ニヴォレット峠は、イタリア北部のピエモンテ州トリノから北西およそ100kmに位置している標高2612mの峠。
グラン・パラディーゾ国立公園に属しており、フランスとの国境はすぐそばです。
ピエモンテ州とヴァッレ・ダオスタ州の州境の峠ですが、観光保全のためか、ヴァッレ・ダオスタ州側に道はなく、
峠へのアクセスはトリノ側からのみ可能となっています。
この道は水力発電所のために1953年から1963年にかけて建造された道。
毎年、積雪が溶ける6月頃に道路は開通するようです。
ニヴォレット峠までの道のりは、Locanaを起点とすると登坂距離40km、
標高差およそ2000m、平均勾配5%、最大勾配15%です。
峠の手前13kmは7~10%の勾配の坂が続きます。
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私はトリノ空港からすぐ近くの町Caselleのホテルに宿泊。
この町からニヴォレット峠を目指しました。
トリノ空港からSP13(県道13号線)を北におよそ23km進むと、SS460(国道460号線)と合流します。
SP13は一箇所だけ短い上りがありますが、他は平坦な道。
SS460はオルコ谷(Orco Valley)を流れるマレジナ川(Torrente Malesina)を遡る道。
この川の上流にはチェレゾーレ湖(Lago di Ceresole)、さらに進むとニヴォレット峠があります。
SS460を走り、まず最初にたどり着く町はPont-Canavese。
町の中は石畳で覆われていて、少し走りづらい。
町にはいくつか分岐点がありますが、標識には峠の名前が記載されていません。
峠の代わりの目印として、峠の手前にある町Ceresole realeの名前を目指すと、峠方面へと進むことができます。
ニヴォレット峠が属しているグラン・パラディーゾ国立公園は、アルプスアイベックスの最後の棲息地のようで、
アルプスアイベックスは国立公園のマークにもなっています。
チェレゾーレ湖までの坂は平均で見るとたいした勾配はないのですが、
ところどころ勾配10%を超える箇所があります。
また、途中にはいくつかの小さな町があります。
上りの起点としているLocanaはPont-Canaveseから12kmほどの町です。
Locanaから15kmほど走ると全長3kmを超える長いトンネルがあります。
トンネル内は全て上り坂で局所的には10%を超えますが、
歩道には障害物があり自転車では走ることもできないため、車道を走ることになります。
したがって、テールライトは必須。
トンネル出口から見える山はLevanna centrale、標高3619m。
この山の稜線がフランスとイタリアの国境となっており、
山の反対側にはヨーロッパで最も標高の高い峠であるイズラン峠があります。
イズラン峠についてはこちらのレビューを参照ください。↓
[Cycling Courses] イズラン峠 (Col de l'Iseran)
https://cbnanashi.net/cycle/modules/newbb/viewtopic.php?topic_id=7730&forum=124トンネルの先をしばらく進むとチェレゾーレ湖があります。標高1612mにある湖です。
湖畔の道は多少のアップダウンがあるものの、気分的にひと休憩といったところ。
私が行ったのは7月ですが、バカンスで来ているのか、キャンピングカーがたくさんとまっていました。
湖畔の町Ceresole Realeには売店やレストラン、ホテルなどがあるため、補給には困らないと思います。
チェレゾーレ湖を過ぎると、いよいよ峠道の様相。
湖より先の道路はSP50(県道50号線)、峠へと続く一本道。
湖から数キロ走ると、森林限界を迎え、しだいに木々がまばらになってきます。
直射日光を遮るものがないため暑い。
道の脇の草原には多種多彩な花が咲き乱れ、
放し飼いの牛のカウベルの音だけがカロン、コロンと谷間に響いてしました。
峠まであと10kmという地点からは急カーブが続くつづら折りの坂になります。
このあたりの勾配は7~10%。
つづら折りを登っていくと見えてくる二つの湖は、セッル湖(Lago Serrù)とアニュエル湖(Lago Agnel)。
それぞれ標高2275、2284mです。
セッル湖はエメラルドグリーン、アニュエル湖は藍色の水を湛えています。
さらに上り、標高2612mの峠の頂上からは雄大な景観が広がっていました。
セッル湖(写真奥)とアニュエル湖(写真手前)を眼下に見下ろし、正面には3000m級の山々が連なっています。
頂上には峠の標識とジョルジオ・アンセルミ(Senatore Giorgio Anselmi)のプレートがあります。
おそらく、1920年代にトリノ県知事のだったアンセルミは、グラン・パラディーゾ国立公園の保護に尽力したのでしょう。
峠の北側にも二つの湖があり、その畔には駐車場があり、バー、売店などがあります。
ここを起点にハイキングをする人が多く見られました。このあたりには小さい湖がいくつか点在しているようです。
駐車場からの舗装道路はおよそ1km先で行き止まり。
さらに先にも未舗装の道が続いていますが、これも数キロ先には行き止まりとなっているようです。
この道の右手には、グラン・パラディーゾ国立公園の最高峰であるグラン・パラディーゾ(標高4061m)の山頂が見えます。
残念ながら私が行った時には山頂は雲の中に隠れてしまっていました。
この峠がジロ・デ・イタリアなどの自転車レースで登場する機会はなかなかないと思いますが、
峠からの風景はアルプスにある峠の中でも最上位であるように思います。
ただし、トリノ空港から往復170km、トリノ中心地からは往復200kmと比較的距離があります。
トリノ中心地からPont-Canavese(ニヴォレット峠まで52km)までは電車が通っているようなので、
Pont-Canaveseまで輪行するのも手だと思います。
景観→★★★★★
登坂距離→★★★★★
平均勾配→★★★☆☆
おまけ~途中で見かけたマーモット