購入価格 ¥0 (モニター品のため)
2014年3月 約6300円(Wiggleにて)
今回はCBNでのモニターとして LifeLine USB High Power 500 Lumen Front Light を頂きました。
充電式のライトは初めてですが、乾電池式ではハイエンドにあたるHL-EL540や一昔前のHL-EL520、
そしてGNTOSのSG-325などを使っていますのでそれらとの比較になります。
使用環境は殆ど街灯のない田舎道です。
結論から言うとハンドルにマウントして使うライトとしては詰めの甘い製品だと思います。
製品そのものの性能は高いのですが、ところどころ作り込みが甘いのか不満があります。では詳細にレビューしていきます。
まずライトのスペックから(Wiggleより引用)
精密な CNC 機械加工済みアルミニウム/ABS/PC ボディ
USB 充電
4種類のライトモードに切替可能: High, Medium, Low & Flash
蓄電機能
ビーム上方のカットオフライン: コーナーでの視野を確保
上向きアングルのデザイン
取付にツール不要
500ルーメン (最大出力)
防水性のある密封型ケーシング
電池寿命: 急点滅 120時間, ロービーム 8時間, ミディアムビーム 4時間, ハイビーム 2時間
ストラップ: 25.4 - 31.8mm のバーに対応
重量: 135g
サイズ: 長さ 118 x 幅 43 x 高さ 44mm
となってます。最新のライトとしてのスペックはカタログで見る限りでは十分に満たしているでしょう。ローモードだと8時間持つので1晩ぶっ続けは難しいですが十分なランタイムです。
ライトの外観から
パッケージはこのような感じで中にはライト本体、ブラケット、そして充電用の短いMicroUSBケーブルが入ってました。
ライト自体はHL-EL540と比較すると LifeLine USB High Power 500 Lumen Front Light(以下HP500FL)は少し長いものの全体的にはひと回り小さく、細い感じになっています。
HL-EL540 223g
HP500FL 136g
また重量においても、HP500FLはリチウムイオンバッテリーを内蔵しているため単3電池4本使用するHL-EL540(使用電池はニッケル水素充電池)と比較するとかなり軽くなっています。
そしてライトのボディはプラスチックとアルミの2種類の素材で出来ています。
写真左側のバッテリーが内蔵されているであろう部分はプラスチック、前のLED&リフレクター部分の外装はアルミ製です。
これは非常に理にかなった構造になっていると思います。
まずライトを正面から覗くとLEDがリフレクター室の奥の方の天井部にあります。
図で示すとこのような感じです。
この構造の何が良いかというとLEDの発熱を効果的に放熱でき、同時にリフレクターを活用して配光をコントロールできるところにあります。
特に放熱の効果は高いようです。天井部の裏の外装部はアルミですから伝熱性も高く、最大モードで稼働してると徐々に熱くなってきます。
実際の走行中ではこれが空冷されるため大丈夫ですが、止まりっぱなしで最大モードでの放置はLEDにダメージを与えてしまう可能性があるので注意が必要かもしれません。
次に装着について
正直、ここはかなりこの商品のネックではないかと思います。
写真の通り、ブラケットの出来がかなりしょぼいです。無名メーカーの900円のライトとかそんな感じくらいしかありません。
ブラケットはネジ式でプラスチックのつまみを回して締めて固定する極めて簡素な構造です。またハンドルバーの太さへの対応も3種類ついてくるゴム板で対応すると言うもの。私はメーターステーなどに固定しますがその場合はステーのパイプはφ22.2なので3つのゴム板をすべて挟んで使います。これがかっちりブラケット側に嵌るわけでは無いので、横にずらそうとしたりするとゴム板がずれてしまったりします。
また、このブラケットはライトの角度を変える機能がありますが、キャットアイの製品のように無断階で微調整できるわけではなく
・斜め左向き・真っ直ぐ・斜め右向き
の3種類にしかすることが出来ず、真っ直ぐと斜め方向の間の角度に設定…は無理です。フリクションではなくインデックスになってしまっているのでカクッカクッと変更されてしまいます。
走行中に勝手に変わったりすることは無いのはいいのですが左右水平の照射角度の微調整が出来ないというのは大きなマイナスポイントです。
HP500FLのブラケットは固定も煩わしく機能もイマイチ、ここの部分はキャットアイに圧倒的に軍配が上がります。ライト用のFlex‐Tightブラケットの出来の良さを再認識しました。
なお、垂直方向の照射角度調節は問題なく行えます。
ライトとして
さて、本題です。ライトとしての機能はどうか?
