「いつでもまた止められるから」と侮らず、わざわざ自分からお酒に近づく事はやめておいた方が良いかと思います。
「お酒も量を守って楽しく飲む分にはイイじゃないか」
という方にまで無理にすすめるつもりはありません。 飲もうが飲むまいが個人の自由です。
しかし、止められるもんなら止めてみようかな、という方には一読の価値ありだと思います。 もし止められずにお酒が美味しいと感じ続けたとしても、家呑み一回分程度の金額でしかありません。
価格評価→★★★★★(家呑み一回分で止められたらパーツ買い放題だぜ!) 評 価→★★★★★(魔力ありすぎ)
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