購入価格: ¥290 (税込)
標準価格: ¥683 (税込)
『さすが日本製のシールドベアリング! 完成車のハブでも滑らかな回転に』
●ああっ!! FIXERのシールドベアリングに錆びがっ!!
GIANT FIXER Rのハブにはシールドベアリングが採用されている。シールを外してみたところ、リアの片側はグリスが少なく錆が発生していた。リアホイールのシャフトを手で持ってで回すとゴリゴリしていたのでおかしいとは思っていた。
(リテーナーがちょっと錆びてる。おそらく玉も…。錆びさせてゴメン)
おそらく洗車の時に浸水したのだろう。メンテナンスフリーなのでシール性が高いと勝手に思い込んでいたのだが、こんなに防水性がないとは…。FIXERにはダストキャップはないので、水が入り放題ということになる。 洗車は好きなんだけど、もうちょっと慎重に行うべきだったと反省。
(剥き出しのシールドベアリング)
(Haloのホイールみたいに、こんなカバーがあれば少しは違ったかも)
出来るだけ錆を取り、グリスを多めに入れて応急処置とした。実用上は全く問題がないし、乗っててもゴリゴリ感は感じないものの、錆を放置したまま乗るのはあまり気分が良くないので、シールドベアリングを思い切って交換することにした。
●シールドベアリングの種類と選択
ホイールのシャフトをハンマーで叩いてシールドベアリングを取り出してサイズを測ってみたところ、外形26mm、内径10mm、厚さ8mmだった。 これは深溝玉軸受 6000番というもので、自転車のハブにはほとんどこのサイズのものが使われているらしい。※例外もあるようだ
(道具も必要だが、一番必要なのは打ち抜く勇気だ!! ウリャッ!! ※自己責任です)
更にシールの種類よって、シールド、非接触型ゴムシール、接触型ゴムシールというものがある。私は、接触型ゴムシールを選ぶことにした。シールが内輪に接触するので摩擦が大きく高速回転には向いていないが、防塵性、防水性が高いとのこと。
非接触型ゴムシールは、回転性能がいいがシール性が低いらしい。レースで勝つために少しでも回転の抵抗を減らしたいならこれでもいいのかもしれないが、頻繁なメンテナンスの必要がありそうな気がする。
FIXERはレースに出る自転車ではないし、頻繁なメンテナンスやベアリングの交換は、メンテナンスが好きな私でもちょっと面倒だ。だから、接触型ゴムシールを選ぶことにした。
●NSKのシールドベアリングとその中身
ゴムシールの色が赤みがかったNTNの6000LLUという接触型ゴムシールのものにしたかったのだが、残念ながら在庫がなかった。すぐ使いたかったので、NSK(日本精工株式会社)の6000DDUというものを注文した。こちらはシールの色が茶色だ。
(NSK、NTNは接触型はシールの色が茶色、非接触型は黒だ。FIXERに使われているものはメーカー不明だが、もしかしたら非接触型? それなら、シール性が低いのも分かる気がするのだが…)
実際に袋から取り出してみると、ぱっと見、FIXERのベアリングと違うのはシールの色だけだ。内輪を手で持って指で弾いて回してみたところ、すぐに止まってしまう。グリスで回転が重たいという感じではない。シールが内輪に接触して摩擦になるとはこういうことなのだろうか。
中身が気になったので、精密ドライバーで慎重にシールを外してみた。すると、透明なグリスが入っていた。このグリスを精密ドライバーですくって手で触ってみると、粘り気のない柔らかなものだった。AZのリチウムグリースに良く似た感触だ。
グリスの量は多くない。片側にはやや多めに入っているが、もう片側にはグリスはあまり入っていない。使っているうちに全体にグリスが馴染むのだろうか。製造の工程で片側にしかグリスを入れなかったような感じだが、NSKとしてはこれで十分だということなのだろう。
(粘り気のない柔らかいグリス)
