購入価格 ¥14000円(コミケにて)
【 人はどこまでエアロになれるか 番外編 】
空気抵抗を極限まで減らすために、タイムトライアルレースではホビーレーサーまでがエアロワンピを着る昨今、満を持して発売されたのがこのエアロワンピです。
ハンドメイドでごく少量しか生産されていない上に、残念ながら一般売りはされておらず、一見さんお断りのオーラ漂う某所にて、入手可能となっています。
年間生産数は1桁台であろうと想定され、かなりレア度が高い製品です。
市場に出回っている絶対数が少ない故に、ヤフオクなどに出回ることはほぼありません。
そんじょそこいらで売られているエアロワンピとは異なり、フルスーツ仕様となっています。
腕・脚をすっぽり覆うのはもちろん、専用設計のグローブ、シューズカバーまで用意されています。
そして、何より特徴的なのが顔・ヘルメットまで覆ってしまうあまりにも特異なデザイン。
空力性能をとことんまで追求する姿勢は、他メーカーの追随を許しません。
ヘルメットを覆うデザインの為、エアロ形状のヘルメットを別途購入する必要はありません。
エアロ形状のヘルメットは人によっては、頭(耳)が入らなかったり、窮屈だったりするのですが、ヘルメットそのものを覆ってしまうという発想の転換をしたことにより、私たちが普段使い慣れたヘルメットをそのまま使えます。
そして高価なエアロ形状のヘルメットを購入せずに済むのは、大きな利点です。
ただし、尖った部分の多いヘルメットを使う場合は生地がひっかかりやすので、注意が必要です。
カエルの口(赤)部分がメッシュになっており、単独走行での視界は十分に確保されています。
ヘルメット無しで着用すると、カエルの顔がパーカーのフードを深く被っているような状態となり、視界が異常に悪いです。
しかし、ヘルメットを装着して着用すると、カエルの顔がほどよく上方向にオフセットされて、視界は良好になります。
視界は確保されているとはいえ、左右の視界はほぼありませんし、後ろから近づいてくる自転車のロードノイズも聞こえてきません。
正直な話、一般道を走るのはもちろんのこと、集団走行するレースには向いていません。
しかし、本製品はタイムトライアルという目的に限定した戦う者の為のウェアです。
タイムトライアルは、ひたすら空気抵抗と戦い、自らの心・肉体と対話しながら、ほんの数秒のタイムを削っていく競技です。
そこに他者が入り込む余地はありません。(チームTTしたい人達は無線を推奨します)
すなわち、横や後ろを気にする必要はないのです。必要なのは、ひたすら前を目指して走り続けることであり、それに特化したのがこのデザインなのです。
「視界が狭くて、音も聞こえにくいと危ない」などという偏見に囚われていては、革命的な製品は生まれるはずもありません。
むしろ、視覚や聴覚に余分なノイズが入り込むのを防いでくれます。
ノイズは平常心を乱す要因となるので、むしろ視覚・聴覚を制限するのは必要なことと言えます。
こういう一点豪華主義・直線番長的な製品に心を惹かれてしまうライダーも多いのではないでしょうか、筆者はすっかり心を奪われてしまいました。
ポディウムの頂点に立ち、美女から祝福を受ける時のために、カエルの口部分は開くようになっています。
勝利者の為に、よく考えられており、勝つ為のウェアと言えるでしょう。
私もこれを着て、いずれは頂点に立ちたいものです。
空気抵抗を減らすための工夫は、専用グローブにまで及びます。
指と指の間に発生するわずかな空気の乱流をも減らすために、あえて4本指となっています。
当然、通常のグローブよりも使いにくいですが、タイムトライアル中に、シフト操作やブレーキ操作を何回するというのでしょうか。操作性と空力を天秤にかけて、空力を取った結果がこの専用グローブです。
そこまで、こだわらないという人は当然、使い慣れたグローブを着用していただいても構いませんが、どうせやるのなら、この専用グローブを使用して欲しいものです。
そして専用シューズカバーは先端が薄く鋭利な刃物のようになっており、いかにも速そうです。
ビンディングシューズの上に履く際には、シューズカバーに加工が必要です。
裏面がタイヤチューブで出来ているので、みなさんがお使いのビンディングに合わせて穴を空けて下さい。
カッターナイフや、クラフト用ハサミでカットしていただくだけです。
一般的なエアロワンピよりも生地が厚手のため、重くなっています。
その為、直角コーナーが多い市街地や、アップダウンなどにより速度が変化するコースは苦手です。
このエアロワンピが真価を発揮するのは、ひたすら真っ直ぐな平坦コースを耽々と一定ペースで走るレースです。
一度、加速さえしてしまえば、重さというデメリット以上に、空気抵抗の低減というメリットが生きてきます。
アワーレコードや、最高時速を目指すのも適しているでしょう。
自己ベストのタイムを目指すのなら関係ありませんが、レースとなれば多くのライバルがいます。
そして、レースは走る前から始まっているのです。
待ち時間の間に、ライバル達の調子を伺い、時には視線や態度で威嚇しプレッシャーを与える、そのような心理戦に勝たずして、レースでの勝利はありえません。
そこまでやるかと言われるかもしれませんが、勝つというのは、他人がそこまでやるのかと呆れるぐらいの準備をして得られるのです。
仮に、やるべき事を全てやって負けたとしても、ここまでやって負けるのであれば仕方無いと納得して勝者を称えることができますが、やり残しがあって負けた場合、こうしておけば良かったと悔やむことになります。
そこまでやるための一つの武器が、このエアロワンピです。
第一印象で「なんだ、あのヤバイ奴は?」「あれには負けたく無い」という揺さぶりをかけることが出来ますし、こちらからは相手の表情が見えるのに、相手からはこちらの表情が見えません。人間は相手の表情が見えないと、不安感を抱きやすいので、ライバルの心拍数を上げる効果が期待できます。
サングラスでも目を隠すことはできますが、顔全体を覆ってしまうことによる効果は、サングラスの比ではありません。
スタート台近くに陣取って、ライバル達にプレッシャーを与えましょう。
見た目がネタにしか見えないので、このウェアに14000円は出すのは高いと思えるかもしれません。
しかし、Made in Japan のハンドメイドでエアロワンピ、エアログローブ、シューズカバーの3点セットで、実はかなりお買い得です。
私としては予備が欲しいくらいなのですが、私が買ってしまうと、他の人が手にする機会を奪ってしまうので、予備は購入できていません。
価格評価→★★★★★(格安、激安)
評 価→★★★★★(文句無く、買って損しない逸品。)
<オプション>
年 式→2012