購入価格 フレーム95,000円(税抜)
アフリカのザンビアでハンドメイドされている自転車フレーム。
竹フレームというと今までは工芸品的扱いで40万円を超える製品のみだったが、圧倒的な低価格とその何とも良い意味で荒々しく“竹”な見た目が気に入り購入した。
フレームは材料確保から組み立て作業、仕上げ作業の全工程をザンビアにて行われているとの事。
その為、この自転車の販売が現地雇用を生み出す仕組みになっている。そのような“社会的意味合いのある自転車を駆る”という一種のステータスを併せ持った自転車は新しい試みと言えそうだ。
【仕上げ】
かなり厚めにクリアコーティングされている。
手に入れたフレームは黒い渋みが強く出たものだったが、色味傾向は事前に指定可能との事。しかし、天然の素材である故にそこはある程度許容範囲の中でとなるだろう。
リアエンドのアルミパーツは切削ではない。きれいな仕上げでないがフレーム全体の雰囲気とあっているので許せる範疇。
【完成車スペック】
フレーム: サイズ56/2.6kg
フォーク: PRO-LITE/520g
ホイール: CORIMA AERO クリンチャー/1680g(前後)
コンポ : SHIMANO105(クランク、ブレーキは別)
総重量: 9.5kg(ペダル込)
【剛性】
良い意味で期待を裏切る。
低価格帯のカーボンバイク同等の剛性感といってよく、十分にロードバイクとして使用可能。
急激な入力に対するガツンという反応はないが、竹のたわみには適度な撓りとバネがあり、不快ではない。
(シティバイク程度の街乗り仕様を想定していたが、このポテンシャルであれば使用するシーンは格段に広がる。ザンビアの竹は日本のそれとは異なり、相当に肉厚な断面でこれがしっかりとした剛性を生み出しているようだ。)
【振動吸収性】
驚いた。
これ程に快適な乗り心地を有するフレームは今まで味わったことがない。
一般的に振動吸収性が良いフレームはクロモリ系の自転車が取り上げられるが、それとは異なる乗り味。むしろ、微振動のいなし方がカーボンのそれに近い。
ステムとハンドルバー共にアルミ製だが、石畳の道を走行しても手が痺れることがない。例えるに金属バットと木のバットの違い程に差がある。
竹という素材が天然繊維の集合体であり、内部構成がカーボンに近いためかもしれない。
【総評】
最高級ロードレーサーと比較すれば重量があり、ガチガチの剛性ではないのでエリートライダーのレースシーンやヒルクライムレースは不得手だろう。
だが、そもそものブランドコンセプトからそのような使用シーンを前提にしていない。
断言できるのは、アフリカンメイドの不安感、および竹という素材に対する不安感は“一掃される完成度”だという事。見た目重視で街乗り用に想定していたレベルは確実に凌駕している。
むしろ、竹の“振動吸収性”は、鉄/アルミ/チタン/カーボンに次ぐ新たな可能性すら秘めた素材ではと感じる程だった。
昨今は、名の知れた老舗ロードバイクショップでの取扱いも増えてきているようだ。そのあたりも可能性と信頼感の裏付けになるかもしれない。
価格評価→★★★★★
評価 →★★★★★