購入価格: ¥12,600 (税込)
標準価格: ¥12,600 (税込)
『かつてのGIANTの最上位サイクルコンピューター。同じ価格帯ならもっと良いものがあった』
■ケイデンス機能付きサイクルコンピューター導入のきっかけ
クロスバイクGIANT SEEK R3に初めて取り付けたサイコンはGIANT CONTINUUM 9Wだった。走行中の速度がリアルタイムに表示されるのはとても楽しく満足していた。
だが、クロスバイクを乗るほどにケイデンス機能付きのサイコンが欲しくなって来た。遠くに行く時はある程度のスピードで走行するが、その時にケイデンスを一定するとどの程度効率が良いのかがとても気になったからだ。
■選んだのはGIANT AXACT PRO+
GIANTの自転車に乗っていることもあって、GIANTのサイクルコンピューターAXACT PRO+を選んでみた。AXACT PRO+は2011年モデルまでは最上位機種だったこともあり、スピード、ケイデンス、時刻をはじめとした24種類の多機能なサイコンになっている。
GIANT AXACT PRO+ ※画像はGIANTのサイトから転載
■GIANTの純正パーツ同様の外観と軽い重量
ホワイトを基調にしたボディは爽やかさがあって良い。液晶周りをブラックにGIANTのシンボルカラー(?)であるブルーを差し色にしている。ホワイトとブルーの文字も、GIANT純正のハンドル、ステム、シートポストと同様なのが良い。ちょうどこれらの部品を交換し、ハンドル周りをブルーのスコッチカルで装飾したので似合っていたと思う。
だが、本体が大きいのでステムの上で出っ張って目立つ。ハンドルバーにも装着できるが同様だろう。延長マウントの方がすっきりすると思うが、このサイコンには付属してない。
デザインは良いが、出っ張るのがちょっと残念
■ケイデンス機能はやはり便利
ケイデンスがリアルタイムに表示されるのは楽しく、高いスピードで巡航する時にとても便利だと思った。速度や使っているギアからケイデンスを算出することもできるが、脚の回転もスピードも刻々と変化しているので、走りながら即座にケイデンスを考えるのは難しい。
厳密にケイデンスの管理をしているわけではないけど、 ケイデンスをある程度一定に保つようにし、ケイデンスの上下に合わせてシフトチェンジすると体力的には楽になった。無駄な体力の消費を抑えられて遠くに行く時には特に楽になったので、ケイデンス機能を導入して良かったと思う。
■視認性はイマイチ
速度、ケイデンス、高度、そして一番下のボタンで表示を切り替えられる項目を一度に表示できる。その代わり、一つ一つが小さくて見にくい。しかも本体の大きさの割に液晶画面が小さいので更に見にくい。サイコンを選ぶにあたって、液晶画面と文字の大きさは重要だと思った。
本体の大きさの割に液晶と文字が小さい
■操作性もイマイチ
ボタンは小さいがクリック感があるので、ハーフフィンガーのグローブでは押しやすい。だが厚手のウインターグローブを身につけるととても押しにくい。ボタンが本体の左右にある物や画面を押してボタンをクリックする方式のも方が圧倒的に操作しやすい。特に画面を押すタイプは適当に突っついてもクリックされて便利だ。
ウインターグローブを装着するとボタンが押しにくい
■オートスキャンは便利
オートスキャンをオンにすれば、一番下の表示が5秒ごとに切り替わる。押しにくいボタンの弱点を補う便利な機能だと思う。ただし、走行中は目線を下げてタイミングよく欲しい情報が得られるわけではないので、確認するのは信号待ち等の一時停止中が多くなる。サイズが小さめのサイコンではあった方がいい機能だと思った。
一番下の表示が5秒ごとに切り替わる
■デュアルバイクデータ
これは2台の自転車を1つのサイコンで共用できる機能だ。別途、ブラケットとセンサーのキットを買えば対応させられる。まさか自分が自転車を2台持つとは思わなかったので、このキットはあってよかったと思う。クロスバイクから自転車にはまる人は多いので、ロードバイクを追加購入しそうな勢いの人は、一応この機能があるサイコンにしておくのも良いかもしれない。
AXACT PRO+ MOUNTING KITを使えば、もう一台の自転車のデータを取れる
■接続の悪いアナログワイヤレス方式
このサイコンの最大の弱点が接続の悪さだ。速度はスピードセンサーをフロントフォークに取り付けるので、サイコン本体との距離が近く接続が途切れにくい。
