購入価格 ¥294,000 円 (GOKSO WEBストア)
機材の大幅レベルアップを目的に、セミディープクラスのカーボンリムを搭載した完組みホイールの導入を決意したのが事の発端。
シマノのC35・C50、カンパのBORAを始め、色々なホイールの情報を収集しましたが、値段もインプレも似たり寄ったりでパッとせず、私の琴線に触れるホイールはありませんでした。そんな中、トンデモナイ回転性能が売りのトンデモナイハブを搭載したトンデモナイホイールが目に止まった。製造元は航空機部品製造メーカー近藤機械製作所。あのGOKISOである。 高い買い物なので他の候補も含め出来るだけ現物を確認したいと思いましたが、GOKISOホイールだけは普通の店に置いてない。という訳で、近藤機械製作所にTEL。
「ホイールの試乗と工場見学をお願いしたいのですが・・・」
という訳で愛車持参で試乗に行き、色々衝撃を受け、気が付いたらポチッと・・・
レーシングZEROが定価で買えるぐらい溜まっていた500円玉貯金と夏のボーナスを駆使して購入に至った。
レビュー内容は、試乗時のインプレッションと、購入後に堺ナイターエンデューロ(雨天 距離約100km)と鈴鹿エンデューロ秋sp 8時間ロードソロ(雨天→晴天→曇天 距離約200km)を走行しての感想です。
【仕様】
―試乗時―
試乗ホイール1 GOKISOホイールロード用 リムハイト38mm GOKISOハブ 星エアロスポーク
試乗ホイール2 GOKISOホイールロード用 リムハイト38mm GOKISOクライマーハブ 星エアロスポーク
タイヤ コンチネンタルスーパーソニック(共通)
チューブ ラテックス(共通)
エア圧 前後約7bar(共通)
―購入後(堺ナイター仕様)―
GOKISOホイールロード用 リムハイト38mm GOKISOハブ 星エアロスポーク
タイヤ コンチネンタルGP4000S
チューブ R-Air
エア圧 前6bar 後7bar
―購入後(鈴鹿仕様)―
構成は堺と同じですが、鈴鹿参戦前にホイールバランスを取りました。
【外観】
※鈴鹿でちょっと走った後の写真なので若干汚れてます。
黒ハブを選んだ事もあり、割と大人しめです。
前後ハブ形状。
リムの装飾も大人しめ。
右側の写真のステッカーの白い部分は反射素材になっており、ブルべ等での夜間走行で活躍します。リムに貼ってある板ガムのような物体はホイールバランス取り用の鉛板です。
~~ここからがメインレビューです~~
GOKISOホイールは購入時にリム高さとスポークの種類が選べますが、私の選択は一番オーソドックスなリム高さ38mmで星スポークタイプ。工場見学の際に見せて頂いたデータを参考にこれに決めました。
ホイールを装着して自転車を手で押しただけで感じるのは異様なまでの回転抵抗の少なさ。今まで使っていたハブの内部抵抗の大きさに気付き、衝撃を受けた。実際に乗ってみると、全力で踏み込んでも軽くトルクを掛けながらケイデンスを上げて加速しても、スルスルと伸びていきます。全力で踏んだ際にリヤエンド付近がいつもよりほんの少し柔らかいような感触がするのは恐らく衝撃吸収機構によるもの。ホイールからの反力が少ないので脚に優しいホイールです。なお、GOKISOハブはハブフランジ幅が狭いため横剛性が低いと某所で噂されておりますがそんな事はありません。私が乗ってる限りでは剛性不足は感じません。
登坂時も加速時と同じような印象で、踏んだら踏んだだけスルスルと進みます。走りは軽いですが、ホイール単体の重量は前後合計1,940g(カタログ値)、タイヤとスプロケが付くと余裕で2kgを超えますので手で持ったら激重です。
次に巡航についてですが、意外にも普通のホイールという印象です。
空気抵抗の割合が増える高速域ではハブの抵抗による違いは少なくなるので運動の負荷という意味ではそこまで大きな違いは無いと感じました。
しかし、こんなシーンでは・・・
レース中横を走ってる人が、2秒脚を止めた。 ⇒私は4秒脚を止めて休憩。
下りで横を走ってる人が軽く脚を回して速度維持。 ⇒私はペダリング停止。
横を走ってる人が加速中。 ⇒実は軽い下りだったので私はちょっと踏んだだけて追走可能。
といった感じでサボれます(笑)
集団内で走っていると脚なんて殆ど回さなくても付いて行けます。