まずこのHP500FLとHL-EL540、それからおまけにHL-EL520の照射写真を御覧ください。写真は手持ちのコンデジを使って取りました。ISO感度は800で固定です。約10m先と20m先にボトルが置いてあります。
HP500FL Hiモード
HP500FL Midモード
HP500FL Lowモード
HL-EL540 Hiモード
HL-EL540 Lowモード
HL-EL520
HL-520に関しては写真ではかなり暗く見えてしまいますが実際はそこそこ使えます。流石にこれ1灯で暗闇の中を快走は無理ですがゆっくり走るなら使えますしまちなかでは十分なレベルです。
それに対して、HP500FLもHL-EL540もかなり明るいですね。一応、最新世代?のライトですから流石です。
しかし両者の配光はかなり違いがあります。写真では写しきれなかったのでここも図で説明します。
HP500FL 配光図
HL-EL540 配光図
HL-EL520 配光図
HL-EL520はシンプルかつ昔ながらの円形配光でスポット的に照射してその周りに周辺光がある感じです。
それに対して、HP500FLとHL-EL540は最近流行りの台形型の配光です。
ただし、HP500FLの配光では手前と奥の2つの集光された台形が出てきます。
対して、HL-EL540は台形が1つ、周辺光はあるもののそこの台形にかなり集光して
いるため手前はあまり明るくありません。
HP500FLは手前にも配光があるので近くの路面がよく見えます。
また奥にも台形の配光をしていますが、これがどうやら使用した感じでは手前側と同じバランスで配向しているようで、奥の台形はより遠くを照らすため暗くなりがちになってしまい、走っていると手前ばかり明るいように感じてしまいます。
これが奥の方への配光量を増やして手前を少なくすればバランスが取れていいと思うのですが、少し惜しいです。近中距離を照らすのは得意ですが、遠距離は苦手という感じです。
しかしそんなこと以上に致命的なのがライトの光漏れです。
写真は点灯中に上からライトを見た時のものです。
このライトは横方向へのアピールのためでしょうか?すこし横にも光が出るようになってますがそれが微妙に自分の顔の方にも向かってきてしまい目に入って眩しいです。
更にはバッテリー残量を示すためのインジケータも意外と明るく、これが目に入って眩しく感じて、目の虹彩が閉じてしまって折角の大光量ライトを少し暗く感じてしまう原因の一つになってると思います。
これは横漏れの光やインジケータ部をビニールテープなどで覆ってしまって隠せば良いのですが、製品としての完成度を高めるならここら辺もちゃんと実験して煮詰めて欲しかったです。
HL-EL540も同様に横方向へのアピールで光が漏れていたり、インジケータがありますがどちらも目に入って眩しく感じるなんてことはありません。
HP500FLは性能は高いのに小さなところで煮詰めきれてない感じが強いです。
が、ここまでの評価はハンドルに取り付けた場合になります。
このライトの欠点を殆ど無くす方法があります。それはフロントフォークのハブに付けるライトホルダーを活用して装着する方法です。
ハブマウントライトとして
写真のようにハブライトホルダーを装着して、フロントハブの横に装着します。
この場合、ライトを照射するとこんな感じになります。
Hiモード
Midモード
Lowモード
相変わらず遠方を照らすことは難しいのですが、そもそもハブにライトをマウントした場合は遠方を照らすのは角度的に難しくなるので当然なのです。
ということを踏まえて見ると、この装着場所では近中距離をより強力に照らすことができています。
更に、ハンドルに取り付けていた時に眩しかった光漏れやインジケータの光もライト自体が顔から離れた位置に装着されるため全く問題なくなります。そのため体感ではかなり明るく中近距離を照らしてくれます。
本格的に闇夜でも快速走行をしたいならハンドルにマウントでき、遠方を照らすことが得意なライトをもう一つ必要に感じますが、ゆっくり走るぶんにはハブにマウントしたこのライト単灯でも何とかなります。目に余計な光が入らなくなった恩恵はそれくらい大きく影響しました。
なのでハブに装着するライトとしてはかなり高評価になりました。