問題はケイデンスセンサーの方だ。説明書に書いてあるサイコンとケイデンスセンサーの距離の範囲内にも関わらず、時々反応が途切れてしまう。ケイデンス用のマグネットとセンサーをクランク側に寄せたり、電池を交換しても反応しない場合もある。走行中も気になるし、接続が悪いとイライラしてしまいがちだ。
このサイコンに採用されているのはアナログワイヤレス方式だ。これを手に入れた当時はANT+対応のサイコンは出ていなかったが、GIANTの最上位機種らしく確実に接続できるデジタルワイヤレス方式にしてほしかった。現在ならANT+も途切れることなく快適。接続の良さは快適な走行のためには最も重要だと思う。
使っている人が少なかったおかげで、混線しなかったのが幸いだった。このサイコンは混線防止用のキー入力機能などはなかったはずだ。
サイコンから距離が離れているせいか、ケイデンスセンサーの反応が悪くなることがある
■ローラー台には不向き
フロントフォークにスピードセンサーを取り付ける方式なので、ローラー台に使うと速度が表示されないので注意。スピードセンサーをクランク側に取り付けたとしても、感知させるには距離が大きすぎるかもしれない。ローラー台にも使うことを考えるなら、リアホイールで速度を測るタイプにした方が良い。
後輪でスピードを取るサイコンならローラー台でも速度が表示される。写真はNEOS PRO
■拡張性のなさ
このサイコンはハートレートセンサーに対応していない。欲しくなったら別途ハートレートモニターを購入するか、サイコンごと買い替えるしかない。当然、他社のスピードセンサー、ケイデンスセンサー、パワーセンサーもAXACT PRO+には対応していない。
後の拡張性を求めるならANT+のサイコンがおすすめだ。後で各メーカーのANT+対応のハートレートセンサーを追加できるし、パワーメーターに対応しているものもある。スピードとケイデンスセンサーを残して本体だけGermin Edgeにするといったこともできる。もしサイコン本体が壊れても、本体のみの購入で済む。
■補修用部品は一応用意されている
AXACT PRO+ MOUNTING KITという2台目の自転車のデーターを取るための、センサーとブラケットのキットが出ている。しかし、部品が壊れた時にはスモールパーツ単位で注文できた方が便利だ。
ブラケットの爪が壊れてしまって、AXACT PRO+ MOUNTING KITをGIANTストア国立に買いに行ったことがある。この時は店員さんのご好意でブラケットのみを販売してくれて助かった。ただGIANTストアが近くにないと、結局MOUNTING KITごと取り寄せることになってしまう。
AXACT PRO+ MOUNTING KIT ※画像はGIANTのサイトから転載
■壊れてANT+対応サイコンに買い換えた
ブラケットを新しい物に交換したら、硬くて付け外ししにくかった。思いっきり引っ張ったら、サイコンが勢い良く抜け落ちて液晶が割れてしまった。購入して1年経たないうちにこのサイコンは使えなくなってしまった。
ちょうどANT+のコンピューターが各メーカーから出ている頃だったので、私もANT+のコンピューターに買い換えた。懲りずにGIANTのサイコンNEOS PROにしたが、これは通信が途切れず、見やすく、操作しやすく大当たりだった。AXACT PRO+の弱点はほとんど改善されている。
2012年モデルではNEOS PRO+が最上位機種になったが、AXACT PRO+も引き続き販売された。しかし、2013年モデルではラインナップから姿を消した。NEOS PROとセンサーを買えば、AXACT PRO+よりも安くて高機能なので、これは当然のことだと言える。
ブラケットを買ったばかりなのに…(泣)
■最後に
AXACT PRO+はケイデンス機能の楽しさを教えてくれたが、使いにくい部分も多かった。当時の同じ価格帯のサイコンと比べてもコストパフォーマンスが高いとは言えなかった。やはりCATEYEのような専門メーカーが良かったのかもしれない。だが、GIANTもANT+に対応するNEOS PROシリーズを出して来た。他のメーカーとの共通企画だからか、NEOS PROは力が入っていたように感じた。このサイコンは残念だったけど、ANT+への買い替えは必然だったのだろう。このサイコンは販売終了モデルだが、このレビューが読んでいる方のサイコン選びに少しでも役に立てば嬉しい。
NEOS PROではAXACT PRO+の使いにくい部分が大幅に改善されている
価格評価→★★☆☆☆ (同じかそれ以下の価格で選択肢がある)
評 価→★★★☆☆ (ケイデンス機能とオートスキャンが便利。他は使いにくい部分多数)
<オプション>
年 式→~2012年
カタログ重量→38g