片側のシールを外した状態で、手で持ってまわしてみると長く回転するようになった。両方のシールを外した状態では、更に長く回転するようになった。接触型のゴムシールが抵抗になっているというのは、こういうことなのか。
●グリスの入れ替え ※そのままでも良さそうだけど、念のために
シールドベアリングをこのまま使ってみたいという気持ちもあったが、更なる防水と防錆を期待して、フィニッシュラインのプレミアムテフロングリスを入れてみた。
両面のシールを外して元のグリスをパーツクリーナーで洗浄、乾燥させてから、シリンジでグリスを入れた。手で回した感じでは元の状態よりもやや重たい感じ。
このベアリングをそのまま使って、場合によっては後でグリスを入れ替えることも考えた。ホイールにベアリングを取り付けたままグリスを何度か入れ替えたが、奥のグリスを完全に取り去るのは難しかった。だから、今回は予めグリスを入れ替えておいて、後で同じグリスを上から塗ったり、汚れたグリスをすくい取って後で足せるようにした。
●蘇る滑らかな回転。さすが国産のシールドベアリング
シールドベアリングをハブに圧入し、早速手でホイールを回してみた。ゴリゴリとした感じがなくなって、スルスルと滑らかな回転になった。 Haloのトラックホイール(日本のEZO製のシールドベアリングを採用)には及ばないものの、十分満足の行くレベルだ。
FIXERのハブは最初からゴロゴロした感じがしていたので、それよりは回転は滑らかになったような気がする。 FIXERについていたメーカー不明のベアリングと、国産のベアリングはやっぱり違うのかな。
実走では、劇的な変化を感じることはなかったが、なんとなく滑らかになったような気はする。接触型ゴムシールのシールドベアリングに、元のグリスよりも粘度の高いグリスを入れても、特にというか全く重さを感じることはなかった。
手でベアリングを回したり、シャフトを掴んで回したりした時に抵抗があっても、脚力に対してこの抵抗がとても小さいからか、実際の走行にはほとんど影響がないような気がした。
それならば、シール性、防水性、防塵性を重視した方が、メンテナンスの頻度が低くなって助かる。
また、40kmほど走行した後でも、シールからグリスがはみ出すことはなかった。FIXERのハブではグリスの量が少なくても、内輪からグリスがはみ出すことがあった。
●圧入や玉押しの締め付け具合によっては、回転が渋くなることも
尚、強く圧入したり、玉押しを強く締めると、シールがリテーナーと玉を圧迫してしまうのか、ゴロゴロとした回転になってしまった。リアハブの圧入は一回でうまく行ったが、フロントは一回やりなおした。
(ベアリングが入ったらそれ以上押し込まない方がいいようだ)
(玉当たり調整?が必要みたい)
●最後に
シールドベアリングの錆を見て見ぬ振りをしながら乗っていたので、今回交換することが出来てとてもすっきりした。 また、ベアリングについて調べるのはいい勉強になったし、交換作業もいい経験になった。自転車歴の浅い自分にはハードルの高い作業かなと思ったけど、意外に簡単に出来た。
防水性、防塵性の検証はこれからだが、少なくともゴリゴリ感のない滑らかな回転には出来た。 ハブのシールドベアリング交換に、国産のNSKのシールドベアリングはお勧めできると思う。
(メーカーサイト) NSK 深溝玉軸受:
http://www.jp.nsk.com/products/ballbearing/deepgroove/(参考) 一般社団法人日本ベアリング工業会:
http://www.jbia.or.jp/about/index.html※シールドベアリングの交換作業の詳細については、更に文章が長くなるので割愛しました。
価格評価→★★★★★ (コストパフォーマンスが非常に高い)
評 価→★★★★★ (高精度。信頼の日本製)
<オプション>
カタログ重量→18g (1個)
(回転のイメージ。部屋着ですいません)
(信頼の日本製)