個人的に、現在の状況だとハブにHP500FLを装着して中近距離を担当させ、HL-EL540をハンドルにつけて遠方を担当させると良い感じです。
上の写真がその状態です。どちらのライトもLowモードでの稼働ですが、20m先のボトルまで光が届きつつ中近距離をしっかりと照らしてくれます。
眩しいこともなくこれだと街灯のない道でも快適に走れます。
・その他
このライトの他に書いておく特徴としては2つあります。
それは
・給電しながらの使用が可能
・モバイルブースター機能
です。
まず1つ目の給電しながらの使用が可能というのはブルベなどの長時間の夜間走行が想定される場合は心強い機能です。
電池が切れると交換ができない充電式ライトにはかなり嬉しい機能です。
充電端子はライトの下端についていてゴムの蓋を外すと、充電用のMicroUSB端子が現れます。ここからモバイルブースター等を使用して給電すれば稼働時間を増やすことが出来ます。
ただし、この端子をカバーしてるゴムの蓋が防水の要となっているため当然給電中(充電中)は防水性は皆無となってしまいますので注意が必要です。
しかしそれを考慮したとしても、この機能は十分魅力的です。
特にキャノンボールや400kmブルベなどでは心強いものとなるでしょう。
次にモバイルブースター機能についてです。
もう一度端子部の写真を見てもらうとわかりますが、このライトの面白いところは5V1A のUSB出力端子を備えてるところです。
つまり内臓のリチウムイオンバッテリー(パッケージには容量2500mAhと記載)を使用してモバイルブースターとしての機能を備えているのです。
ただし、5V1Aと書いてありますがどうやら出力はそれほど出てないようです。
最新のスマートフォンなどは電流が1.8Aの充電に対応していて1A未満の充電には対応しておらず充電できないものがあります。
私の持っているスマートフォン(XpreiaUL)も同様で1A未満の電流では充電できません。なのでこのライトを繋いでも充電できません。
1つ前に使ってた古いスマートフォン(HTC WimaxEVO)を繋いだら問題なく充電出来ましたのでこのモバイルブースターとしての機能は『電流1A未満でも充電可能のものに限定される』という条件付きのものになってしまうようです。
なので少々使いづらい印象ですね。とはいうものの、モバイルブースターとして使用していざという時ライトが点灯しない!なんてなると本末転倒というやつですから何とも言い難いものです。これが先を見て1.8A出力だとまた色々面白かったのですが、1A 出力でも活用法はあると思います(例えばGPSサイコンへの給電など)
・まとめ
ライト自体の性能は高く、ハブにマウントすればなかなか使えると思いますが、それでも詰めが甘いと思います。ライトをハブにマウントするのは少数派でしょうからハンドルにマウントした時に十分に性能を発揮できるのが本当は妥当だと思います。
惜しい、勿体無い!というのが率直な感想で、逆に比較に使ったキャットアイのライトの完成度の高さを再認識させられる事態になってしまいました。
ですが、価格と明るさを考えるとまぁ及第点です。単灯で暗闇の中を走行できる性能はあります。買って、失敗した!損した!なんてことにはならないと思います。
しかしハブにマウントしたところで、しょぼいブラケットだけは改善されるわけではないので、ここはちょっと何とかして欲しいですね。これだけはちょっと許せませんでした。
辛口なレビューになりましたが率直な意見として書かせていただきました。
この製品のモニターの機会を与えてくださったCBN、そしてWiggleには厚く御礼申し上げます。
今回のレビューでは実験する予定だったブルベで活躍の場が殆どなかったことなどもあり、ランタイム等の部分の検証ができませんでしたのでセカンドレビューではランタイム等も含めて書いていこうと思います。
価格評価→★★★★☆(充電式ライトとしてはちょっと安めかな)
評 価→★★★☆☆(惜しい!光漏れだけでも何とか改善してハンドルに取り付けてももっと使えるようにして欲しい)
<オプション>
年 式→
カタログ重量→ 135g(実測重量 136gブラケット含まず)
モニター製品提供:Wiggle 製品ページ:
http://tidd.ly/7f326ee0