購入価格 $76.5 @ Universal Cycles(送料別)
イタリア語で"全部"を意味する"tutto"、と名付けられているように薄歯と厚歯両方のピッチ(1/8インチ・3/32インチ)に対応できるよう設計されたチェーンカッターです。それ具体的にはどういうことなの?といいますと、シングルスピード用からShimano/SRAM 8~11速、カンパ10・11速まで現在市販されているチェーン規格をほぼ全てカバーする、ということです。カンパ11速チェーン仕上げのピン加締めもドンと来い、という頼もしさ。
純正工具はたかがチェーンカッターしかもカンパ11速チェーンにしか使えないのに20,000円超!といわれてしまうと、さすがに購入が躊躇われるレベルで…とはいってもたかがチェーン交換ごときの為に毎回ショップに持ち込むのは面倒だし、何か間を埋める別の選択肢がないかと探してたどり着いたのが、これでした。MissingLinkでもって繋ぐからとりあえず切るだけ切れればいいやというのであれば、加締めの機能は必要ないですが、11速用ミッシングリンクは10速以下用と異なり再利用が出来ない仕様ですから、リンク1個あたりの単価が¥800~1,000であることを考えるとちょっと使い捨てしにくいです(カンパ純正の11速用ピンも1本¥600程だから似たようなもんですが…)
ShimanoとSRAMも11速コンポを出したためか、Super Bやbirzmanあたりから安価な10/11速兼用チェーンカッターがぼつぼつ出始めています。だいたいtuttoの半額ほどで売られているようですが、ちょっと評判を嗅ぎ回ってみるとカンパ11速チェーン接続の最終工程であるピンの頭を潰して加締める工程(peening)が、安価な工具ではカンパが指定する精度を出せない様子。その原因は、加締めの際に押し潰されるピンの奥の側に支えをあてがい、反対側からそのまま通常のコネクトピンを押し出すニードルでピンを押さえて潰すだけという、簡略化された作業方式にある模様。まあ値段なりということでしょうか。この方法だと、ニードル先端の精度も加締める力も全然甘い(カンパは30Nm/mとトルク指定までするこだわりよう)のでしっかり加締めできないようです。その点このtuttoは、加締め用の金床と専用のアタッチメントが備わっていてきちんとピンの頭を潰せるようになっています。ここまで作りこんであるのは、サードパーティーではtuttoとPark ToolのCT-11位でしょうか。ただしCT-11はピンの加締め工程のみの単機能工具ですからチェーン切断・接続はできませんし、値段もtuttoとさして変わらないので既に11速互換のカッターをお持ちの方以外が購入するのは、ちょっともったいないように思われます。
送料別$75也、これでもチェーンカッターとしてはべらぼうに高いですが、Pedro'sの工具は品質もアイデアもハイレベルなのは分かっていましたし、カンパ11速用チェーンを含めほぼ何でも来いのスペックがコンパクトにまとまっていてしかも純正の半値以下、というのが決定打となって購入に踏み切りました。
結論を言うと、これは現時点での最高のチェーンカッター!ではなかろうかと思います。価格的にはやや高いですがPedro'sらしく品質も使い勝手も上々、ピンなどの消耗部分も安価で交換できて長く使える点も○。ShimanoやSRAMも11速化へ向けて舵を切っている今、チェーンカッターを買い換える必要に迫られている人も多い(10速用カッターでは切れない)かと思いますが、これは大いにお勧めです。国内ではEVOLVERという名前で12,000円程で売られているのを見かけますが、tuttoと中身は同じと思われます。tuttoは大体$70~80で売られているので、送料の安いところを探して輸入するのがいいでしょう。
本体はスチール製で実測375g、結構ズッシリです。レバーはゴムで覆われており、しっかりした握り応えがあります。グリップはガングリップタイプで後ろにセットバックしており、レバーを回す際チェーンやチェーンステイに手が当たらないよう配慮されています。各部の精度も良く、使い心地は上々。
これまでに試したのはShimano CN-7901・KMC X10SL(以上10速)、ShimanoHG-73(9速用)、カンパR11・KMC X11SL(以上11速用)。肝心の対応規格切り替えは、ダイアル回転で金床(anvil)を入れ替えて行います。
ダイアルをカチリと回せば、金床が切り替わる構造になっています。通常状態ではピンは露出しておらず、チェーンのサイドプレートに当たってからピンが出てくるという2段階アクション。当然ピンは消耗品ですから、いずれ交換が必要になります。交換用ピンは2個セット$6.5、ピンとピン鞘の役割を果たすでRPGと呼ばれるパーツ、スプリング、ダイアルまでセットになったリビルドキットは$15。またダイアルには●マーキングが施されていて、●の数で選択された対応規格が識別できるようになっています。覚えなくても大丈夫、グリップのサイドに刻印してあります。
●x4つ、これがカンパ11速ピン加締め用の金床。
加締め用アタッチメントはグリップの底に仕込まれているので、必要に応じてRPGの先端に取り付けて使用します。
カンパ11速チェーンピンを加締める時はこんな感じになります。
Shimano10速は当然のように切れますし、ピン圧入も握力が弱い女性でも扱える位軽いです。まあ世の女性はこんな作業しないでしょうが…自宅使用前提のShimano用チェーンカッターとしてはTL-CN27あたりよりも圧倒的に使いやすく、カンパ11速チェーン用カッターとしてもまったく問題なく使用できます。カンパ純正の11速チェーン用カッターを使ったことがないので直接比較はできませんが…私のようにShimano/SRAMとカンパ11速が混在する環境の方には間違いなく最高の選択肢です。
Park Toolsからも価格が少しに安い($60前後)CT-4.3という10/11速兼用カッターが発売されています。そちらはピンの加締め機能を持たないのでカンパ11速用のピンを扱う場合は別途CT-11が必要になりますから、合計で$120程度になるでしょうか。Park Toolですので使いものにならないものを出すはずはありませんが、トータルコストで考えるとtuttoよりも大分高くなってしまいますね…
価格評価→★★★★☆ (10速以下用チェーンカッターとしてはべらぼう、でも10/11速兼用として考えると★x5でいいいでしょう!)
評 価→★★★★★(まさに全部入り、死角なし)
年 式→ 2012?
カタログ重量→ N/A (実測重量 375g)