購入価格 ¥自転車乗りの先輩から譲り受けました
馬鹿野郎!
なにが「軽量パーツは耐久性が」「使う場面が制限される」だ!
それは当然!何事もスペシャリストとはそういうもの、だからこそ潔い!
ときにいびつなスペシャリストを長所を生かし短所をカバーしつつ乗りこなすのが自転車乗りの真骨頂だろう!
こんなことを言っている俺だが、思い返せばWH-7850-C24-TUを譲り受けてから約3カ月、
チューブラータイヤの導入、ブレーキの効きと調整への不安、パンクへの恐怖から運用をためらい続けた過去がある。
どうやら俺の体験談が役に立つ時が来たようだな・・・
あれは俺の一年の総決算である英彦山サイクルタイムトライアルまであと1週間あまりとなった、ある風の強い日の夕方だった。
俺は腰が引け続けていたWH-7850-C24-TUの導入をついに決断し、
貼ってもらったTUFO S3 Lite 215gとともにショップに引き取りに行ったのであった。
翌9月16日、初乗り。
もちろんコースはいつもの白糸TTである。
クオォォォーーーッ!
軽量ホイール特有の高い走行音がこだまする。
走りだした瞬間に違いを感じた。
C24-CLにGP4000S、ラテックスチューブに比べると、乗り心地はかなり固い。
重量のない固い発泡スチロールのかたまりを回しているような感触が手に伝わってくる。
そして挙動はクイックになり、いつもの感覚でコーナーリングしようとすると、イメージよりも半径小さく曲がってしまう。
また、ダンシングは「勝手にバイクが大きく左右に振れる」感覚がある。
軽量化したこと、特に自転車下部が軽くなったため重心が上がったことが関係しているか。
これはホイールのせいだけでなく、タイヤの銘柄、幅、空気圧も関係しているだろう。
走行性能はといえば、まず初速の乗りが素晴らしい。
信号明けにアウターのまま10回ほどのダンシングで巡航速度に乗せる、そんな走りがとても気持ちよくできる。
加速しても足に来ないので、ついつい踏みたくなる乗り味である。
ヒラヒラと軽く自転車が動くので、アップダウンの上りをダンシングで加速して一気に越えたり、
下りの勢いを利用してこれまたダンシングで一気に越えたりする走りは非常に気持ちがいい。
一方で、ある程度の速度に乗ると、そこからの伸びは少なく感じる。
高速巡航、スプリントのような走りは、CLに劣る印象を持った。
ブレーキング性能は、コントロール性には問題を感じないものの、絶対的なストッピングパワーはCLにやや劣る。
また、少し強めにブレーキをかけると「キィーッ」というあの甲高い音を立ててしまう。
あぁ、どうやら俺も軽量カーボンホイール使いになってしまったようだな・・・と思わされる瞬間である。
最もネガを感じたのは、横風に対してである。
この初乗りの日はやや風が強く、橋の上や木立から抜けてすぐのところなどで
強い横風を受けることが多くあったのだが、かなり恐怖を感じる。
リム高は低いのだが、自転車全体の重心が上がって感じられる乗り味と相まって、横に振られた時の振られ幅が大きく感じた。
加速の鋭さ、軽快な乗り心地と引き換えに、どうやら失ってしまうものも多いようだな・・・
しかし俺の心は奮い立った。
使うシーンが限定されるほどの軽さ。これはまさに飛び道具だ!
デヤァァァーーー!!
白糸のふもと、はじめの1km弱の緩斜面をいつものようにアウターで疾走する。
ここで俺はかつてない感覚を味わうことになる。
そろそろ勾配がきつくなってきて、いつもはインナーに落とす地点を過ぎても、足が回転を止めようとしないのだ。
「馬鹿な・・・まだアウターを踏める、だと・・・?」
結局、2012年10月7日の自己ベスト23:27樹立時と同じペースで後半へ突入。
そこからの激坂区間はそれこそ軽量カーボンホイールが真価を発揮するところで、
そこから16秒削って23:09。見事約1年ぶりの自己べスト更新とあいなった。
しかも2本目も23:38、なんと23分を2本並べることになった。
ドヤァァァーーー!過去425人の俺の頂点に立ったったーーー!!
山頂。達成感に満ちた俺の断末魔がこだまする。
ヒルクライムで自己ベストを達成した時に沸き上がる感情を、俺はいつになっても抑えることができない。
これがあるからヒルクライムは、自転車はやめられないのだ。
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【要点をまとめます】
タイヤはTUFO S3 Lite 215g。
上に述べた白糸での自己ベスト達成時はF8.5bar、R9barに設定。
乗り心地が固いことと、もう少し安定感が欲しいことから現在はF7.8bar、R8barにしています。
まだタイヤがつぶれる感覚はみじんも感じられないので、もう少し下げてもいいのかも、と思っています。
このホイールを使うようになって、2週間が経過。
その間、白糸、英彦山、板屋峠の3か所でヒルクラTTを行いましたが、
これら3か所すべてで、一発で、自己ベストを更新。
「誤差の範囲」「気象条件のほうがよっぽど影響大」とは私がよく行うレビューですが(笑)
今回ばかりはそうは言えません。軽量カーボンホイールは偉大です。
586UDに引き続き、numero_neroさん形式で。
使っている人が多いことと、リム以外同じであることを考え、比較対象はC24-CL。
左の数字がWH-7850-C24-CL、右の数字がWH-7850-C24-TUです。
・平地巡航 10/9
足がスカスカする、ずっと踏んでないといけない。
そんな感じ。
・平地スプリント 10/9
最高速「付近」に乗せるのは早い。
しかしいつもの最高速に乗らない。
・直線の下り 10/7
腰高、重心が上がった感じで怖い。
いきおい、自重した走りになる。
・下りコーナーリング10/8
これは多分に心理的なことなのでホイールの性能とは切り離して9か10をつけようかと思いましたが・・・
ブレーキの効きがやや弱くなったことへの配慮、高級なので(笑)大切に乗ろうとする気持ちが働いて
コーナー進入速度は遅く、ブレーキングのタイミングは早くなりました。
結果、タイムとしては遅くなりました。
純粋にホイールだけを見れば、対CL比で剛性不足は感じません。
軽量になった分、ややクイックか。鋭く、小さな半径で曲がれる感じ。
・淡々とのぼる 10/12
高回転、踏む、ダンシング。どれも素晴らしい好印象。
こんな軽いのに乗ってたら、弱くなっちゃうんちゃう!?と思ってしまうくらい。
・激坂、のぼりのアタック 10/13
真価を発揮。
アタック後も足に来にくい印象。
今まではできなかった「アタック、速度を維持、そのまま逃げる」ような走りができるようになり、これは英彦山で重宝した。
・その他。ブレーキ調整
同じShimano製、同じ7850モデルということで、シューの交換のみで調整いらずでCL←→TUのホイール交換いけるかな?と思ったが・・・
CLとちょっとリム幅が違うそうで、ちょっと調整を要したそうです(ショップ店員さん談)。
でもその中間でセッティングしてもらって、「ワイヤーの張りで微調整すれば、シュー交換だけでいけますよ」という状態にしてもらっている。
総じて、ヒルクライムに特化した飛び道具。
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価格評価→★★★★☆(自分で購入するとしても。)
評 価→★★★★★(ただしヒルクライム限定。)
カタログ重量→F530g R727g