むしろ自転車の抵抗が小さ過ぎて進み過ぎるので追突に注意が必要。
乗り心地はちょっと不思議な感じ。
ホイール自体は硬いように感じるのですが、何故か振動が来ません。
例えば、フルクラムの様な硬いホイールにGP4000Sの様な固めのタイヤを装着して使うと、アスファルトの粒や細かいヒビまで手元に伝わると思います。GOKISOにGP4000Sだと、ツルツルしたコンクリの上を走るような、急にタイヤが柔らかくなったような、そんな感覚。アスファルトの粒も小さなヒビも手元の感覚では判別出来ません。
原因は衝撃吸収機構と思われます。
フリーハブのラチェット音はジィーとかジャーとかいった音ですが音量的にはほぼ無音。シマノハブを上回るステルス性(?)です。分解するとラチェットの爪の幅がとても広く、山数も92山あるので加速に移る際の遊びも殆どありません。
20km/h以下の低速では、空気抵抗が無くなるので、ハブの抵抗とタイヤの転がり抵抗のみ。ちょっとでも傾斜があれば勝手に転がって行き、坂(※と言ってもほぼ平らです)が終わるまで延々と転がります。ブルベ等の超級ロングライドの終盤で脚が終わったりハンガーノックになった時等に真価を発揮しそうです。
ブレーキに関しては、専用ブレーキシューが付いてくるのでそれを使ってます。リム精度も良く、効きも安定しており、雨での制動力も十分だと思います。
GOKISOの方曰く、街乗りやポタリング程度ならノーマルシューでも問題ないらしいですが、長い下りでは専用シュー必須との事。ホイール購入時に、『体重100kgの人がSWISSSTOP Flash-Yellow を使用して規定空気圧以上のエアをタイヤに入れてブレーキ掛けまくったら熱でリムが歪んだ』という注意喚起のチラシが同封されていました。まぁここまでやったら他社のカーボンリムでも同じ事になるのでは(^^; とは思いますが、一応他社のシューは一応使わない様にしようと思います。
なお、使い初めでブレーキ面の塗装の下から耐熱繊維が出てきます。GOKISOの方曰くこれは仕様で、塗装を剥がすのは馴らしみたいなものなので気にせずガンガン使って欲しいとの事でした。
メンテは基本的にベアリングカバー内の掃除と、シールのグリスアップのみ。
実は堺ナイターエンデューロでいきなり雨の中をテストした結果、ハブ軸がゴリゴリになりました。しかし、後で分解して調べると原因はシール部に溜まったゴミ。ベアリングのカバーを外してゴミを除去し、Oリングに専用グリスを塗って戻したら即復活。専用グリスは水を弾く作用が強いそうで、雨中の走行でもベアリング内への浸水はありませんでした。
組み立ててすぐはシールが馴染んでないのであまり回りませんが、しばらく乗って馴らすとハブ軸が意味不明なぐらいブン回ります。
シールのメンテに使用する工具は、専用工具又はスパナのみですが、スパナの場合サイズが色々必要です。また、カセットスプロケット交換の際は球面ナットに工具が当たって入らないので、球面ナットを外す必要があります。球面ナットは外す度にゴミを除去してグリス(グリスの銘柄は何でもいいそうです。私はデュラグリスを使用。)を塗って組み立てる必要があります。
基本的に雨天走行後とシールにゴミが噛んだ時だけのメンテ作業ではあるのですがいざやるとなるとちょっとだけ不便で、取り扱いは普通のハブより若干繊細です。
サイクルモードでGOKISOブースに立ち寄った時、
「GOKISOは夢」
という言葉を何度も耳にしましたが、比べてみるとGOKISOホイールはそこまで高くはない。 GOKISOハブ単体で22万と聞くと躊躇しますが、『カーボンディープリムの完組み』という枠の中で考えるとGOKISOホイールは十分選択肢の内に入ると思います。
ハブの保証期間は10年。耐久性は高過ぎて現段階では評価不可能。ハブをしっかりメンテし、消耗品を定期的に交換しながら大事に使えばホイールは恐らく一生モノ。耐久性重視で設計されているので、レース以外でもガンガン使える。
この性能なら他のホイールを買う理由はどこにもありません。
とても良い買い物をしました。
価格評価→★★★★☆(この性能ならむしろ安い方かと)
評 価→★★★★★
<オプション>
年 式→2013
カタログ重量→前後1,940g